シーズン4第5話ネタバレ解説『ザ・ボーイズ』まさかの退場&再登場! V52エキスポの裏で あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

シーズン4第5話ネタバレ解説『ザ・ボーイズ』まさかの退場&再登場! V52エキスポの裏で あらすじ&考察

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『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話はどうなった?

Amazonプライムビデオの人気ドラマ『ザ・ボーイズ』(2019-) は、2024年6月よりシーズン4の配信が始まっている。全8話で構成される本シーズンも、あっという間に後半戦へ。ファイナルシーズンとなるシーズン5へ向けてストーリーは加速していく。

今回は、後半戦の幕開けとなる『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話をネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容は本編のネタバレを含むため、必ずAmazonプライムビデオで本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

また、本作は視聴対象が18歳以上の成人向けコンテンツとなっている。露骨な残虐描写や流血描写、性描写が含まれるので注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話の内容に関するネタバレを含みます。

『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話「ジャバウォックに気をつけろ」ネタバレ解説

V52エキスポ開幕

『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話のタイトルにある「ジャバウォック」は、童話『鏡の国のアリス』の中で語られる架空の生き物で、空を飛ぶ生き物であることが分かっている。シーズン4第5話では“空を飛ぶ”生き物がポイントになる。

“これまでのあらすじ”では、第4話までの内容とともに、2023年に配信されたスピンオフドラマ『ジェン・ブイ』シーズン1の内容も含まれている。同作では、能力者にだけ感染するウイルスがゴドルキン大学の地下で開発されていたことが明かされた。あらすじでも描かれている通り、『ザ・ボーイズ』からニューマンも登場し、研究者のエディソン・カルドーサ博士からウイルスを受け取った後に博士の頭を破裂させて口封じに成功している。

そしてシーズン4第5話の冒頭では、V52エキスポのオープニングが流される。1950年の「ヴォート・アメリカン」というロゴから始まり、1953年の映画と思われる『ボムサイト フー・マンチューの呪い』、1957年の広告「リバティーはバドワイザーと共に」、1967年の映画『クリムゾン』、1970年の作品『ビッグ・チーフ・アパッチ “ゴミを捨てるな”』(ネイティブアメリカンの作品なのに明らかに白人が演じている)などが紹介されている。

その後も、1979年のブラック・ノワール、1984年のクリムゾン・カウンテスなどの映画作品が紹介されている。シーズン3で公開されたことになっている『セブンの夜明け』の映像もある。イベントの壇上にはキャメロン・コールマンとディープが上がっているが、それを傍で見ているホームランダーは、前話で思い出した幼少期のトラウマと、その“清算”のことで頭がいっぱいの様子。それでも最後に浮かぶのは息子のライアンの顔だった。

その“帰郷”について聞くシスター・セージをホームランダーが無視する間、舞台上では映画『G-メン:WW3』について発表されている。G-メンは原作コミックに登場するX-MENのパロディチームで、数十人のメンバーが所属している。ドラマ『ジェン・ブイ』はG-メンに着想を得て製作されたというが、ドラマ『ザ・ボーイズ』の世界にはG-メンは別で存在しているということだろうか。

マーベルのMCUをパロったVCUについては、ディープがフェーズ7からフェーズ19までを紹介。近年のMCUが3フェーズ先までの作品を大量に発表し、訳が分からなくなりつつある状況を揶揄する演出だ。

図を見ると、「G-メン」作品が結構多くて、フェーズ9の『G3』の後にフェーズ10でも『G-メン デイズ・パスト・フロム・フューチャー』が公開されるらしい。これは『X-MEN:フューチャー&パスト』の原題『X-Men: Days of Future Past』のパロディで、「X-MEN」シリーズよろしく過去編をやるということだろう。あと『ジェン・ブイ』にも登場したテックナイト作品も地味に多いが、毎フェーズに作品が入っている割にロゴが小さく、扱いがいいとは言えない。

ザ・ボーイズが(相変わらず)抱える問題

ヒューイは前回、危篤状態だった父ヒューにコンパウンドVを打つことをやめたが、やはり母ダフネがVを打っており、ヒューはすっかり元気になっていた。副作用はまだ分からないが、ヒューイとダフネの二人は元気なヒューの姿を見て、この現実を受け入れてしまっている。

