『ノマドランド』クロエ・ジャオ監督「SFや漫画に囲まれて育った」 最新作『エターナルズ』は7,000年にわたる物語描く | VG+ (バゴプラ)

『ノマドランド』クロエ・ジャオ監督「SFや漫画に囲まれて育った」 最新作『エターナルズ』は7,000年にわたる物語描く

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『ノマドランド』監督の最新作は

『ノマドランド』で最多三部門を制覇し、第93回アカデミー賞の主役となったクロエ・ジャオ監督。作品賞と監督賞のオスカー像を手にしたクロエ・ジャオ監督の最新作は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)映画第26作目『エターナルズ』だ。『エターナルズ』は当初、2020年11月の公開を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりMCU全体のスケジュールが変更に。三度の延期を経て、現在は2021年11月5日(金) の公開を予定している。

つまり、『エターナルズ』はクロエ・ジャオ監督がオスカーを手にする前に公開される予定だったのだ。そもそも、パンデミック前には、『エターナルズ』と『ノマドランド』はどちらが先に完成するかも未定だったとされている。MCUにとっては延期が幸いし、これ以上ない追い風に。オスカー監督が手がけるMCU新シリーズに大きな注目が集まっている。

では、クロエ・ジャオ監督は『エターナルズ』でどのような物語を描こうとしているのだろうか。

7,000年にわたる物語描く

『ノマドランド』で描かれたのは、静かで美しいアメリカの自然、そして資本主義社会の価値観から外れて生きようとするノマドの人々の姿だった。米Varietyによると、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは『エターナルズ』で描かれる物語を「スペクタクル」と表現。「恐れ知らずで野心的。7,000年にわたる人類の物語と、宇宙における私たちの立ち位置についての壮大な物語」と説明している。

『エターナルズ』で描かれるのは、不死の宇宙種族エターナルズの戦い。人類の脅威となるディヴィアンツから、エターナルズが人類を守る物語だ。アンジェリーナ・ジョリーマ・ドンソクといった大物俳優が出演し、クロエ・ジャオ監督の物語を引き立てる。『ノマドランド』とは打って変わり、『エターナルズ』はMCU史上最も壮大なスケールの物語となることが予想される。では、『エターナルズ』を手がけるクロエ・ジャオ監督のクリエイターとしてのルーツはどこにあるのだろうか。

SFや漫画、ファンタジー映画から影響

クロエ・ジャオ監督は、『エターナルズ』を監督するにあたって、『エターナルズ』原作コミックの生みの親であるジャック・カービーから大きな影響を受けたことをVarietyに明かしている。「ジャック・カービーの想像力、そしてその素晴らしい作品が(『エターナルズ』の)土台になっています」と話し、自身がMCUファンであることを明らかにした上で、以下のように続けている。

私はこのジャンル(アメコミ/スーパーヒーローもの)のファンであると同時に、SFや(日本の)漫画、ファンタジー映画などに囲まれて育ってきました。この大きなるつぼの中からどんな料理を作り出せるか——その試みは非常にエキサイティングなことで、チームのみんなが望んでいたことでした。

クロエ・ジャオ監督は『ノマドランド』で、ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション書籍『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』(2017) を原作に、ノマドの“現実”を描き出した。『ノマドランド』には、『アベンジャーズ』(2012) のポスターが登場するが、このポスターは世間の流行と主人公ファーンが住んでいる世界の“距離”を示すアイテムとして機能していた。

一方で、クロエ・ジャオ監督が『エターナルズ』で挑むのは、自身が影響を受けて育ってきたジャンルをミックスさせ、最高の料理を作り出すことだ。クロエ・ジャオ監督は、第93回アカデミー賞授賞式に際して、WOWOWのインタビューに「一番好きな漫画」として『幽☆遊☆白書』(1990-1994) を挙げ、高校生の頃に“蔵馬”と呼ばれていたと明かしたことが話題になっていた。

アジア系女性監督としては初めて、女性監督としては二人目となるアカデミー賞監督賞と作品賞を受賞したクロエ・ジャオ監督。2月にはユニバーサルの映画『ドラキュラ(原題)』で監督・脚本・プロデューサーを務めることが明らかになったが、こちらもジャンルは“近未来SF西部劇”とされている。『エターナルズ』以降、クロエ・ジャオ監督は、SFファンタジーと共にあったクリエイターとしてのルーツを存分に見せてくれるだろう。

映画『エターナルズ』は2021年11月5日(金) 公開予定。

予告編の紹介はこちらの記事で。

MCU最新作ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の解説はこちらから。

6月11日(金)より配信を開始するMCUドラマ『ロキ』の予告と考察はこちらから。

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