『地獄が呼んでいる』Netflixドラマ1位! ヨン・サンホ監督による韓国ウェブトゥーン原作ドラマ! | VG+ (バゴプラ)

『地獄が呼んでいる』Netflixドラマ1位! ヨン・サンホ監督による韓国ウェブトゥーン原作ドラマ!

© Futabasha Publishing Ltd. / Netflix

配信されるや世界で注目された韓国ドラマ『地獄が呼んでいる』

韓国ドラマがアツい。『愛の不時着』『梨泰院クラス』『イカゲーム』と、日本のNetflixランキングの中でも韓国ドラマが上位を占める。

そんななか2021年11月19日(金)に配信が開始されるやいなや、ランキング1位に躍り出た韓国ドラマがある。

しかも日本だけではない。ご当地、韓国はもちろんのこと、アメリカ、イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、カナダ、ブラジル、オーストラリア、香港、インドでもTOP10内にランキングされている(執筆時点)。

それが今回ご紹介する韓国ドラマ『地獄が呼んでいる』である。

『地獄が呼んでいる』

アニメ・映画監督ヨン・サンホが描く「地獄」

『地獄が呼んでいる』の監督・演出・脚本を手掛けたのは、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)が世界中で大ヒットしたアニメ・映画監督ヨン・サンホだ。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』

前日譚を描いた長編アニメ『ソウル・ステーション/パンデミック』(2016)や続編『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2020)のようにゾンビ映画で知られる監督だが、『地獄が呼んでいる』ではゾンビの集団に代わって謎の超常現象が恐怖の対象になる。

本作は、ヨン・サンホ監督が2003年に制作した短編アニメ『地獄(二つの生)』をベースに、大幅にリメイクされている。地獄に行く瞬間が「告知」されるという要素を踏襲しつつ、それらが神の裁きであると信じるカルト宗教を中心にした物語として新たに紡ぎなおされた。

地獄に堕ちると予言する「天使」とそれを実行する謎の化け物。殺人事件として犯人を追う刑事。「告知」された者を擁護する弁護士と、罪人であるがゆえに「告知」されたのだと断罪する狂信者たち……。不可解な出来事に直面した人間・群衆の心理をどこまでも抉ってくるドラマが見どころで、シーズン1として6話が配信された。

原作はヨン・サンホ監督が脚本を手掛けるウェブトゥーン

ヒットしている韓国ドラマはウェブトゥーン(縦スクロールマンガ)原作であることがままあるが、実は本作にも原作がある。

それがヨン・サンホ監督が脚本を手掛けたウェブトゥーン『地獄』だ。

韓国では2019年8月から約1年にわたって連載され、全55話で完結。世界各地の言語で翻訳され、日本語版もLINEマンガで配信されているほか、単行本全2巻がドラマの配信と合わせるように発売された。

LINEマンガ『地獄』

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原作ウェブトゥーンの作画を担当する社会派マンガ家チェ・ギュソク

原作ウェブトゥーン『地獄』の作画を手掛け、ドラマの脚本にも参加しているチェ・ギュソクは、韓国で社会派マンガ家として知られている。

日本語では『地獄』のほかに、1987年の韓国民主化運動に身を投じた学生とその家族を描いた『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』(2018、ころから)を読むことができる。

『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』

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チェ・ギュソクの代表作は、テレビドラマ化もされた『錐(송곳)』(2013-2017) だ。

スーパーでの非正規雇用と労働組合をテーマに、実際にあった大手スーパーでの大量解雇を取材した作品で、韓国内の漫画賞を受賞するなどチェ・ギュソクのマンガ家としての地位を確固たるものとした。

残念ながらマンガは未邦訳だが、ドラマ版は日本でも配信されている。

大学時代からの友人同士の初めての共作

そんなマンガ家チェ・ギュソクと、アニメ・映画監督のヨン・サンホ。

実は二人は同じ祥明大学の出身。ヨン・サンホは西洋学科、チェ・ギュソクは漫画学科を卒業しており、二十年にわたって親交が続いている。

これまでもヨン・サンホ監督のアニメーション作品のキャラクター原案をチェ・ギュソクが手掛けるなどの交流があった。

しかし本格的に二人が共作するのは『地獄』が初めてだと、2020年7月に公開された韓国日報のインタビュー記事で明かしている。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ・原作の内容に関する若干のネタバレを含みます。

古代人が感じた不条理な恐怖と信仰の誕生

『地獄が呼んでいる』が世界中でヒットする理由、それは「悪人は地獄に堕ちる」という世界中で古くからある共通した考えがストーリーの主軸に据えられていることだろう。

前述したインタビューの中でチェ・ギュソクは「古代、どのように宗教が生まれたのか」を考えたと述べる。「日食」のような説明のつかない恐怖に脅かされていた人々にとって、それがあたかも誰かの意志によるものだという理由付けが必要だった。

人間の「恐怖」の源泉は、未知であることだ。理由がわからないもの、説明つけられないもの、名前がないものに対して恐怖を感じる。

現代では科学が発達し、人類の未知の部分も少なくなり、未知ゆえの恐怖というのも古代に比べて少なくなってきた。

「死」への恐怖はもちろんあるものの、「地獄」を本当に信じている人はそう多くはないかもしれない。

しかしそれを信じざるを得ないものとして突きつけるために、本作では謎の化け物が登場する。

彼らは罪もない人々を無作為に地獄に堕とす。そこには何の意図も感じられない。ヨン・サンホはインタビューの中で「コズミックホラー(宇宙的恐怖)」という言葉を使っているが、本作の人々が直面する恐怖はいたって不条理で説明のつかないものだ。

それらを新真理会は、悪人が地獄に堕ちるという「神の意図」として説明づける。

最も恐ろしいのは、正義の名を振りかざす妄信者

不条理な「神の所業」はもちろん恐怖なのだが、本作で最も恐ろしいのは「神の意図」を妄信する人間の心理だ。カルト宗教、新真理会とその教義を熱狂的に信じる若者たちで構成された矢じり団のメンバーは、正義の名を振りかざし、殺人をも厭わない暴力的な行為に出る。

歴史上でも異教徒への迫害や魔女狩りといった行為が、敬虔な信徒たちによって執り行われた。

そうした原理主義的行為は、決して過去だけのものではない。

信者たちは、罪人を見せしめのために公開処刑する。

前近代的な社会では公開処刑はよくあることだった。処刑が娯楽の一部ですらあった。

現代人の感覚では、死刑を娯楽として楽しむなど野蛮な行為としか思えないだろう。

しかし本作では、ネット中継や放送といった現代的な手法をとりつつ、そうした前近代的な社会の習慣を疑似体験させられる。そうせざるを得ない、不条理な恐怖とともに。

ドラマ版はどのようなラストを迎えるのか、結末はその目で確かめていただきたい。

ドラマ『地獄が呼んでいる』はNetflixで独占配信中。

『地獄が呼んでいる』

 

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森﨑 雅世

大阪・谷町六丁目にある海外コミックスのブックカフェ書肆喫茶moriの店主。海外のマンガに関する情報をTwitter、Instagram、Youtube、noteなどで発信しています。
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