ダフネはVが「コートから落ちた」と言っているが、本当なのだろうか……。ダフネはヴォート社の系列会社で働いているから怪しい。それに、ヒューイにはスターライトという能力者の恋人もいるし、コンパウンドVの力を得た身内を全否定することもできない。

テレビではファイアクラッカーがアニーを糾弾。中絶を選んだことを「赤ん坊殺し」と呼び、自身への暴行で訴えるとしている。さらには、エゼキエル殺害に関わっているという陰謀論も。スターライト・ハウスはすっかりファイアクラッカー支持者たちに荒らされており、壁にはアニーを批判する無数の落書きが描かれている。このシーンでは、アニーも大きな問題を抱えていることが強調されている。

続いてはMMだ。娘のジャニーヌがトッドの影響を受けてホームランダー信者になっており、学校で「ホームランダーはヒーローだ」と言う男の子に罵倒されて彼を殴るという暴力トラブルを起こしていた。だが、MMはそれを咎めることができない。ジャニーヌはMMがトッドに暴力を働いているところを見ていたからだ。

ザ・ボーイズのメンバーそれぞれが問題を抱えていることが紹介されると、ブッチャーを誘惑するのはジョー・ケスラーだ。『ジェン・ブイ』の地下に作られた研究用施設の資料を見るブッチャーに、ジョー・ケスラーはザ・ボーイズではなく自分たちで任務をやり遂げることを提案する。ケスラーの言う通り、今のザ・ボーイズはボロボロ。それでもブッチャーは、「スターライトは渡す」と言いつつもキミコは「使える」と仲間への情を隠さない。

ホームランダーを倒せる最後の機会なのに甘すぎる、というのがケスラーの意見。ブッチャーは、「俺たちはまともじゃない」という悪友からの誘惑に踏みとどまれるのだろうか。それにしても立ち去るジョー・ケスラーの姿がカッコ良すぎる。

ブッチャーは何と言った?

ザ・ボーイズのオフィスでは、前回共に過去のことでタラに突き放されたキミコと、コリンに突き放されたフレンチーが自暴自棄になっている。二人は共に相手を気遣いながらも、起きたことを話そうとはしない。この時、フレンチーは机の中に入っていたビーズのネックレスのようなものを手に取っている。

そこに憎まれ口を叩きながら現れたブッチャーのセリフは、字幕と吹き替えでは「女のくせに冷たいな」となっているが、英語では「カントと呼ぼうかと思ったけど、そんな深みも温かみもないな(I’d call you a cunt, but you ain’t got the depth or the warmth.)」と言っている。

「Cunt」はブッチャーがいつも言っている侮蔑語で、「クソ」とか「バカ」という意味で使われるが、同時に「女性器」という意味もある。字幕と吹き替えでは長さの都合で割愛されているが、「女性器呼ばわりするほど“深さ”も“温かさ”もない」と発言していることが分かる。ちなみにジョン・ケスラーとの会話では、ブッチャーの「こんな寒い場所に呼ぶな」という不満に対してケスラーが「母親の膣の中の方がよかったか?」と返しており、その流れを汲んだ発言でもある。

エゼキエルを倒した方法を聞かれるも「分からない」と答えたブッチャーは、能力者を殺すウイルスの存在についてザ・ボーイズと共有する。余命のこととか、ウイルスのこととか、ブッチャーの情報共有はいつも後出しだ。やっぱりアニーはアニーとキミコも危険に晒されることを指摘しているが、ブッチャーは気にせずニューマンで試そうと言う。そして、このウイルスを盗みに行ったがニューマンに先を越されたことを明かすのだった。

この件はおそらくスピンオフドラマ『ジェン・ブイ』シーズン1最終話のラストシーンを指している。ゴドルキン大学の地下にブッチャーが現れて同作は幕を閉じたが、この時にはすでにウイルスはニューマンの手に渡っており、ウイルスを手に入れることができなかったということだろう。エディソン・カルドーサ博士がウイルスをニューマンに渡した後だったのだ。

