Kaguya Planet にて『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』無料公開開始! | VG+ (バゴプラ)

Kaguya Planet にて『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』無料公開開始!

表紙デザイン morika

Kaguya Planet にて『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』無料公開開始!

オンラインSF誌 Kaguya Planet にて、『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』に収録されている全五作品の無料公開を開始しました。

『結晶するプリズム』は、世界の各地から選りすぐりのクィアSF短編小説を集めたアンソロジー。発起人は、編集や翻訳活動も行なっている作家の紅坂紫さんと、オンラインSF誌Kaguya Planetのコーディネーター井上彼方さんです。Kaguya Planetを運営しているSF企業VGプラスが協賛しています。

書き手の経済状況にかかわらず作品を読める機会を増やしたいということで、本日6月1日から、プライド月間限定で全収録作品を無料公開しています。

Kaguya Planetでは毎月、SF短編小説を配信中!各作品は約一ヶ月の先行公開期間を経て、無料で一般公開されます。月額500円の会員になると先行公開期間の作品を読むことができます。掲載作品一覧はこちら。

Kaguya Planetについて詳しく知る

『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』は、ヨーロッパ、アジア、カリブ海、アフリカ、北米と世界の五つの地域から集めたSF短編小説を収録しています。

作品が翻訳されるのは、南チロル出身・在住で「掌編の女王」を名乗る、バイセクシュアルで車椅子ユーザーの作家ジェニー・カッツォーラ(Jenny Cazzola)さん、シンガポール出身の小説家、詩人、劇作家、翻訳者であり、『イン・クィア・タイム アジアン・クィア作家短編集』(訳:村上さつき、ころから)の共編者としても知られるイン・イーシェン(Ng Yi-Sheng)さん、カリブ海のマルティニーク生まれで、カリブ社会におけるジェンダー論を専門とした社会学博士であり、マルティニークの文化活動に尽力している作家ナディア・ションヴィル(Nadia Chonville)さん、ケニアのナイロビ出身・在住でビジュアルアーティスト・ドキュメンタリストとしての活動もしているノンバイナリーの作家ワニニ・キメミア(Wanini Kimemiah)さん、北米の先住民アニシナアベ・ネーションにもルーツを持つツー・スピリットの作家ゲイブ・アタグウェウィヌ・カルデロン(Gabe Calderón)さんの5名です。

翻訳と作品選びを担っているのは、これまでもKaguya PlanetでSF短編小説の翻訳を手掛けてきた岸谷薄荷さん、今回の企画の発起人であり、ジョイス・チング「まめやかな娘」(Kaguya Planet)など掌編小説を中心に翻訳を手掛けてきた紅坂紫さん、フランス国立東洋言語学院・文学翻訳学科で翻訳の研究をしている善本知香さん、『イン・クィア・タイム アジアン・クィア作家短編集』(ころから)の翻訳でも知られる村上さつきさん、エマ・ドナヒュー『星のせいにして』(河出書房新社)の翻訳などを手掛けてきた英日翻訳家の吉田育未さんです。そしてアフリカの作品探しにはSF書評家の橋本輝幸さんが協力しています。

そして『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』の表紙デザインと、各作品のカバーデザインを作成しているのはファッションイラストレーションを中心としたイラストレーターで、ノンバイナリーでクォイロマンティック、デミセクシュアルなフェミニストのモリカさんです。

登場人物のジェンダーアイデンティティやセクシュアリティについて偏りが生じすぎないようにする、ディストピアだけではなく、当事者の人をエンパワメントできるような明るい内容の作品を含めるなどといった観点から選ばれた5編の作品、どうぞお楽しみください!

ジェニー・カッツォーラ「パーティトーク」(岸谷薄荷 訳)

狼男の大学生ジェイクは、ルームメイトのグレイスに連れてこられたあやかしの学生が集まるパーティで、サキュバスの女の子に声をかけられる。彼女と話すうち、ジェイクは自分のグレイスへの気持ちがわからなくなってきて……。

イン・イーシェン「鰐の王子さま」(紅坂紫 訳)

ある島国を繁栄へと導いたスルタナには一人の息子がいた。十八歳の誕生日を迎えた彼は、通過儀礼として臣民たちとともにジャングルで生活することになる。熱帯雨林での生活を通して彼は自らが同性愛者であることに気がついてゆき……。

ナディア・ションヴィル「ガラスの天井」(善本知香 訳)

【Twati an vè-a】(トワティアンヴェア):クレオール語で「ガラスの天井」の意。
カリブ海に浮かぶ島。二十歳を迎える男子が士官の称号を手にする日、この地で再び革命の血が流れようとしていた。祝祭の太鼓が鳴り響く中、アレックスはレジスタンス集団からの指令を受けながら、と呼ばれる島の中枢へ向かう——。

ワニニ・キメミア「夕焼けのブルース」(村上さつき 訳)

MODの装着は簡単。変化させたい身体部位の近くの受容器にチップを押し当てるだけで、身長・体重・肌の色・瞳の色まで思いのまま。植物学者のユナはそんな変身には興味がなかったが、ある日強烈に惹きつけられるMODに出会う——。

ゲイブ・アタグウェウィヌ・カルデロン「ANDWÀNIKÀDJIGAN(アンドワニカドジガン)」(吉田育未 訳)

ニジマニドワグ(ツー・スピリット)のウィヌは、ストーリーを聞くと体に不思議な印が浮き上がるアンドワニカドジガン族の生き残りだ。アンドワニカドジガンの能力を恐れる監視軍隊から追われ、戦士のベルと共に身を隠して生きるが……。

王谷晶さんによるクィアSF短編小説先行公開中!

またKaguya Planetでは、『結晶するプリズム』と連動する形で、王谷晶さんによる新作クィアSF短編小説「東京都稲城市に次元の扉が開いて十年が経った」を会員向けに先行公開しています。「東京都稲城市に次元の扉が開いて十年が経った」はカラフルで可愛いクィアSF。こちらもプライド月間中に無料で一般公開を予定しています。

オンラインSF誌Kaguya Planetとは

Kaguya Planetとは、月間130万PVを誇るSF専門のウェブメディアVG+(バゴプラ)の運営するオンラインのSF誌です。『結晶するプリズム』の企画・編集の1人である井上彼方がコーディネーターを務めており、① 日本のSF界におけるジェンダー不均衡の是正② 新人賞以外の入り口を作ること③ 海外のようにオンラインでSF短編小説を読むカルチャーを作っていくこと、という三つの目標を掲げて活動を開始し、毎月SF短編小説を配信しています。

Kaguya Planet

また、2023年夏には、2,000字〜4,000字のSF短編小説を対象にした第三回かぐやSFコンテストを開催します。第三回かぐやSFコンテストのテーマは「未来のスポーツ」で、応募期間は2023年7月27日(木)から8月14日(月)です。大賞作品は英語と中国語に翻訳されます。テーマやコンテストの詳細はこちらから。

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