第3話ネタバレ解説『スター・ウォーズ:アコライト』アナキンに繋がる設定も? 思い出されるグローグーの選択 考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

第3話ネタバレ解説『スター・ウォーズ:アコライト』アナキンに繋がる設定も? 思い出されるグローグーの選択 考察&感想

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『スター・ウォーズ:アコライト』第3話配信開始

『アソーカ』(2023-) に続く「スター・ウォーズ」ドラマ最新作『スター・ウォーズ:アコライト』が2024年6月5日(水) より配信をスタート。映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999) から100年前を舞台に、ジェダイの殺人事件に端を切るシスの台頭が描かれる。

ドラマ『アコライト』では豪華キャストと共に、これまでにないサスペンスな雰囲気でストーリーが展開される。一体、『アコライト』からどのように「スター・ウォーズ』シリーズ正史へと繋がっていくのだろうか。今回は、ドラマ『アコライト』第3話をネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容は本編のネタバレを含むため、必ず本編をディズニープラスで鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第3話の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第3話「運命」ネタバレ解説

舞台は16年前

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第3話は回想回。舞台は16年前のブレンドクだ。第1話でジェダイマスターのソルが言っていた「ブレンドクの火災」の舞台となった場所である。ドローン撮影と思われる豊かな自然の空撮が素晴らしい。

『アコライト』第3話の監督を務めたのはコゴナダ。ソル役のイ・ジョンジェと同じ韓国生まれで、ハリウッドで活躍している。映画『コロンバス』(2017) やドラマ『Pachinko パチンコ』(2022) で知られる他、坂本龍一が音楽を手がけたA24の映画『アフター・ヤン』(2021) ではSFを手掛けている。2024年4月からはマーゴット・ロビー主演の映画『A Big Bold Beautiful Journey(原題)』の監督として撮影に臨んでいる。なお、『アコライト』シリーズ全体の統括は第1話&第2話の監督であるレスリー・ヘッドランドが手掛けている。

幼い頃のオーシャは、小さな生き物を相手にフォースの練習をしている。離れた場所からその生き物の動きを止めるメイは、オーシャよりも強力なフォースの使い手であることが窺える。一方で、相手を支配しようとするそのフォースの使い方には、暗黒面が見え隠れする。

オーシャがいたのはブンタの木の下で、ブンタとは第2話でメイが使ったマスター・トービン殺害に用いた毒の名前だ。二人にとっては思い出の植物だったようだ。オーシャがここにいたのは、アセンションと呼ばれる儀式を嫌がっていたため。「アセンション=Ascension」には「昇格」という意味がある他、キリスト教ではイエス・キリストが天に昇った日のことを「Ascension Day」と呼ぶ。

「常に一つ、生まれて二人に」「互いに与え合う」と言い合う二人の前に現れたのはマザー・コリルという人物だ。頭に角があるため、ダース・モールと同じザブラクという種族だと思われる。演じるのは、ドラマ『ザ・デュース』(2017-2019) などで知られるマルガリータ・レヴィエヴァ。2025年3月配信を予定しているMCUドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』では、ヘザー・グレン役を演じると報じられている。

マザー・コリルは「安全のため」と二人にルールを課している様子。3人のやり取りを心配そうに見つめていたのは、若き日のソルだった。『アコライト』第3話では、オーシャ達の部族とジェダイ・オーダーの折衝が中心に描かれることになる。

魔女の集落

村落に戻った二人は“スパイス・クリーム”を欲しがっているが、「スター・ウォーズ」の世界ではスパイスはドラッグとして用いられる高価なものだ。これがスパイスで作ったお菓子のことだとすれば、時代の違いか、文化の違いが示されていると言える。

二人の集落の指導者であるマザー・アニセヤは、スパイス・クリームが食べたいというオーシャとメイを甘やかしている。ドラマ『マンダロリアン』(2019-) のグローグーに対するディン・ジャリンの態度を想起させる。「スター・ウォーズ」には子どもに甘い親が多い。

マザー・アニセヤは、コリルとの会話で、一同が迫害を受けてブレンドクに逃げてきたことを示唆している。一方で案の定、マザー・アニセヤはコリルに子どもを甘やかし過ぎていることを指摘されている。マザー・アニセヤはフォースの使い手で、すべての物質に組み込まれている「糸(スレッド)」を引くという独自の概念でそれを説明している。