MMは、ウイルスをニューマンが持っていることが危険だとして、ウイルスを盗むというブッチャーの案に賛成する。そしてブッチャーは最後に「ほんのちょっとしたお願い (tiny little thing)」として、政府と繋がっているMMに「大統領の恩赦が欲しい」と頼むのだった。この時のブッチャーの天真爛漫な笑顔よ。

まさかの共闘

ヴォートは新ブランド「ヴォート・フェイス」の新作として『ファイアクラッカー 神の戦士』を発表。“フェイス (faith)”は信仰の意味で、クリスチャン向けのラインになるようだ。エゼキエルの追悼で流れる曲はサラ・マクラクラン「I Will Remember You」(2008)。そのタイトル通り、「あなたを忘れない」という内容が歌われている。

シスター・セージは、スターライターのアリバイ映像を流出させたスパイがいるとして、Aトレインを疑っている。Aトレインはヒューイとの和解にこぎつけたものの、セブンの中では岐路に立たされている。

そして、ブッチャーが恩赦を求めた相手とは、なんとスタン・エドガーだった。待ちに待ったエドガーの復活。ヴォート社CEOだったエドガーは、シーズン3で養子のニューマンと組んでホームランダーを懲らしめようとした。しかし、逆にニューマンはホームランダーと組み、ホームランダーが内部告発者となってエドガーを告発したと記者会見で発表した。この後、テレビではエドガーには徹底的な調査が行われると報じられている。

2023年2月には、現実のヴォート・インターナショナルのX(旧Twitter)アカウントが、スタン・エドガーのバハマの別荘で企業秘密を含む書類が見つかったと報じている。この投稿には、エドガーが逮捕されて連行されているようにも見える写真が添付されていた。

この後に「陶芸の授業がある」と主張するエドガーに、ブッチャーはニューマンからウイルスを入手することを条件に「無条件恩赦」の紙を見せるが、エドガーは乗り気でない。だが、エドガーは孫娘のゾーイがVを打たれたこと、ゾーイを渡すという条件を告げられて翻意。流石のエドガーも孫には弱いらしい。ついに、エドガーがシャバに帰ってくる。

ヒューイを除くザ・ボーイズメンバーは一同でエドガーの出所をお出迎え。昨日の敵は今日の仲間、スタン・エドガーがザ・ボーイズに加わるという胸アツ展開である。それにしてもエドガーがどの現行キャラよりも品があるというのは笑える。

二組の親子

その頃、ヒューイは父母と楽しい時間を過ごしていた。ヒューは、アカプルコでの新婚旅行の話から、今度はブランソンやピジョン・フォージといった米国内のリゾート地やパリ旅行に行きたいと話している。家族で過ごす幸せな時間。さらにダフネはヒューイにアニーへのプロポーズ用にと自分の婚約指輪を渡す。ヒューイはまだ準備ができていないと言うものの嬉しそうで、これまで味わうことのなかった“家族らしい”時間が嬉しいのだろう。

ダフネは、改めて共に時間を過ごせなかったことを謝罪。ヒューも、ダフネがヒューイに会いたがったのに拒否するべきじゃなかったと反省する。それでもヒューは、ヒューイに治療の権限を託さなかったことについて、ヒューイは9歳の頃から変わっておらず、誰のことも諦めない子だと指摘。ヒューイが小さい頃に猫のジャージャーを死なせてやれず、ひどい死に方をしたことを思い出してダフネを指名したのだという。誰のことも諦めないのがヒューイの良いところでもあるが、それが悪い方向に出ることもあるのだ。

そして、ヒューは最後に気になることを言う。さっきトイレに行くと言って席を立ったばかりのダフネはどこに行ったかと聞くのだ。ヒューの記憶に問題が生じている可能性を示唆してこのシーンは幕を閉じる。基本的に誰も幸せになった試しがないのが『ザ・ボーイズ』だ。

エドガーは、ニューマンが何か隠すならここだと雪が積もった街の家へ案内する。壁に血がついている家の中を地下に進んでいくと、そこではなんらかの実験が進められていた痕跡が。ブッチャーは、時効性Vを打たれていたウサギのファジー・バジーを逃してやる。優しい。野放しにするのはあんまり良くないと思うが。なお、シーズン3第4話ではコンパウンドVを投入されたハムスターのジェイミーが野に放たれている。

