カードゲーム「シュレーディンガーのねこ」が完成
2021年春、混乱する世界の中でひたすら「観測」を続けてきたカードゲーム「シュレーディンガーのねこ」がついに完成しました。近年のボードゲームブームにおいても、類をみない「観測系ゲーム」です。制作したのは、私たち社会人サークル「SF文学振興会」の中でも選りすぐりの変人が集う「ボードゲーム部」のメンバー。知恵と技術と人脈を絞り出せるだけ絞って、なんとか作り上げました。
ゲームの礎になっているのは、ご存知のとおり、オーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーの思考実験「シュレーディンガーの猫」。
この思考実験、ごく簡単に言えば、中身が見えない箱の中に猫とラジウムとリレー装置と毒ガスを入れ、猫が死んでいる確率と生きている確率を同じにした場合、猫は、箱を開けてみるまで生死が重なり合った状況におかれる、というものです。
シュレーディンガーは量子力学的記述の不完全さを指摘するためにこの思考実験を用いたわけですが……皮肉にも、現在では量子力学的記述の説明に使われることのほうが多い気がします。SF小説の題材としても親しまれていますよね。そもそも、生きていて死んでいる猫なんて、素敵すぎます。SFファンじゃなくても好奇心をかきたてられる、ファンタスティックなモチーフです。
どんなゲームか
そんな「シュレーディンガーの猫」を基にして生まれた「シュレーディンガーのねこ」。簡単にどんなゲームか説明してみます。
まず、最初にやるのは「ねこ」を箱にいれること。カードは裏返すと箱の絵が書いてあり、自分の前に裏返して置くことで「箱に入った状態」になります。これで実験の準備はOK。あとは、この箱に「毒」や「猛毒」、あるいは「ねこ」を追加していきます。わかりますか? 机上に「シュレーディンガーの猫」を再現するのです。いやいや、自分で箱の中に要素を追加していくなら、「ねこ」が生きてるか死んでるか、わかるじゃないか。と、思いますよね? いえいえ、そこは大丈夫。「ねこ」の生死はわからなくなるようなゲーム要素を加えてあります。つまり、あなたにも、他のプレイヤーにも、箱の中の「ねこ」の生死はわからないんです。箱を開けてみるまでは!
そう、このゲームでなにより大事なのは「観測」です。ゲームの勝敗は、箱の中の「ねこ」が全滅するかしないかによりますが、箱の中にどれほどたくさんの「毒」が入っていても、「ねこ」の生死を確定させるためには、あくまでも「観測」が必要。「観測」を「回避」し続ける限り負けることはないのです。先に明かしてしまえば、これこそ、このゲームの必勝法!必勝法がわかってしまったらつまらない? 本当にそうなのかは、ぜひ、ご自身でプレイして確かめてください。
最後に、皆さんが気にしていることについて。箱の中を「観測」した場合、「ねこ」の状態が収束して、あるいは「全滅」していることもあるわけですが……、どうか悲しまないでください。この「ねこ」は、ゲームの世界で生きるタフで可愛い「仮想ねこ」。プレイするたびに生と死が重なり合う次元に生き、何度全滅しても、すぐに生き返って楽しませてくれます。
- ゲーム詳細
カードゲーム「シュレーディンガーのねこ」
- 対象年齢:10歳以上
- プレイ人数:2-6人
- 所要時間:5-15分
- セット内容:カード64枚・説明書1枚
- 定価:1,500円(税込)
制作:SF文学振興会ボードゲーム部
公式twitter:しゅれねこ公式