1997年公開の『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』
アニメ『名探偵コナン』(1996-) の劇場版作品第一弾として1997年4月に公開された『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』。同作を皮切りに、映画版『名探偵コナン』は、後に20作以上にもわたる毎年恒例の定番映画シリーズに成長した。そして、劇場版シリーズの特徴といえば、毎回設定されている主題歌と挿入歌だ。
『名探偵コナン 11人目のストライカー』(2012) でのいきものがかりによる書き下ろし主題歌「ハルウタ」や、『名探偵コナン 業火の向日葵』(2015) での同じく書き下ろし主題歌のポルノグラフィティ「オー!リバル」など、様々なアーティストによって名曲が誕生している。では、劇場版シリーズの記念すべき第一弾として公開された『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』では、誰のどの楽曲が流れていたのだろうか。
主題歌は杏子「Happy Birthday」
『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』の主題歌として書き下ろされたのは杏子の「Happy Birthday」。スガシカオが作詞と作曲を手がけた作品だ。だが、実はこの主題歌はテレビ放送時には権利の関係でカットされてきた。ソフト版には収録されているので、気になる方はBlu-ray版でチェックしてみよう。
『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』の舞台は工藤新一の誕生日前夜に設定されている。誕生日に新一と会う約束を信じる蘭の姿が描かれており、そのため、「Happy Birthday」というタイトルの曲が主題歌に設定されているのだ。同曲では「にぎやかなこの街の空に思い切り張り上げた声は、どこか遠くの街にいるあの人へのHappy Birthday」と歌われており、「きみと偶然出会っても何を話したらいいのか、今でもよくわからない」と、新一との距離に悩む蘭の心情が歌われている。
挿入歌は伊織「キミがいれば」&「逢いたいよ」
『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』の挿入歌「キミがいれば」は、おなじみの「名探偵コナン メイン・テーマ」に伊織の歌を重ねた楽曲だ。高柳恋が手掛けた「キミがいれば」の歌詞では「傘がたったひとつだとして捜してキミに渡すよ」「ひとりで背負わないで 気づいて私がいること」と、やはり蘭の思いが歌われている。なお、翌年公開の映画『名探偵コナン 銀翼の奇術師』(1997) でも挿入歌に使用された伊織の2枚目のシングルは「キミがいれば」に対応した「ぼくがいる」というタイトルになっている。
元曲の「名探偵コナン メイン・テーマ」を手掛けたのはザ・スパイダーズに所属していた大野克夫。1996年の放送開始時からアニメ『名探偵コナン』の音楽を手がけており、劇場版も全シリーズのサウンドトラックを手がけている。
そして、もう一曲の挿入歌は伊織の「逢いたいよ」。「キミがいれば」のシングルのカップリングとして収録されており、「キミがいれば」と同じく作曲は大野克夫、作詞は高柳恋。こちらでも、通りがかったカップルの姿を見て「逢いたい」と思う蘭の心情が歌われている。「ここにいないあなたを思い出した」「教えてどこへ探しに行けばいい?」と、切ない歌詞が並んでいる。
やはり蘭の思いを中心に歌われていた『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』の主題歌と挿入歌。記念すべき劇場版『名探偵コナン』第一作の中心にいたのは蘭だったということが、音楽からも読み取れるだろう。
主題歌「Happy Birthday」はデジタルで配信中。
挿入歌「キミがいれば」と「逢いたいよ」は『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』サウンドトラックに収録されている。
なお、スペシャルアニメとして放送された『名探偵コナン エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』(2016) ではTHE HIGH-LOWSの「胸がドキドキ」(1996) とZARDの「運命のルーレット廻して」(1998)が、『名探偵コナン 江戸川コナン失踪事件』(2014) では倉木麻衣が歌う「DYNAMITE」(2014)が主題歌に、「無敵なハート」(2014) が挿入歌として使用されている。
『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』はBlu-rayが発売中。