ウイルスは全てなくなっており、そこに現れたのはニューマンだった。一同が鼻血を流しているのはニューマンの能力だ。ニューマンはスピンオフドラマ『ジェン・ブイ』で、血液を操れる能力者だということが発覚した。この能力は、元は自分の血液を操れるだけだが、『ONE PIECE』風に“覚醒”すると、他者の血液を操れるようになり、簡単に頭を爆発させることもできる。

エドガーの裏切りに意外と動揺している様子のニューマンは、カミールという人物に何かが起きたことについて、ザ・ボーイズを問い詰める。一同には心当たりがなく、エドガーはニューマンとの共闘を提案。ニューマンは乗り気ではないが、ザ・ボーイズにはヒューイがニューマンの素性をバラせるという切り札がある。ヒューイがここにいなかったこと、シーズン4第1話でブッチャーがあのデータをニューマンに送らなかったことが効いている。

まともになったホームランダー?

まだ続いているV52エキスポでは、シーズン4第2話で撮影されていたウィル・フェレルとAトレインの『トレーニング・Aトレイン』が発表されている。結構面白そうだ。流れている曲はJoseph William Morgan feat. Shadow Royale「Ain’t No Mountain High Enough」(2015)。「越えるのに高過ぎる山も、深すぎる谷も、広すぎる川もない」「君が呼ぶなら、いつでもそこに駆けつける」と、Aトレインに合った良い歌詞が並んでいる。

Aトレインが作品について話している間、ディープは犯罪分析室から外されたことを報道したとキャメロン・コールマンに怒っていた。そのせいでドラマを降ろされたらしい。Aトレインは自分が出ているヴォートプラスのドラマ『ダブル・スタンダード』が“再撮影の再撮影”を終えて制作ひがドラマ史上最大になったと誇っている。これも再撮影が多く、予算が高騰しがちなMCUドラマに対する皮肉だろう。

そして、ヒーローの多様性を先導するという名目で、シスター・セージ、Aトレイン、ブラック・ノワールによるチーム「ブラック・アット・イット」が発表。さらに視聴する顧客の人種によってプロダクトプレイスメント(劇中に本物の商品を登場させること)の商品が変わるという施策まで発表されている。ものすごいテコ入れだ。

人種によって表示される商品が変わるというのは偏見に基づいているが、個人に合わせて広告やコンテンツのレコメンドが変わる時代には、プロダクトプレイスメントの切り替えも起こりうるかもしれない。それを突き詰めていけば属性によって見ているものが違うという世界は十分にありそう(というかもう来ていそう)で、末恐ろしくはある。

ライアンはアダム・バーク監督からデビュー作『スーパー・スクール』の説明を聞いている。ホームランダーは「それがタイトル?」と尋ねているが、アダム・バークは「それしか残ってなかった」と答えている。これはメタ的に『ザ・ボーイズ』でネタとして使える使い捨てのタイトルがこれくらいしかなかったということを意味しているのだろう。だからホームランダーもあまり踏み込まない。

ホームランダーは、ライアンの意見をしっかり聞いて、ティーンの番組をやりたくなさそうなライアンに「やらなくていい」と言ってあげる。アダム・バークはミンカ・ケリーの前で自慰行為をしたからかと聞いているが、ドラマ『ジェン・ブイ』第2話ではアダム・バークはミンカ・ケリーへのセクハラで干されたと話していた。

アダム・バークは制作総指揮就任と脚本の承認権、それに自分の財布とジャガーの鍵も渡すが、それでもライアンは作品に出ないことを決める。ホームランダーは、自分が他人に操られる人生を送ってきて、ライアンのことも同じように扱ってしまったと反省している。二人は奴隷から解放されると約束し、「お前がいないとこの星に意味などない」という殺し文句まで。なんだかホームランダー、ライアンに対してはまともになったように見える。