フォースは元々世界に存在するもので、ジェダイだけのものではない。映画シリーズではジェダイを中心とした物語が描かれてきたが、アニメやドラマ、ゲームでは、ダソミアのナイトシスターなどがフォースを使用している。

マザー・アニセヤはかなりのフォースの使い手だが、メイもその力に対抗できるほどの力を持っているようだ。一方のオーシャは、“魔女になるための儀式”を嫌がっている。マザー・アニセヤの集団は“魔女”と呼ばれているようだが、ドラマ『アソーカ』(2023-) にも登場したナイトシスターとは違う部族のようだ。

マザー・アニセヤは「私たちのような力を持つ魔女を、この銀河は歓迎しない」と話しており、銀河に居場所がないと感じていることが示されている。そういえば『アソーカ』でもナイトシスターの先祖である“グレートマザー”は、「スター・ウォーズ」で初めて登場した別の銀河におり、ナイトシスターのルーツが“この銀河”の外にあることが示唆されていた。

「特別な子」と呼ばれるオーシャとメイだが、オーシャは外の世界を見たいと思っており、メイはブレンドクでの生活で満ち足りていると言い、正反対の考えを持っている。このシーンでメイはオーシャを見つめながら英語で「必要なものはすべてここにある(Everything I need is here.)」と言っており、オーシャのことを大事に思っていることが分かる。メイがオーシャの考えに反対する背景には、オーシャを失いたくないという気持ちもあるのだろう。

ジェダイと魔女の出会い

夜になり儀式が始まる。儀式は恐れを通過するためのものとされており、この考えは恐れが暗黒面につながると考えるジェダイの教えに通じるものがある。マザー・アニセヤはこれが「追放されてから初めての儀式」と語り、その力「悪 (Dark)」とみなされたと話している。ナイトシスターが操るフォースはダークサイドとの結びつきが強いとされており、この魔女の一団も同様の評価を受けたのかもしれない。

メイとオーシャが儀式に登場すると、「数多の力」を信奉する掛け声の中、誓いを求められる。ここで二人のフルネームが「メイ=ホー・アニセヤ」と「ヴェローシャ・アニセヤ」であることが明かされている。マザーの死後に魔女団を率いて遺産を継ぐという宣誓を終えたメイの額には、マザー・アニセヤの額にあるものと同じ模様が刻まれる。第1話の冒頭では、大人になったメイがマスター・インダーラと戦うシーンで額の紋章が見えている。つまり、インダーラはあれがオーシャではなくメイだと気づいていた可能性が高い。

そしてオーシャも宣誓するが、儀式を終える前にジェダイの一団が現れて対峙することに。第2話でメイが標的にしているとされていた、「16年前にブレンドクにいた4人のジェダイ」、インダーラ、ソル、ケルナッカ、そしてトービンである。トービンは16年前の時点ではまだパダワンだったようだ。

マザー・コリルは、ジェダイがこの星に入ってきたのは侵害行為だと厳しく非難。ジェダイの論理としては、ジェダイ以外が子どもを訓練するのは共和国の法律上問題があるということのようだが、マザーはブレンドクは共和国に非加盟だと主張する。ジェダイ黄金期の時代の横暴さが垣間見えるシーンだが、新共和国時代を舞台にした『マンダロリアン』では一転して、新共和国は非加盟国のネヴァロへの支援は行えないと言い出すのだから権力とは都合の良いものだ。

メイとオーシャの存在を隠したマザー達だが、オーシャはその好奇心を抑えきれず、二人の存在はジェダイに知られてしまう。魔女達は子ども達が連れていかれることを警戒するが、ソルは「ジェダイは子どもを連れ去らない」と明言する。ジェダイ・オーダー=誘拐犯説は以前から存在する議論で、例えば『ファントム・メナス』にも登場した鳥のような見た目を持つ種族のバードッタンは、惑星バードッタの子ども達がジェダイに連れ去られたと考えた。

今回のソルの発言はその説を否定するものではあるが、まぁそれはジェダイ側の意見なのでなんとも……。リスクマネジメントの観点から言えば、「ジェダイは子どもを連れ去らない」と言い切るのではなく、そういうことをするジェダイが現れたり、保護者の同意を得る上で行き違いが生じたりするかもしれないから、そうならないように努める、という姿勢でいてほしい。

信じてもらえないソルは自分のライトセーバーをオーシャに渡し、君はジェダイになれると言い、適性テストを受けたいかと持ちかける。その時、パダワンのトービンはマザー・アニセヤの力によって意識を奪われてしまう。フォースによるマインドコントロールと同じく、未熟なものにしか使えないのだろうが、やはりマザーが強力な力を持っていることが示されている。

インダーラは、ジェダイには保護者の同意のもと可能性がある子どもをテストする権利があると話すが、それもそちらが勝手に決めたことでは……。それでも、オーシャの気持ちを優先したいマザー・アニセヤはテストを受けさせることに同意するのだった。

アナキンにつながる重要設定?

