「パシフィック・リム」シリーズに登場した日本人出演者たち。監督との絆とバックグラウンドに注目 | VG+ (バゴプラ)

「パシフィック・リム」シリーズに登場した日本人出演者たち。監督との絆とバックグラウンドに注目

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日本色溢れるロボット映画の新たな金字塔

日本を意識した演出でシリーズ化

2013年に公開され、ロボット映画の新たな金字塔となった『パシフィック・リム』(2013)。2018年4月には続編『パシフィック・リム アップライジング』が公開され、シリーズ化されている。一作目を手がけたギレルモ・デル・トロ監督は、自身が強い影響を受けた日本の特撮やアニメを意識した演出を見せた。二作目では東京が決戦の舞台に設定されるなど、日本びいきの演出はシリーズの定番となっていきそうだ。中国を意識した演出も多く見られるが、パシフィック・リムと中国との密接な関わりについては、「中国が牽引するハリウッドの「パフィリック・リム化」 ~『パシフィック・リム』をおさらい~」を参照してもらいたい。今回は、パシフィック・リムの世界観を彩った日本人(日系)の出演者の姿を振り返る。

デル・トロ監督が選んだ日本人俳優たち

菊地凛子とデル・トロ監督の絆

映画の根幹となる精神を作り上げるのが監督だとすれば、それを理解して表現するのが俳優だ。『パシフィック・リム』でヒロインの森マコを演じたのは菊地凛子。『アサルトガールズ』(2009)以来となるSF映画への参加だったが、『パシフィック・リム』への出演を機に、『47RONIN』(2013)や『テラフォーマーズ』(2016)にも出演。SF俳優として活躍の幅を広げている。初共演となったデル・トロ監督との相性も良かったという。菊地凛子は、映画批評・情報サイトのRotten Tomatoesによるインタビューで、デル・トロ監督について以下のように語っている。

ギレルモは、「リンコ、スーパーヒーローになるんだ」、「100点満点だよ!」といった調子で、私に対して怒るということは全くありませんでした。私はそうは思わないけれど、ギレルモはいつも、「君は本当に勇敢な子だ」と勇気付けてくれました。そのおかげで、懸命に演技に取り組むことができたのです。

by 菊地凛子
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「もし現実でイェーガーに乗り込むパートナーを選ぶとしたら?」という質問にも、「ギレルモ(デル・トロ監督)」と即答しており、相当な信頼を寄せていることがうかがえる。デル・トロ監督のサポートを受けて好演を見せた菊池は、チャーリー・デイ、バーン・ゴーマンといった出演者らと共に続編にも登場。次代のイェーガーパイロットに意志を託す重要な役割を演じている。

堂々のハリウッドデビューを飾った芦田愛菜

その菊地凛子演じる森マコの幼少時代を演じたのが、芦田愛菜だ。もちろん、出演者の中では最年少。本人にとってはハリウッドデビューの作品となった。芦田愛菜は、森マコが幼少期に怪獣に襲われたトラウマがフラッシュバックするシーンで登場。実はパシフィック・リムの作品内では、地上で怪獣に怯える個人にフォーカスするシーンは珍しい。群衆の中ではなく一人で、それもそこに怪獣がいると想定して怯えるという難しい演技をこなした。主人公のローリー・ベケットを演じた俳優のチャーリー・ハナムとも息ピッタリの演技を見せ、堂々のハリウッドデビューを果たしている。このシーンでも、デル・トロ監督は芦田愛菜に対して丁寧な演技指導を行なっている。監督が日本を訪れた際には、フジテレビ「めざましテレビ」のコーナーにて、菊地凛子、芦田愛菜と共にロケを実施。仲睦まじい姿を見せている。こうした監督と俳優陣の距離の近さも、『パシフィック・リム』を成功に導いた要因の一つなのだろう。

リョウイチ役・新田真剣佑と共演者の共通点

ハリウッドに帰ってきた新田真剣佑

そして、シリーズ第二作目の『パシフィック・リム アップライジング』に、菊地凛子と共に出演したのは、日系俳優の新田真剣佑。カリフォルニア州ロサンゼルス生まれの新田真剣佑は、『テイク・ア・チャンス』(2015)に主演で長編映画デビュー。米国の空手道場で内弟子修行に挑むマサタロウを演じ注目を集めたが、撮影当時は15歳。その後、『ちはやふる 上の句/下の句』(2016)への出演をはじめ、主に日本で活躍を見せていたが、SF大作パシフィック・リムでハリウッドにカムバック。日本人訓練兵のリョウイチ役を演じ、前作の森マコに続く日本人イェーガーパイロットの一人となった。

父親はあの人! 共演者との共通点

新田真剣佑は、俳優の千葉真一を父に持つことでも知られている。実は、同作に教官のネイサン・ランバート役で出演したスコット・イーストウッドは、『バード』(1989)、『アメリカン・スナイパー』(2015)で知られるクリント・イーストウッド監督の息子。日米の名俳優と名監督の息子同士の共演となった。そしてジョン・ボイエガが演じた同作の主人公ジェイク・ペントコストは、作中の英雄スタッカー・ペントコストの息子という役柄。人類の英雄である父の面影に対するジェイクの葛藤が描かれている。奇しくも三人ともがイェーガーに乗り込み活躍する展開を見せた。出演者たちのバックグラウンドを少し掘ってみるだけで、作品のメッセージに深みが出てくる好例といえるだろう。

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