V牧場へようこそ

エドガーは、アンドリュー王子から貰ったという靴を履いて泥道を進んでいる。アンドリュー元王子は児童への性的暴行などで逮捕され有罪の判決を受けたジェフリー・エプスタインの友人だったとされており、自身も児童買春スキャンダルと性的暴行の訴訟を受けて王室メンバーの地位を失っている。ここでエドガーがその靴を履いているのは、汚れても良いと思っているからかもしれない。

エドガーとニューマンの親子関係も複雑だ。ホームランダーを制御する方法はないと主張するエドガーに、ニューマンは危険の元凶はエドガーであり、自分は利用されたから娘を守ると主張する。ホームランダーと同じく、人間の大人に利用されたという気持ちがニューマンの中にもあるのだろう。

ブッチャーたちはお腹に卵を生まれて死んでいるサミールの助手を発見。するとボディガードの一人がVを投与されたニワトリに腹を突き破られる。『ゼルダの伝説』みたいな対無敵のニワトリ戦。唯一ニューマンはニワトリを体内から破裂させることで応戦できるみたい。咄嗟にエドガーを守っているあたり、まだ愛情はあるのだろう。

難を逃れてブッチャーと口喧嘩になったニューマンは、第1話で反故になった二人の取引についてザ・ボーイズにバラしてしまう。ギリギリのところで立ち止まったブッチャーは「取引してない!」と言うけれど、やっぱり皆の信頼は失ってしまう。これはしょうがない。

『ジェン・ブイ』からあの三人が

キャメロン・コールマンはCEOでなくなったアシュリーを突き放す。支配者に興奮する性癖だったのだ。一方のファイアクラッカーは自分がスターライトに殴られることも計画通りだったことに憤っている。ホームランダーはライアンだけを見ているし、ファイアクラッカー vs セージも浮上し、シーズン4第5話のセージはなんだかうまくいってなさそうだ。

フレンチーは机の引き出しの中から持ってきたネックレスをポケットに入れている。キミコもしんどそう。多分誰よりしんどいのは咳き込んでるブッチャーだ。しかし、ニューマンはアニーが能力を使えなくなっていることに気づいていた。

ニューマンは「二つの人格を持つもの同士」と歩み寄ろうとするが、アニーはそれを拒否してニューマンのことも殴ってしまう。アニーはかなり精神的に不安な状況にあることが分かる。一方のブッチャーは瀕死のウサギを発見。腹から飛び出した飛び出した触手を踏み潰し、何かより大変なことが起きていることが示唆される。

V52エキスポでは、『ジェン・ブイ』でお馴染みのテックナイトが映画『テックナイト』のリブートを発表している。ステージ脇では、Aトレインが前話で共闘することになったアシュリーに自分がスパイであることを明かし、セージからの疑惑の目を逸らすように依頼する。

その間にもテックナイトは次の映画ではニルヴァーナの曲が使われ、12分間の真っ暗なシーンもあると意味不明なプレゼンをしている。ちなみにMCUでは、『キャプテン・マーベル』(2019) にニルヴァーナの「Come as You Are」が使われており、『ブラック・ウィドウ』(2021) でもニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」のThink Up Anger Ft Malia Jによるカバーバージョンが使われた。

追記:読者の方より、上記が「バットマン」ネタではないかとご連絡をいただきました。テックナイトがバットマンと同じ探偵キャラであること、映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022) でニルヴァーナの「Something In The Way」が使用されていること、同作の画面の暗さがミーム化したことから、こちらのご指摘が正解と思われます。ご連絡いただいたX様(仮称)、ありがとうございます!】

ヒューイは徘徊していた父ヒューを見つけるが、ヒューの前には人が倒れており、手には人間の心臓が握られていた。しかもヒューイのことを覚えていない。職員の叫び声に驚いたヒューは壁をすり抜けて走り去ると、別室の患者の“中”で立ち止まってしまい新たな犠牲者を生む始末。まさにmessed up。メチャクチャなことになってしまった。

ヒューには明らかに認知症の症状が出ており、しかもスーパーパワーを持っているという厄介な状況だ。ヒューイは一度はVの投与をやめたけれど、やっぱり病室までVを持ってきてしまったからこういう状況を生み出すことになった。猫を死なせてやれなかった時のヒューイ少年と同じで、ヒューの心配は当たってしまったのだった。