マザー達の会議は紛糾。オーシャの意思を尊重したいアニセヤと子ども達の生みの親であるコリルは意見が対立。コリルは、オーシャはまだ子どもだとして、その意思を認めていない。時にジェダイは「訓練するには遅すぎる」と言うし、保護者は「決断するには若すぎる」と言うし、困ったものだ。

そしてここで、重要な設定が語られる。メイとオーシャの二人を産んだのはコリルで、二人を「創り出した」のがアニセヤだというのだ。この前のシーンでアニセヤは、ジェダイに対して「父親はいない」と説明していた。この設定は、アナキン・スカイウォーカーと重なるもので、アナキンにも父親がおらず、アナキンの母シミはひとりでにアナキンを孕ったとされていた。

アナキンのケースについては、ミディ=クロリアンの意思によって生まれたとされていた。ミディ=クロリアンは全ての生命に宿る微生物で、ミディ=クロリアン値が高いほどにフォースの力が強いとされている。そして、正史扱いのコミック『スター・ウォーズ:ダース・ベイダー』#25では、パルパティーンがフォースの力でミディ=クロリアンを操作してシミを妊娠させたことが明らかになった。

追記:後に製作陣はその設定を「アナキンの頭の中での出来事」「ダークサイドは信頼できない語り手」と語っている。詳しい経緯はこちらの記事で。

コリルは「二人をどう創り出したかをジェダイが知ったら……?」と脅すように話している。アニセヤはパルパティーンと同じようにミディ=クロリアンを操作して生命を誕生させたのかもしれない。オーシャは9歳でジェダイに入ったアナキンと一つしか変わらない8歳でジェダイに加わっていたりと、アナキンとオーシャを結びつける要素は多い。更に双子という要素はルークとレイアにも通じるし、フォースの絆はレイとカイロ・レンにも通じる。「スター・ウォーズ」の主人公属性全部乗せといった感じだ。

会議の方は、二人にわざと不合格になるよう話すことで決着。ジェダイが善か悪かで言い争うオーシャとメイに対し、マザー・アニセヤは善悪の問題ではなく、「誰が力を使うことを許されているか」という問題だと語る。ジェダイ・オーダーは権力 (Authority) の側にあり、力を使うことを許されているが、マイノリティである魔女達はそうではない、ということだろう。善悪ではなく公正さが問題なのだ。

加えて、アニセヤは「成長するにつれ望みは変わる」とオーシャに助言する。今はジェダイになりたいかもしれないが、それは今だけかもしれない、ということだ。実際、第1話ではオーシャはジェダイを離れたことも自分の意思だと話していた。

ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022) では、ルーク・スカイウォーカーがグローグーを訓練しようとしたが、グローグーはジェダイになることを拒否した。900年生きたヨーダと同じ種族のグローグーは50歳で、人間年齢にすると5歳くらいと考えられる。アニセヤの論で言うと、グローグーは5歳の時にはジェダイになりたくないと思ったが、将来的に考えが変わる可能性もあるということかも……?

ジェダイのテスト

翌日、ジェダイ達の船でジェダイの適性テストが行われる。トービンが血を採取し、ソルがデバイスを使ってどんなグラフィックが表示されているかを聞いている。血を取るのはミディ=クロリアン値をチェックするためで、デバイスを使ったテストは『エピソード1』で9歳のアナキン・スカイウォーカーが受けたものと同じだ。

同作ではアナキンは評議会に連れてこられて、サミュエル・L・ジャクソン演じるマスター・ウィンドゥがこのデバイスを持っていた。アナキンは見えない画面に映るグラフィックを全て言い当てたが、ヨーダはアナキンの母親への愛着が恐れに繋がると警戒していた。

100年後を舞台にした『エピソード1』では、アナキンはコルサントまで呼び出されてテストを受けたが、『アコライト』ではメイとオーシャは現地で出張テストを受けている。ジェダイ全盛の時代はより積極的なリクルート活動を行っていたようだ。『アコライト』第1話の冒頭では平和な時代とされていたので、人員の面でも余裕があったのだろう。

