5年でストリーミング、次の5年でAI——『デス・ストランディング』小島秀夫監督が語った映画とゲームの未来 | VG+ (バゴプラ)

5年でストリーミング、次の5年でAI——『デス・ストランディング』小島秀夫監督が語った映画とゲームの未来

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世界で話題の『デス・ストランディング』

小島秀夫監督が手がけたPS4用ゲーム『DEATH STRANDING (デス・ストランディング)』が、2019年11月8日(金)に発売された。小島秀夫監督作品ではおなじみの映画のような壮大なスケールと映像・音楽演出、重厚なストーリー、そしてゲームならではの特殊なシステムで、世界中の人々を魅了している。

11月16日(土) には、『攻殻機動隊』(1995)などの作品で知られる映画監督の押井守監督が『デス・ストランディング』について語る動画も公開された。この動画での「映画は勝てない」という発言も話題となっている。

小島秀夫監督が語る“映画とゲーム”

一方で、小島秀夫監督自身も映画とゲームの関係性について発信を行ってきた。『デス・ストランディング』発売を直前に控えた11月3日(日)には、映画『女は二度決断する』(2017) などで知られるファティ・アキン監督と共に、ベルリンで開催されたEGX Berlin 2019に登場。映画とゲームの未来について語っている。

司会者からゲームが持つ可能性について問われた小島秀夫監督は、「昔は映画とゲームは水と油だった」としながらも、時が経ち、両者が「デジタル」という共通言語を手に入れたと解説。映画とゲームの距離感は近づいていると話している。

昔は映画は24コマのフィルムだったので、映画の人との共通言語は全くなかったです。なかなか話が通じない。こっち (ゲーム) は30フレーム、60フレーム (という世界)。今はデジタルなので共通言語もあって、最終的に映画になり、ゲームになるのですが、途中のプロセスは全く同じなんですよ。

 

今後は映画もゲームもストリーミングになっていくと思います。映画とゲームは一つになるわけではなく、それぞれは残りますけど、間がドンドン埋まっていって、映画で頑張っているクリエイターやゲームで頑張っているクリエイター、俳優、アーティスト、ミュージシャンが全部そこに集まって、今までになかったような新しいエンターテインメントを今後創っていくと思います。

映画もインタラクティブ化

2018年にストリーミング動画配信プラットフォームのNetflixで公開された『ブラックミラー: バンダースナッチ』(2018) は、ユーザーが展開を選べるインタラクティブ映像作品だった。『ブラックミラー: バンダースナッチ』は高く評価され、SF最高賞の一つであるネビュラ賞に新設されたゲームライティング部門を受賞している。新たなメディアの形はすでに登場しているのだ。

広がり続けるクリエイティブの世界

そして、この状況はクリエイターにとって新たなチャンスを生むと話す小島秀夫監督。映画やゲームがストリーミングメディアに集約されるということは、決して「先細り」を意味するのではなく、「大きくなっていく」と説明する。更に、クリエイティブの世界に起きる変化について、こんなヒントを与えてくれている。

今まではクリエイターが作ったものを皆さんが見ます。今はクリエイターが作ったものを誰かが実況配信することでその人がクリエイターになれる。この次は、クリエイターが作ったものを実況している人を皆さんが観るときに、クリエイティブなことができるようになるんですよ。僕らはクリエイターとして発信しますが、受け手の人もクリエイターになれるというか。そこでアートも入ってくると思います。すみません、抽象的なことを言っていますが (笑)

ゲームの今後

最後に小島秀夫監督は、ゲームの今後について以下のように予測している。

この5年でストリーミングになりますし、後の5年でAIが入ってきます。ものづくりとか。僕らクリエイターと皆さんを繋ぐ間にAIが入ってきます。映画もゲームも無くなりません。もっと違う形のものが増えてくるので、まだ分かりませんが、ファティさんと何かやるのであればゲームでもなく映画でもなく、これまでにもないもので猛烈に感じるものができればいいなと思いますね。

実は、小島秀夫監督は、2019年8月に開催されたサンディエゴ・コミコンでも同様のことを語っている。この時は、『デス・ストランディング』にも出演したニコラス・ウィンディング・レフン監督と登壇し、「AIが続編やシリーズものを作ることになると思います」と語っている。

小島秀夫監督は、これまで「メタルギア ソリッド」シリーズでもAIをテーマにした作品を制作してきた。同時に、ゲームの持つインタラクティブ性という特徴を最大限に活かしつつ、ゲームと映画の垣根を越える作品を次々と世に送り出してきた。小島秀夫監督が見据える未来は、どのような形で現実のものになるのだろうか。

ゲームならではの経験を提供してくれる小島秀夫監督の最新作『DEATH STRANDING (デス・ストランディング)』は発売中。

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EGX Berlin 2019で小島秀夫監督と共に登壇した映画監督のファティ・アキン監督が語る『デス・ストランディング』の魅力は、以下の記事からご覧いただける。

なお、小島秀夫監督は同イベントで「ゲームは人を豊かにできる特別なメディア」と発言し、改めてゲームというメディアの魅力を語っている。詳細は以下の記事からご確認いただきたい。

Source
EGX Berlin Twitch

VG+編集部

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