V52エキスポでは、壇上にケイト・ダンラップサム・リオーダンが呼び込まれていた。『ガーディアンズ・オブ・ゴドルキン』というタイトルロゴも見える。これはもちろんマーベルの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」をパロったもので、『ジェン・ブイ』で起きたゴドルキン大学での事件から名付けられたチーム名だ。

キャメロン・コールマンに突っかかるディープは、けれどパートナーがタコであることを暴露するぞと報道の権力で脅されてしまう。何をやってもうまくいかないのがディープだ。ステージで発表されたコメディドラマ『フリップト』ではケイトとサムの身体が入れ替わるという物語らしい。この二人がどうのようにしてここまで来たのかは、すでに製作が発表されている『ジェン・ブイ』シーズン2で描かれることになるだろうか。

今回はライアンにかかりっきりのホームランダーは、ライアンに「したいことはないか」と尋ねる。するとライアンは「人助けがしたい」と言い、「ママも望むと思う」とも。めちゃくちゃ良い子だ。ホームランダーは、アシスタントを誘っている様子のアダム・バーク監督を見つけると、ライアンに介入させることに。バークは謝るがそれでは済まない。

ホームランダーの「問題はアシスタントを見下していること」という指摘は至極真っ当だ。だが、危うくなってくるのはここから先で、ライアンはアシスタントにバークを叩かせて笑顔を見せる。ホームランダーは、きちんと理由を作ってライアンのサディズムを育てるという厄介な行動に出始めたのである。

サミール役はあの人

フレンチーが持っていたビーズはロザリオで、クリスチャン家庭で育ったアニーがそれを見てフレンチーに話しかける。ロザリオはカトリックが祈りに用いる道具だ。フレンチーは神を信じるが、“赦しの秘跡”だけはデタラメだと話す。赦しの秘跡とは、カトリックにおいて洗礼を受けたものが罪を告白して赦しを与えられる場所のことだ。

アニーは「赦しは大事」と言うが、フレンチーは「赦せても赦されることはない」「永遠の罪もある」と多くの罪を背負っていることを告白する。取り除けない大きな罪悪感がフレンチーの抱える問題だ。嫌われるのが怖くてキミコに話せていない、嫌われないならもっと怖いとも話しており、もはや赦されることに恐怖すら感じているのかもしれない。「赦されないことをした」という思いが「赦されたくない」に転じてしまうのはなんとなく分かる気がする。

そこにコンパウンドVを打たれた牛が現れて大ピンチ、かと思いきや、それを上回る空飛ぶ羊たちが現れて一同は逃げ惑うことに。これがシーズン4第5話における“ジャバウォック”だ。そして、一同が逃げ込んだ小屋にいたのは、先ほどがニューマンが心配していたサミールだった。サミール・シャーはゾーイの父親で、ヴォートの研究者だったという。

ちなみにサミールを演じている俳優のオミッド・アブタヒに見覚えがあるという方もいるだろう。ディズニープラスのドラマ『マンダロリアン』(2019-) でも科学者のドクター・パーシング役を演じているのだ。もしかするとパーシング役を買われての出演かもしれない。

サミールはハムスターにVを打ったら逃げられてVが地下水に漏れたと状況を説明する。フレンチーは「ハムスターを選んだのが間違い」と指摘しているが、これはシーズン3で訪れたロシアでVを打たれたハムスターのジェイミーを見ているからだ。MMも一緒に行っていたので頷いている。ウイルスは一本の注射を残して全て失われたという。ニューマンが選んだ人間の割には無能すぎないかと思うが、ここはこの一本の注射をどうするか皆で考えなければいけない。

ところが、密室で意見がぶつかるというサスペンスのような展開に。ブッチャーは誰が生き残るかダッシュすると主張すると、エドガーがゾーイを奪うつもりだとニューマンにチクったり、アニーに「ファイアクラッカーにやったみたいに殴るか?」と言ったりめちゃくちゃだ。MMには蕁麻疹が出てしまう。かわいそう。