ちなみに面接はインダーラとソルが担当しており、ウーキーのジェダイであるケルナッカは外でスピーダーを修理している。メカニックなのだろうか。オーシャはテストでわざと間違っている答えを言うが、ソルに全て「正解」と言われてしまい、反論しかけたことで本当は答えが分かっていることがバレてしまう。

ソルは4歳でジェダイの適正テストを受けたといい、自分は特別だと分かっていて、ジェダイはそれを見抜いてくれた、君も同じだと思う、と話す。オーダーには自分と同じような子どもがたくさんいた、とも。うーん、ちょっとこれは洗脳っぽい。保護者から離れた密室で組織の人間3人が見守る中、「君にも才能がある」「同じような子たちが一杯いるよ」と言ってしまうはちょっと危うい気がする。

大事なのは自分の気持ちを言う勇気、と言われたオーシャは「ジェダイになりたい」と口にする。この「I wanna be a Jedi.」というセリフは、ドラマ『アソーカ』でヘラ・シンドゥーラとジェダイのケイナン・ジャラスの息子であるジェイセンが言ったセリフと同じだ。思えば『ボバ・フェット』ではルークがグローグーにディン・ジャリンを捨てるかジェダイの道を諦めるかの二択を迫っていたが、意思の確認もテストの一つということなのだろう。

ブレンドクの火災

テストで嘘をつききれなかったオーシャは、マザー・コリルからジェダイが心を操ったのだと指摘されるが、自分の意思だと反論。メイとは違う道を行きたいと話すオーシャに怒ったメイは、マザー・コリルと外に出されることに。後で記すが、このシーンが一つの考察要素になる。

オーシャはママと二人きりで話すと、恐怖心に負けてはいけない、自分で決めなさいと促される。母と離れることの恐怖心を指摘される展開は、やはり『エピソード1』のアナキンと韻を踏んでいる。ディン・ジャリンと会えなくなるのは嫌だとジェダイになるのを諦めたグローグーと、ママと離れてでもジェダイになりたいと決心したオーシャ。両方の選択があっていいと思う。

ジェダイになるために部屋を出ようとするオーシャ。ノートに描いていたのは、ジェダイ・オーダーの紋章に似た絵だった。メイはオーシャを止めるために「あんたを殺す」と言うと、オーシャを部屋に閉じ込めて火を放つ。16年前のブレンドクの火災で火を放ったのはメイだったようだ。

オーシャはダクトからなんとか脱出するが、火は巨大な装置に引火して爆発を起こす。メイはオーシャにママは死んだと語ると、二人は高所から滑り落ちてしまう。そこにやってきたソルがオーシャを助けるが、メイを助けることはできず、それでソルとオーシャはメイが死んだと考えていたのだろう。さらにソルとオーシャはマザー・アニセヤの遺体も目にする。現場の様子を見るといかにも他殺っぽい……。

怪しいのは…

ジェダイの船の中で目を覚ましたオーシャは、ソルからメイの炎で全てが燃えたと告げられる。戻らなければいけないと主張するオーシャに、ソルは、戻っても何も残っていない、望むならパダワンとして育てると告げる。しかし、結局メイは生き延びていたのだから、ソルのこの言葉は嘘というか、間違った判断だったことが分かる。

ソルはオーシャを抱きしめると、「もうこんな思いはさせない」と約束するのだった。ソルのオーシャへの執着はここで生まれたらしい。ちょっと気持ちが強すぎる気もするが、自分たちが立ち入ったことによって家族を失わせてしまったという罪悪感が感情を後押ししているのだろう。

『アコライト』第3話のラストシーンは、ブンタの木の下でオーシャの名を呼ぶメイの姿だった。その表情は先ほどとは打って変わっている。気になるのはママとオーシャが二人で話をする前にマザー・コリルとメイが二人で外に出た場面だ。マザー・アニセヤと意見がぶつかっていたコリルは、フォースの力でメイを操って放火させ、自らの手でアニセヤを葬ったのではないだろうか。「糸」という表現を踏まえるならば、メイは文字通り操り人形になっていたのかもしれない。

もちろんジェダイも怪しい。なぜ一団がブレンドクを訪れていたのかが明かされないままだったし、結果としてジェダイはオーシャというジェダイ候補生を手に入れている。唯一漁夫の利を得たのがジェダイ・オーダーなのだ。また、第2話ではメイと再会したトービンが自ら命を絶ったが、自分達が立ち入ったことによって火災が起きたという理由だけで命を絶つだろうか。それもメイが生きていたことを知った直後に。

