1980年代から2000年代、インターネット発のヒットソングまで網羅!
カルト的な人気を誇る「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(FNaF)シリーズの実写映画作品『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』が2024年2月9日より全国公開された。映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』の作中では、フレディー・ファズベアーズ・ピザの営業していた1980年代や、舞台設定となっている2000年代に流行した楽曲などが流れている。
更には、映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』ではインターネット発のヒットソングなども流れており、音楽だけでも近年のインターネットカルチャーを代表するものとなっている。
本記事ではそのような映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』で流れた音楽について解説と考察をしていこう。なお、本記事には映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。
以下の内容は、映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
音楽で映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』をおさらい
ザ・ニュートン・ブラザーズ「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(2023)
映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』全体の音楽を担当したのがザ・ニュートン・ブラザーズだ。2007年から活動するザ・ニュートン・ブラザーズはジョン・アンドリュー・グラッシュとテイラー・ニュートン・スチュワートからなるユニットで、映画やドラマのサウンドトラックなどを多く手掛けている。
ザ・ニュートン・ブラザーズは様々なジャンルの作品の音楽を手掛けているが、ホラー作品はその中でも得意ジャンルの1つである。その音楽は愛アイリッシュ・タイムズ紙から「アンディとテイラーは、シンプルなメロディーの断片と、硝子の破片や金属のこすれる音などのノイズ、そして荘厳な合唱をダイナミックに組み合わせ、不気味な『Oculus』に神経をすり減らすようなサスペンスと肌を這うような恐怖を徐々に注入していく」と評された。
ガイ・ブーランジェとデニス・コタール「ビデオゲーム」(1984)
ジョシュ・ハッチャーソン演じるマイクが警備員の講習ビデオを観ている際、その背景で流れている音楽がガイ・ブーランジェとデニス・コタールの「ビデオゲーム」だ。警備員の講習ビデオが撮影された時期が1980年代であることから考察すると、実写映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』の世界でも「ビデオゲーム」が流行していたことが考察できる。
フランスの放送局用ライブラリー音源レーベルのパッチワークでガイ・ブーランジェがデニス・コタールなどと共作として発表したのが、「ビデオゲーム」が収録されたアルバムの「ズールー」である。そのようなレイク・ダンスやハード・ロック、トレーニングなど様々なテーマで制作されたアルバム「ズールー」の中の1曲が「ビデオゲーム」だ。
ザ・ロマンティクス「トーキング・イン・ユア・スリープ」(1983)
フレディたちがバンド演奏するのがザ・ロマンティクスの「トーキング・イン・ユア・スリープ」である。マイクが夢から目覚めるときにも流れており、その歌詞の内容は夢について語っている。「トーキング・イン・ユア・スリープ」は夢の中で真実を聞くことや相手に欲されることが歌われている。この内容がマイクと80年代の児童失踪事件の幽霊との関係性とリンクしていると考察できる。
ザ・ロマンティクスは1977年にアメリカ合衆国デトロイトで結成されたバンドで、「トーキング・イン・ユア・スリープ」はザ・ロマンティクスの代表曲であり、最もヒットした楽曲でもある。そのため、1980年代に営業していたピザレストランで流れる音楽としては最適だと考察できる。
エラスティカ「コネクション」(1994)
マイク、パイパー・ルビオ演じる妹のアビー、エリザベス・レイル演じる警察官のヴァネッサがフレディたちアニマトロニクスに取り憑いた児童失踪事件の幽霊と共に椅子やテーブルで砦を作って遊ぶ場面で流れるのがエラスティカの「コネクション」だ。エラスティカはイギリスのロンドン出身のロックバンドで、1990年代にロンドンやマンチェスターを中心に発生したイギリスのポピュラー音楽のブリットポップを代表する一曲である。
1995年に発表されたバンド名と同名のアルバム「エラスティカ」はアメリカでも大ヒットし、ゴールデンディスクを獲得した。しかし、メンバーの薬物問題があり、次第に低迷していき、2001年には解散してしまった。映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』の時代背景は2000年4月であるため、作中の時代背景ではエラスティカは解散直前である。
イギーポップ「ワイルドチャイルド」(1986)
