柞刈湯葉 初の短編集『人間たちの話』はディストピアあり、宇宙ラーメンありのSFテーマパーク | VG+ (バゴプラ)

柞刈湯葉 初の短編集『人間たちの話』はディストピアあり、宇宙ラーメンありのSFテーマパーク

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柞刈湯葉 初の短編集が登場

『横浜駅SF』(2017)で知られる柞刈湯葉の最新作『人間たちの話』が、2020年3月18日(木)に発売された。『人間たちの話』は柞刈湯葉にとって初の短編集で、書き下ろしの表題作を含む6篇を収録。「たのしい超監視社会」など、『SF-マガジン』に掲載された作品を中心に、柞刈湯葉ワールドを存分に堪能することができる、まるでテーマパークのような短編集だ。

カバーのイラストを手がけたのは、『モーニング』で『CITY』(2016-)を連載する あらゐけいいち。各作品の世界観を描き出したビジュアルとなっている。

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『人間たちの話』6つの収録作品

100年以上後の雪に覆われた日本列島を舞台にした「冬の時代」は、柞刈湯葉自身の登山経験が存分に活かされている点もみどころの一つ。ディストピアSFの古典であるジョージ・オーウェルの『1984年』(1949)のパスティーシュである「たのしい超監視社会」は、“幸福感を感じる現代的な監視社会”を描き出す。小川哲『ユートロニカのこちら側』(2015)で描かれた「しあわせな監視文化」に通じるテーマだ。

書き下ろし作品の「人間たちの話」は、ファースト・コンタクトものでありながら、会議によってそれが認定されるという柞刈湯葉らしいウィットに富んだ設定だ。「宇宙ラーメン重油味」は、宇宙に誇る地球の名物である“ラーメン”を軸にした宇宙人と地球人によるSFコメディ。集英社の月刊小説誌『小説すばる』で初出の「記念日」は、ルネ・マグリットの絵画「記念日」を題材にした作品。家に帰ると巨大な岩に部屋の大半を占拠されていたら……。「No Reaction」は生命科学の研究に取り組んでいた柞刈湯葉が、誰にも気づいてもらえず、物理法則にも縛られる透明人間の物語を描き出している。

『横浜駅SF』でデビュー

柞刈湯葉は、小説投稿サイトの「カクヨム」が主催した「第1回カクヨム Web小説コンテスト」のSF部門で『横浜駅SF』が大賞を受賞し、デビュー。同作は第38回日本SF大賞の最終候補作品にもノミネートされた。小説のみならず、中村ミリュウの漫画『オートマン』(2018-2019)の原作も手がけている。

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柞刈湯葉の特徴は、ユニークな発想と、それがまるでそこに本当に存在しているかのようなきめ細かい筆致。初の短編集である『人間たちの話』ではその特徴が存分に発揮されている。

『人間たちの話』収録作品
・「冬の時代」(初出:『SF-マガジン』2018年10月号)
・「たのしい超監視社会」(初出:『SF-マガジン』2019年4月号)
・「人間たちの話」(書き下ろし)
・「宇宙ラーメン重油味」(初出:『SF-マガジン』2018年10月号)
・「記念日」(初出:『小説すばる』2017年8月号)
・「No Reaction」(初出:WEB投稿)

柞刈湯葉『人間たちの話』は文庫本と電子書籍で発売中。

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早川書房では『人間たちの話』に収録されている各篇の冒頭部分を公開中。

「これからの『人間たちの話』をしよう……」『横浜駅SF』柞刈湯葉の初SF短篇集、各篇冒頭イッキ読み!

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