それに、マザー・アニセヤとコリルが話していた、メイとオーシャ誕生の秘密も隠されたまま。メイは母の死後に魔女の一団を秘匿すると宣誓しているため、コリルたちの生存を隠している可能性もある。とすると、第1話ラストで登場したメイのマスターはコリルという可能性もあるだろう。この物語にはまだまだ裏がある……。そんな予感を残して『アコライト』第3話は幕を閉じている。

ドラマ『アコライト』第3話ネタバレ考察&感想

ジェダイに憧れる子ども達

『アコライト』第3話では、より一層『エピソード1』のアナキンと重なる演出が盛り込まれていた。2024年は『エピソード1』公開から25年という節目の年だ。アナキン誕生の秘密に迫る展開も伏線が敷かれており、今後の展開からも目が離せない。

「スター・ウォーズ」ドラマでは、『アソーカ』『アコライト』と、ジェダイの物語が続いており、ジェイセンにオーシャと、小さい頃からジェダイに憧れる子ども達の姿が描かれた。『スター・ウォーズ エピソード7/最後のジェダイ』(2017) のラストでは、ジェダイの伝説を知って銀河を見つめるフォースセンシティブの少年の姿が描かれた。“最初のジェダイ”と“レイのその後”を描く新作長編が用意されていることもあってか、そうした素朴なジェダイへの憧れを再び描くフェーズに入っているように思われる。

実は、この流れに大きく貢献しているのが『マンダロリアン』であり、『ボバ・フェット』であり、グローグーなのではないだろうか。先述の通りドラマ『ボバ・フェット』では、ルーク・スカイウォーカーから修行を受けていたグローグーが、ヨーダのライトセーバーをとってジェダイになるか、ベスカー製の鎖帷子をとってディン・ジャリンのもとに帰るかの二択を迫られた。そこでグローグーは、ディン・ジャリンのところへ帰ることを選んでいる。

もちろんこの時はルークのやり方(保護者のいないところでコントロールを握って二者択一を迫り、どちらを選んでも「本人の決断」としてしまう)も悪くて、グローグーもあんなモラハラ体質の学校に残りたいとは思えなかったのだろう。その上で、グローグーが「力があってもジェダイにならない」という選択をしてくれたおかげで、ジェイセンやオーシャのような子ども達の選択も、洗脳や教育ではなく自分の意思だという風に捉えることが可能になった。

「スター・ウォーズ」の宇宙には、ジェダイになりたい子どももいれば、親と一緒にいたいと思う子どももいる。それぞれが自分の意思を持っており、ジェダイになりたいという子どもにも主体性がある、という風にジェダイに入る子どもの選択に対する説得力が生まれたのだ。

逆説的ではあるが、グローグーの選択がなければ、「スター・ウォーズ」の宇宙ではなぜかどの子ども達もジェダイになりたがる、“そういう宗教的なもの”として捉えられていたかもしれない。その意味でもグローグーの選択は、「スター・ウォーズ」の宇宙で更に多様な物語を描いていくことを可能にしたエポックメイキングな出来事だったと言える。

また、第3話で登場した魔女の集落では、マザー・アニセヤとマザー・コリルの間にはロマンスがあるような雰囲気もあった。アニセヤが宿してコリルが産んだという設定も、二人がカップルであることを示しているように思える。ドラマ『アコライト』を指揮するレスリー・ヘッドランド監督はレズビアンで、本作のヴァーネストラ・ロウ役を演じるレベッカ・ヘンダーソンと同性婚をしている。これを観た子ども達が自分達と同じ家庭が描かれていると感じられるとすれば、「スター・ウォーズ」で多様な家族の形を描くことの意義は大きい。

その中で、『アコライト』のサスペンスはしっかり進んでいく。早くも残り5話、次の第4話が折り返し地点になる。次の展開を楽しみに待とう。

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』はディズニープラスで独占配信中。

『スター・ウォーズ:アコライト』(Disney+)

『スター・ウォーズ:アコライト』第4話のネタバレ解説はこちらから。

第3話で示唆されたアナキン誕生の秘密について、これまでの経緯をまとめた記事はこちらから。

第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。

第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

『アコライト』時系列の解説とパルパティーン登場の可能性についての考察はこちらの記事で。

『アコライト』のマスター・ソルについての紹介はこちらの記事で。

アニメ『バッド・バッチ』シーズン3フィナーレのネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『アソーカ』シーズン1最終回のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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