それでもMMは、アニーに誰彼構わず殴るのをやめるように、ニューマンに娘を自分がいた施設に送らせないように、そしてブッチャーには、怪物ではなく心が残っていると説得する。この前に「娘は俺を必要としてる」と話しているのは、シーズン4第4話でブッチャーがMMを「最高の父親」と呼んでライアンのことを託そうとしたからだろう。

この言葉はニューマンやエドガーにも響いた様子。怪物のようなことをしてきた一同だが、子どもに対する責任はある。今は人としての心を優先するべきだという思いに皆がなれた場面かもしれない。ウイルスの感染経路は体液の接触のみ。一同が選んだのは、そこにあった死体にウイルスを注射することだった。

牧場事件の結末

病院では、ダフネが出て行った頃の記憶に戻っているヒューが怒ってダフネに詰め寄っている。そこでヒューイはテックナイト人形の思い出を語り、自分のヒーローは父親だったからそれを伝えたかった、だから目を覚ましてほしかったと伝えてヒューの意識を元に戻す。テックナイトってキャラとしてなかなか寿命の長いヒーローなのね……(スキャンダルなくやってこれたことがすごい)。そしてヒューイは、苦しむヒューに自分が止めると伝えるのだった。

牧場では、ウイルスを注射された死体がVを打たれた羊に食われる。この狙いは的中し、ウイルスに感染した羊は次々と倒れて一同は生き延びることに成功したのだった。ところが、そこにはサミールの姿がなく、ニューマンは今までに見たことがないくらいに取り乱す。ニューマンの人間的な新たな弱点が露呈し、一同は意外な表情を見せている。

ウイルスがなくなったことでエドガーは刑務所に戻されることに。ニューマンはサミールの片足が発見されたことを知り、残りは羊に食べられたと察する。ザ・ボーイズメンバーは収穫なく帰路につく。しかし、敵も味方もこれでは終わらなかった。ニューマンはエドガーを護送している運転手の頭を破裂させ、エドガーを救出。ニューマンは泣きそうな顔をしており、家族への情というものがニューマン攻略の鍵となる予感を漂わせている。あるいはこれも演技か……。しかしエドガーがこれで退場でなくてよかった。

退場する面々

ヴォートタワーでは、セブンメンバーにテックナイト、ケイトとサムが召集されている。やっとV52エキスポが終わったようだ。生まれ変わったホームランダーはシーズン4第5話で初めてライアン以外の面々と向き合う。セレブは終わり、子ども達のために時が来たら怒れる神となれとヒーロー達に告げるのだ。サムもケイトもホームランダーに従順だ。

そして、まずは情報漏洩の犯人に制裁を加えることに。そこで連れて来られたのは、先ほどディープやアシュリーと対立していたニュースキャスターのキャメロン・コールマンだった。マーヴィン・ミルクとの通話記録が見つかったという。マーヴィン・ミルクというのはMMのことだ。実際にMMと通信していたのはAトレインであり、アシュリーが工作してコールマンを売ったのだろう。コールマンはヒーロー達にリンチされることに。コールマンはここで退場ということになるだろうか、ひとまずAトレインの首の皮はつながった。

アニーがスターライト姿の自分の写真と向き合う一方、キミコはようやくフレンチーに話をしようとテキストを送る。しかし、フレンチーはそのテキストを見ることなく、殺人犯として警察へと自首するのだった。フレンチーもここで退場となってしまうのだろうか。

“退場”といえばもう一人。ヒューイはフレンチーに教わった薬の知識で、ヒューを安楽死させてやることに。ダフネとヒューイが見守る中、互いに愛を伝えて、ヒューは息を引き取る。幸せな最後だったのではないだろうか。最後にヒューイは、序盤で話していたパリへ映画『ダ・ヴィンチ・コード』(2006) の聖地巡りをしようという話をもう一度する。ヒューが死ぬ間際に「トム・ハンクス」と言っているのは、『ダ・ヴィンチ・コード』の主演がトム・ハンクスだからだ。

ヒューが息を引き取りダフネがヒューイをハグすると、ヒューイは堪えきれず泣き出す。非常にエモーショナルなこのシーンは、シーズン1からヒュー・キャンベルを演じてきたサイモン・ペッグの名演技が光っていた。原作コミックのヒューイはサイモン・ペッグをモデルに創造されており、ドラマ版『ザ・ボーイズ』ではその縁あってヒューイの父役で出演することになったサイモン・ペッグだが、堂々の存在感を見せてくれた。拍手を送りたい。

