『三体』劉慈欣の児童書シリーズがすごい
中国で累計2,100万部超の大ヒットを記録し、日本でも翻訳SFとしては異例のヒットを記録しているSF小説『三体』。その『三体』の著者で、SF最高賞ヒューゴー賞においてアジア初の長編小説部門賞を受賞した劉慈欣 (リュウ・ジキン/リウ・ツーシン) の児童書シリーズが売上80万部超を達成し、4年ぶりの第二弾が発売される。新華社通信が伝えている他、出版元の广西师范大学出版社には商品ページが登場している。
シリーズ累計80万部
劉慈欣の児童書シリーズは「刘慈欣少年科幻科学小说系列」と銘打たれ、2015年に第一弾が発売された。同シリーズは劉慈欣の有名作品を子どもが読みやすい内容に翻案をおこなったもので、第一弾では「思想者」など、中国のSF最高賞である銀河賞を受賞した作品が7作品が計5巻に収録された。第一弾の表紙には「劉慈欣」の文字が大きく描き出されている。出版元の广西师范大学出版社は、累計販売部数を80万部と発表している。
映画化作品の原作も収録
第二弾には、中国で歴史的な大ヒットを記録し、Netflixでも世界に向けて配信された映画『流転の地球』の原作小説も含まれる。先日映画化が決定した『超新星紀元』も児童向けに翻案され、収録される予定だ。
「刘慈欣少年科幻科学小说系列」に収録される『流転の地球』は、日本では「さまよえる地球」のタイトルで阿部敦子によって翻訳され、2008年9月号の『S-Fマガジン』に収録されている。2019年に中国初のSFブロックバスター作品として映画化されると、世界累計6億9,9800万ドル (約756億円) の興行収入を記録する大ヒット作品となった。
中国では、1979年から続いてきた“一人っ子政策”を緩和し、2016年からは“二人っ子政策”が採用ている。二人っ子政策も廃止が検討されている上、中国政府はSFが人々の科学リテラシーの向上に寄与すると期待している。「刘慈欣少年科幻科学小说系列」の読者は、まだまだ増えていきそうだ。
Source
新華社網