全曲解説!『ゴジラvsコング』で流れた音楽まとめ エンディングで流れた曲は? | VG+ (バゴプラ)

全曲解説!『ゴジラvsコング』で流れた音楽まとめ エンディングで流れた曲は?

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『ゴジラvsコング』で流れた音楽は?

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019) 及び『キングコング: 髑髏島の巨神』(2017) の続編にして「モンスターバース」の第4作目にあたる『ゴジラvsコング』が日本で2021年7月2日(金) より公開が始まった。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ではベアー・マクレアリーが日本のゴジラ音楽を復活させて話題を呼んだ。今回の『ゴジラvsコング』では劇中に1970〜1980年代の曲も使用され、それぞれの曲にメッセージが込められている。

今回は映画『ゴジラvsコング』で流れた音楽を解説付きで見ていこう。なお、以下の内容には『ゴジラvsコング』本編のネタバレが含まれるので注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ゴジラvsコング』の内容に関するネタバレを含みます。

『ゴジラvsコング』で流れた曲まとめ

髑髏島の朝に「Over the Mountain (Across the Sea) 」

冒頭の髑髏島(スカルアイランド)でコングが目を覚まし、“モーニング・ルーティン”を始めるシーンで流れている曲はボビー・ヴィントン「Over the Mountain (Across the Sea)」(1963)。ボビー・ヴィントンは1960年〜1970年代に活躍したアメリカの歌手。「山を越えて(海を渡って)」というタイトルが付けられたこの曲は「そこには女の子がいて、私のことを待っている」「雲を越え、川を渡り」「山を越えて、少女は私を待っている」と、コングと特別な絆で結ばれているジアの存在を示唆している。

なお、「Over the Mountain (Across the Sea)」は元々、Johnnie&Joeが1957年にリリースしてヒットを記録した楽曲で、『ゴジラvsコング』ではボビー・ヴィントンのカバー版が採用されている。カバー版が発表されたのは1963年で、1962年に日本で公開された東宝版『キングコング対ゴジラ』が米国で公開されたのも1963年のことだ。

コング輸送シーンで「Loving Arms」

眠りに落ちたコングが輸送されるシーン、ここで流れる曲はエルヴィス・プレスリーの「Loving Arms」(1974)。「君を抱きしめられたなら…」と歌われており、「長いあいだ風に当たり、雨に打たれていたから」「どんな安らぎでもほしい」「あの頃の私は鎖から自由になることを求めていた」と、人間に守られながらも、利用されるコングの微妙な立場を描写している。

バンから流れる「Breaking the Law」

ジョシュが盗んだ兄のバンで登場するシーンでかかっている音楽はジューダス・プリースト「Breaking the Law」(1980)。ジューダス・プリーストはイングランドのヘビメタバンド。「生きてても死んでても同じような人生を生きるくらいなら、行動を起こすのもいいだろ」と歌われており、この場面では「法を破れ!法を破れ!」と繰り返すサビが流れている。バンを盗んでエイペックスに侵入することになるジョシュとマディソンにはピッタリの一曲だ。

旅の始まりに「A Glowing Light, a Promise」

バンで走り出したジョシュとマディソン。この場面で流れている曲はMakeup And Vanity Set「A Glowing Light, a Promise」(2012)。頭文字をとってMAVSとも呼ばれるMakeup And Vanity Setはアメリカのテネシー州ナッシュビルに拠点を置くシンセウェイヴのアーティスト。この曲は冒頭に「あなたに見て欲しいものがある」というセリフが入るだけで歌詞はないが、『ゴジラvsコング』の監督を務めたアダム・ヴィンガードはMAVSが拠点を置くテネシー州の出身という繋がりがある。

チャイニーズストアで「Chinese Festival」

ジョシュとマディソンが訪れたチャイナタウンのお店で流れている曲はDerek Fiechter&Brandon Fiechter「Chinese Festival」(2018)。インディアナ出身の作曲家の二人が手がけた曲で、中国をイメージしたインストの楽曲になっている。Derek Fiechter&Brandon Fiechterは、この他にもメキシコやインドなどをイメージした曲を多数発表している

レストランで「Tea Ceremony」

ジョシュとマディソンがバーニーと議論を交わしたレストランで流れている曲はBrandon Fiechter「Tea Ceremony」(2014)。先ほどの「Chinese Festival」を手がけた二人のうちの片割れがBrandon Fiechterだ。今度は日本をイメージしたインストの曲が使用されている。

エンディングで流れる「The Air That I Breathe」(1974)

コングが無事に“故郷”へ帰り、エンドクレジットへと向かうシーンで流れている曲はホリーズ「The Air That I Breathe」(1974)。ホリーズは1960年〜1970年代に活躍したイギリスのロックバンドで、2010年には“ロックの殿堂”に選ばれている。1974年に発表され、ヒットを記録した「The Air That I Breathe」は、日本では「安らぎの世界へ」というタイトルで発表された。

「The Air That I Breathe」という原題を直訳すると「息をするための空気」という意味になる。「願い事が叶うとしても、私はパスするよ」「必要なものが思い浮かばない」と歌われ、サビでは「息ができるだけの空気、それだけで十分だって思える時がある」「あなたを愛するために必要なものは、息ができる分の空気だけ」と歌われている。3番の歌詞では「平和がやってきて、私は弱くなる」「だからおやすみ、静かなエンジェル」「眠ろうよ」と歌われており、ようやく平和を手に入れたコングの気持ちが表現されている。「静かなエンジェル (silent angel)」とは、言葉を発さないジアのことを想起させる。

以上が映画『ゴジラvsコング』で流れた音楽だ。特にコングの状況に寄せた曲には、特別なメッセージが乗せられていることが分かる。歌詞の内容を知った上でもう一度観てみると、更なる発見があるかもしれない。

『ゴジラvsコング』のオリジナルサウンドトラックは発売中。

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『ゴジラvsコング』のサントラはYouTubeで無料公開もされている。詳しくはこちらで。

映画『ゴジラvsコング』は2021年7月2日(金)より全国でロードショー。

『ゴジラvsコング』公式サイト

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の音楽についての解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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