ラストで登場したのは…

そして、ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話のラストシーン。ジョー・ケスラーと共に車から降りてきたブッチャーは、片足を失った状態で小屋の中に拘束されているサミール・シャー博士のもとへケスラーを連れて行く。そう、サミールは死んでおらず、切断された右足は羊に食われて死んだと思わせるためのフェイクだったのだ。

ケスラーが「これぞクラシック・ブッチャー」と喜ぶと、ブッチャーはサミールにウイルスを作るよう告げ、ケスラーに笑顔を見せるのだった。ブッチャーはまだウイルスを諦めていなかったのだ。確かに死んだ羊などからウイルスはまだ取り出せるかもしれない。ケイトとサムも出てきたし、残り3話でまだまだウイルスのストーリーラインは続いていきそうだ。

エンディングで流れる曲は童謡の「ゆかいな牧場」。「マクドナルド爺さんは牧場を持っている」という歌詞と、豚やアヒルの鳴き声で構成されている曲で、シーズン4第5話が“牧場回”であったことを強調している。

『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話ネタバレ考察&感想

『ザ・ボーイズ』シーズン4第5話は動物ホラー回でもあったが、ニューマンにエドガーに皆集合しての楽しげな回でもあった。全体としては、ホームランダーxライアン、ヒューxヒューイ、ニューマンxエドガーという三つの親子関係が進行しており、ヒューxヒューイがなんとか幸せな終わりを迎えたのに対して、ヴィランであるホームランダーxライアンとニューマンxエドガーは新たスタートを切っている。

少し視野を広げると、その他の登場人物で親としての責任を果たそうとしているのはMMとブッチャーで、それ以外のメンバーは相変わらず自分の過去と取っ組み合っている。その中で、親を亡くしたヒューイがチームに新しい風をもたらせるのか、ほとんどお兄ちゃんであるブッチャーが余命わずかな中で一緒にいてやることはできるのか、という点にも注目だ。

また、シーズン4第5話ではスピンオフの『ジェン・ブイ』から若きスープス二人が登場した。ケイトは触れた相手の行動や記憶を操り、幻覚を見せることもできる。ホームランダーにとっても厄介な相手になりうるが、ホームランダーのコスチュームは露出が極端に少ないので大丈夫か。サムの方はキミコの上位互換のような圧倒的な強さと不死身の身体を持っている。幻覚を見て暴れることがあるので、ホームランダーとぶつけると時間は稼げそう。

そのホームランダーは、過去の清算を終えてちょっと賢くなったっぽい。これまでは「私が求めていたこと」をライアンに押し付けていただけだったが、今度はライアンが求めていることを、ホームランダーの助力でやらせてやっている。その過程が“ホームランダー流”となってしまうのが問題で、ライアンはホームランダーとは違う形でモンスターになってしまわないか心配である。

ウイルス関連で言うと、心配なのはアニーとキミコがあの牧場での騒乱でウイルスに感染していないかどうかだ。ウイルスはまだホームランダーを倒せるほどには強くないらしいが、キミコが危篤になったとしたら、フレンチーは脱獄してでもカムバックするかもしれない。

シーズン4も残り3話というところまで来たが、まだまだバラバラなザ・ボーイズ。ファイナルシーズンへのカウントダウンが始まる中、物語はどんな展開を見せるのか、引き続き注視していこう。

ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4はAmazonプライムビデオで配信中。

原作コミックの日本語版は、G-NOVELSから第6巻まで発売中。

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『ザ・ボーイズ』シーズン4第4話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第3話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

 

『ザ・ボーイズ』シーズン3最終話のネタバレ解説&考察はこちらから。

スピンオフドラマ『ジェン・ブイ』シーズン1最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

 

『ザ・ボーイズ』のシーズン5での終了についてエリック・クリプキ監督が語った内容はこちらの記事で。

『ジェン・ブイ』シーズン2についての情報はこちらから。

「ザ・ボーイズ」フランチャイズの更なるスピンオフ展開についてはこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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