ウェブメディアにSFの波
米WIREDがSF短編小説を公開
米WIREDのウェブ版が、短編SFシリーズ8作品を一挙公開した。「仕事の未来 (Future of Work)」をテーマにしており、執筆者には、ヒューゴー賞やネビュラ賞の受賞経験者など、錚々たる顔ぶれが並ぶ。アメリカでは先日、カルチャーウェブマガジンのThe Vergeが「より良い世界 (Better Worlds)」をテーマとしたSFシリーズ公開を発表したばかり。海外ではSF系のウェブメディアは一般的だが、SF系ではないウェブメディアにも、SFの波が訪れているのだ。
SFが未来を捉える
Vergeの「Better Worlds」は、10人のSF作家が描き出した作品の内、5作品をアニメーション作品に、残りの5作品をオーディオブックとして配信する試み。よりウェブメディアに適応させたフォーマットで、SF作家たちの作品を発信していく狙いだ。
一方、WIREDの「Future of Work」は、短編小説のみを集めたオールドスクールなスタイル。それでも、ブロックチェーンとスマートコントラクトを題材にしたケン・リュウの「The Trustless」など、最新技術を題材にした興味深い作品が集まっている。
「Future of Work」の狙い
AI技術等の発展により、人間の労働が大きな変革期を迎えている現代において、「仕事の未来」が人々の関心を集めている。ここ数年で、「○年後になくなる仕事」という特集を数多く目にするようになった。WIREDの「Future of Work」はレポートやチャート、ホワイトペーパーでは掴めないリアルな感覚を、サイエンス・フィクションの物語を通して捉えようという試みだ。
“if”の物語を通して、起こり得る (起こり得た) 世界を提示できることが、SFが持つ魅力の一つだ。目まぐるしく生活が変化する現代において、指針を示してくれるSFというジャンルは、今後より一層重要性を増していくことになるだろう。
WIREDの「Future of Work」で配信されている作品は以下の通り。
「リアル・ガールズ」by ローリー・ペニー
「ザ・トラストレス」 by ケン・リュウ
「プラシーボ」 by チャールズ・ユー
「ザ・ファーム」 by チャーリー・ジェーン・アンダース
「ザ・サードペタル」 by ニシ・シャウル
「ザ・ブランチ」 by ユージーン・リム
「マキシマム・アウトフロー」 by アダム・ロジャース
「コンパルソリー」 by マーサ・ウェルス