ヴァネッサに対して、マイクが何か隠していると考えて問い詰めているときにイギーポップの「ワイルドチャイルド」が流れる。これも1980年代に営業していたという設定のフレディー・ファズベアーズ・ピザならではの選曲だと考察できる。
イギーポップが歌ったことで有名な「ワイルドチャイルド」だが、原曲はジョニー・オキーフが1958年に発表した楽曲である。「ワイルドチャイルド」はスウィングするといった歌詞が歌われているが、実際ではボニーのギターをアビーがかき鳴らそうとした瞬間、アビーは感電してしまう。
クール&ザ・ギャング「セレブレーション」(1980)
アメリカ合衆国ニュージャージー州出身のファンク・バンドであるクール&ザ・ギャングの楽曲「セレブレーション」は、マイクが睡眠薬などの薬品を薬局で受け取る場面で、薬局のBGMとして流れている。その明るい歌詞とは異なり、マイクはこれから児童失踪事件の幽霊と交信してルーカス・グラント演じるギャレットの誘拐犯を探ろうとするなど、ブラックジョークのような用いられ方がされている。
クール&ザ・ギャングは大ヒット映画『サタデーナイトフィーバー』(1977)などのサウンドトラックも手掛けており、人気ソウルグループの仲間入りを果たした。そのようなクール&ザ・ギャングの楽曲の中でも最大のヒットが「セレブレーション」である。
ブランディ「アイ・ワナ・ビー・ダウン」(1994)
ブランディ・ノーウッドのデビューアルバム『ブランディ』に収録されている「アイ・ワナ・ビー・ダウン」は、アビーがゴールデンフレディ(イエローベア)と共にフレディー・ファズベアーズ・ピザに向おうとして乗ったタクシーで流れている楽曲である。このタクシーを運転しているのはゲーム版「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(FNaF)シリーズの有名な実況者のコリーXケンシンだ。
「アイ・ワナ・ビー・ダウン」は90年代デビューのR&Bアーティストの楽曲の中でも名曲とされており、「アイ・ワナ・ビー・ダウン」をサンプリングするアーティストも多い。ブランディの最高傑作と言うファンも多い楽曲だ。
ザ・リビング・トゥームストーン「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(2014)
ザ・リビング・トゥームストーンは2011年に結成されたエレクトロニックロックバンドで、様々なゲームを題材にした楽曲を制作し、YouTubeに投稿している。その中でも「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」は代表曲で、「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(FNaF)シリーズ第1作『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』の発売と直後に発表された。
「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」はザ・リビング・トゥームストーンの公式YouTubeチャンネルで3億回再生を超えている。その才能からザ・リビング・トゥームストーンはインディーズゲームなどのサウンドトラックなども作曲している。
ザ・ニュートン・ブラザーズ「大きな古時計」
ポピュラーソングとして有名な「大きな古時計」は、ザ・ニュートン・ブラザーズのバージョンが映画のミッドクレジットで流れる。「大きな古時計」は「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(FNaF)シリーズにおいてマペットというアニマトロニクスを鎮めるために必要になるオルゴールの楽曲である。
ザ・ニュートン・ブラザーズ版「大きな古時計」は映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』のホラーな雰囲気を形成するのに一役買っている。また、マペットの存在を匂わせることで、続編の可能性も示唆している。
このように様々な音楽で彩られている映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』。そこで流れる楽曲はフレディー・ファズベアーズ・ピザの営業していた1980年代のヒットソングや舞台設定の2000年代のヒットソング、さらには「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」(FNaF)シリーズ発のインターネットミーム的楽曲まで多岐にわたる。2週目は音楽に注目して映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』を鑑賞するのもおすすめだ。
映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』は2024年2月9日より全国公開。
>映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』公式X(旧Twitter)
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原作ゲーム『Five Nights at Freddy’s』公式サイトはこちらから。
Steam公式サイト『Five Nights at Freddy’s』