日本ガイシの企業広告に櫻木みわ「春、マザーレイクで」 YOUCHANのイラストと共に日本経済新聞に掲載 | VG+ (バゴプラ)

日本ガイシの企業広告に櫻木みわ「春、マザーレイクで」 YOUCHANのイラストと共に日本経済新聞に掲載

日本ガイシによるSF小説を用いた広告第二弾

大手セラミックメーカーの日本ガイシ株式会社によるSF小説を用いた企業広告の第二弾が、2022年12月19日(月)付の日本経済新聞朝刊文化面に掲載されました。同年10月18日(火)に掲載された十三不塔「至聖所」を用いた広告に続き、今回の広告では櫻木みわ「春、マザーレイクで」が起用されています。

「いいミライを、つづろう。」と題されたこの広告では、既に発表されている日本のSF短編小説の一場面をピックアップ。そこに描かれている未来を日本ガイシの技術と共に読み解くことで、SF作家のアイデアが現実のものになる可能性に想像を巡らせる内容になっています。

櫻木みわさんのSF短編小説「春、マザーレイクで」は、“マザーレイク”と呼ばれるようになった2084年の琵琶湖と、その中にある島を舞台にした主人公の少年・朔と友人のモモの物語です。マザーレイクの島では、風力発電や太陽光発電によって持続可能な循環型の社会が成り立っています。自然とテクノロジーが融合し、無人で動くAI漁船が生活を支える未来の世界の描写が作品の魅力の一つとなっています。

今回の広告では、このSF小説が描く世界を日本ガイシの技術で読み解き、「ありそうなミライ」の可能性を探究しています。広告内のイラストは、第一弾に引き続き、SF・ミステリ小説の装画などで知られるYOUCHANさんによる描き下ろしとなっています。作中で印象的な役割を果たす図書室、そこにいるメインキャラクターの二人、風力発電の風車や太陽光発電のソーラーパネルが一枚のイラストの中で表現されています。今回のプロジェクトのために描き下ろされた特別な一枚を、ぜひカラーの紙面でお楽しみください。

櫻木みわ「春、マザーレイクで」は、2022年5月に刊行された日本SF作家クラブ編『2084年のSF』(早川書房) に収録されています。小説の全編はこちらで読むことができます。

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今回の日本ガイシの企業広告制作にあたっては、株式会社日本経済社の起案に基づき、SF企業のVGプラス合同会社がSF作品とSF作家のコーディネートを手掛けました。また、小説の設定と該当する技術との関連については、一般社団法人日本SF作家クラブが確認を行いました。

櫻木みわが見た「いいミライ」(作家コメント)

VGプラスでは、日本ガイシの広告に起用された「春、マザーレイクで」の作者の櫻木みわさんにコメントを頂きました。執筆の裏側や、自身の描いたSFを現実の技術で読み解く今回の企画について、感じたことを語って頂いています。


―― 「春、マザーレイクで」では、AI漁船や再生可能エネルギーが生活を支える2084年の琵琶湖を舞台に、“外”の世界に興味を持つ二人の子どもを主人公にした物語が描かれました。着想を得たきっかけや、この物語を書こうと思った経緯を教えてください。

櫻木:私自身が、本作の舞台である琵琶湖の島「沖島」に移住したばかりだったことが、着想のきっかけです。淡水湖のなかの有人島は世界的にもめずらしいそうなのですが、本当に島独自の世界があり、コロナ禍からもあるていど守られている。そのありようが独特で、魅力的だと感じました。

また、少子高齢化、空き家の増加、気候変動など、日本社会の諸問題がいちはやく顕在化し、進行している沖島のことを、「日本の最先端」と形容する研究者もいると知り、「2084年のSF」にぴったりの舞台ではないかと考えました。

―― 本作では現在を接続点にしながら、本を通して過去が、AI漁船や再生可能エネルギーといったテクノロジーを通して未来が描かれます。現実を題材にしながら未来を描くにあたって意識したことや注意した点はありますか。

櫻木:現実と作品世界の接続をスムーズにするために、「このひと」という方を見つけ、アドバイスを頂きました。AI漁船については、この半世紀の漁船の進化をじかにご存知で、いまも現役で漁船の運転をしていらっしゃる島の方に、再生可能エネルギーについては、参考文献としてもあげていますが、沖島でのフィールドワークをもとにゼロ・ウェイスト構想の論文を書かれた建築家の幸永幹真さんに、それぞれご教示を頂いています。

―― 今回の日本ガイシさんの広告プロジェクトでは、上記のテクノロジーの部分を実現するための具体的な可能性が示されました。作家としてはどのようなお気持ちでしょうか。

櫻木:私の仕事部屋の窓は湖に面しているのですが、大きなサプライズ・プレゼントが、その窓から飛び込んで来た気持ちです。実際の土地を舞台にし、リアリティのためのアドバイスを頂いているものの、「春、マザーレイクで」は、空想の世界のお話。それが、日本ガイシさんの持つテクノロジーで実現し得るという可能性を、具体的に教えていただいたのですから。世界で初めて実用化したというメガワット級の電力貯蔵システム「NAS電池」、そうした技術があること自体にも驚きました。この物語と結び合わせていただいたことがうれしいですし、こうした技術を開発してこられた研究者の方たちに、敬意を感じます。

―― 最後に、「春、マザーレイクで」をビジュアル化されたYOUCHANさんのイラストの感想を教えてください。

櫻木:イラストを拝見したとき、「わあ!」と思わず声が出ました。モモがいる、朔がいる、マザーレイクのみえる図書室がある! と。この物語は、われわれの世界の内実はディストピアかもしれないが、それでもなお、そこにもきっと美しさと希望がある、と信じる子どもたちのお話です。冬の寒さを経た後の、春の光にあふれる湖を思い浮かべて書き、裏テーマには、時間と場所を超えてひとをつなぐ「本」というものへのオマージュも込めています。YOUCHANさんのイラストには、そのすべてが描かれていて、そのことも、とてもしあわせに思います。


第一弾と第三弾の広告にも注目

SF小説を現実の最先端技術と共に読み解くことで、「ありそうなミライ」が見えてくる気がします。本記事で紹介した広告は、2022年12月19日(月)付の日経新聞朝刊文化面に掲載されていますので、ぜひ紙面をチェックしてみてください。

2022年10月の紙面に掲載された第一弾の広告については、こちらの記事に詳しくまとめています。第一弾は、同じく『2084年のSF』より、十三不塔「至聖所」がピックアップされました。こちらは、人間の記憶をデジタル映像に変換して復元するSFアイデアを日本ガイシの技術で読み解く内容になっています。

SF小説を用いた広告の新しいカタチを示した今回の広告プロジェクトは、第三弾も公開される予定です。次にピックアップされる作品と技術はどんなものになるのか、お楽しみに!

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YOUCHANの作品集は『YOUCHANイラストレーション集成 1998-2018』が発売中。

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櫻木みわの最新作『カサンドラのティータイム』は、朝日新聞出版より発売中。

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VG+編集部

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