小島秀夫監督、ゲームを語る
2019年11月8日(金)、小島秀夫監督の最新作『DEATH STRANDING (デス・ストランディング)』が発売された。同作のプロモーションでヨーロッパを訪れていた小島秀夫監督は、ドイツ時間の11月3日(日)、ベルリンで開催されたEGX Berlin 2019に出演。同イベントで「ゲームが持つ可能性」について問われ、ゲームがいかに特別なメディアであるかという点について語った。
運命と自由のバランス
EGX Berlinの舞台で司会者から「ゲームが持つ可能性」について聞かれた小島秀夫監督は、まずゲームが持つ特性と自身のゲーム作りに対するこだわりについて、以下のように語った。
ゲームはインタラクティブなので、その醍醐味は、例えばオープンワールドでアクションゲームであればどこへでも行けるし、なんでもできる。色んな組み合わせも自分で出来ます。これを阻害すると面白くないわけですよ。
一方でストーリーテリングというのは、マルチエンディングとかではなく、やはり運命のようなもので「あるキャラクターがここで死ぬ」というのは避けては通れない。ある種のゲームは (キャラクターが) 死なない場合も作りますけど。僕にとっては、ストーリーテリングはそうじゃないと思うんです。
その自由度と逆らえない運命・時間軸みたいなところのバランスをうまく取りながら、今は (ゲームを) 作っています。非常にバランスを取るのは難しいですけど、まだ他にも色んなやり方があると思うんです。
確かに、小島秀夫監督の過去の作品では、自身で手を下さなければならない場面がいくつも登場する。ストーリー=運命に逆らうことはできないが、プレイヤー=主人公は最終的に自らの意志で行動する。ゲームという自由度の高いメディアで物語を通してメッセージを発信していく中で、小島秀夫監督は様々な工夫を凝らしてバランスをとってきた。最新作『デス・ストランディング』においても、そのバランス感覚は健在だろう。
「人を豊かにできる特別なメディア」
その上で、一方通行ではないインタラクティブさがゲームの強みであるということは間違いない。ゲームを特別なメディアたらしめているその特性について、小島秀夫監督はこう続けている。
ゲームは自分で行動します。ストーリーがあっても、最後は自分で行動する。右に行くか左に行くかは自分で決める。それは自分の責任で、自分の記憶に残るんですが、ゲームが一番素晴らしいのは失敗が許されるということ。ゲームオーバーやコンティニューがあって、間違ってももう一回戻せるんですよ。ここが他のメディアと違う。人を豊かにできる、チャレンジできる特別なメディアだと思います。
ゲームは人を豊かにできるメディア——30年以上にわたってゲーム製作に携わり、「メタルギア」シリーズで累計販売数5,000万本以上を記録したゲームクリエイターだからこそ重みのある言葉である。
また、小島秀夫監督は最新作『デス・ストランディング』の発売を前に、更に先を見据える発言も行っている。これからのゲームのあり方について、「もっと違う形のものが増えてくる」とし、ゲームメディアの未来についても語っている。
なお、小島秀夫監督は『デス・ストランディング』でノーマン・リーダスをはじめとする豪華俳優陣が起用された理由にも言及している。以下の記事から、その詳細を確認できる。
このイベントには、映画『女は二度決断する』(2017) のファティ・アキンも登場。一足先にプレーした『デス・ストランディング』で受けた感動を語っている。詳細は以下の記事からご覧いただきたい。
Source
EGX Berlin Twitch