『PLUTO』第1話ネタバレ解説 英雄の死と憎悪のはじまり あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

『PLUTO』第1話ネタバレ解説 英雄の死と憎悪のはじまり あらすじ&考察

Netflix

2023年10月26日(木)16:00よりNetflixにて世界独占配信開始

漫画の神様と称される手塚治虫の代表作「鉄腕アトム」シリーズ。その中でも屈指の名エピソードと名高い『地上最大のロボット』(1964-1965)を「20世紀少年」シリーズなどで有名な浦沢直樹がリメイクした『PLUTO』が2023年10月26日(木)16:00よりNetflixにて世界独占配信が開始された。『PLUTO』はイラク戦争をモデルとしており、ある意味では混迷を極める現代社会に一石を投じる作品と言える。

『地上最大のロボット』を7体の世界最高水準のロボットの1人で、ユーロポール特別捜査官ロボットのゲジヒトの視点から描き直した『PLUTO』。本記事ではそのような『PLUTO』エピソード1のあらすじと考察をしていく。なお、本記事には『PLUTO』エピソード1のネタバレを含むため、必ず本編視聴後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『PLUTO』の内容に関するネタバレを含みます。

事件のはじまり

愛された英雄の死

ルツェルン管区山中で山火事が発生。その山火事の勢いは凄まじく、人間の手ではどうしようもないほど広まっていった。そのような惨事の中、7体の世界最高水準のロボットの1人であるスイス林野庁所属のモンブランとの通信が途絶える。モンブランは山岳救助や山案内、自然と共存する森林伐採計画をプログラミングするなど心優しいロボットで、開発者のラインハルト博士から息子のように慕われていた。

誰からも愛され、敬われていたモンブラン。しかし、その心優しい性格とは圧倒的な怪力を持ち、アメリカ合衆国をモデルとしたトラキア合衆国のアレクサンダー大統領が中心となってつくられた大量破壊ロボット製造禁止条約のもとで、世界に残された大量破壊兵器に匹敵する戦闘力を有する7体のロボットの1人であり、第39次中央アジア紛争に徴兵されたロボットだった。

憎まれた活動家の死

時を同じくして、過激な論調で知られるロボット法擁護団体の幹部のベルナルド・ランケが殺害される。モンブランと同様に大量破壊兵器に匹敵する戦闘力を有する7体のロボットの1人であるユーロポール特別捜査官ロボットのゲジヒトは、ベルナルド・ランケ殺害現場は破壊されているが何も盗られていないことを見抜く。

ベルナルド・ランケ殺害に関する規制線を張っていた巡査と巡査ロボットが薬物乱用者によって殴られ、巡査ロボットのPRC1332型、通称ロビーが殺害される。その犯人を捕らえるゲジヒトだったが、ゲジヒトはあくまでもこの犯人は違法薬物の取り締まりから逃れるための犯行であり、ベルナルド・ランケ殺害には無関係と推理する。

そしてモンブラン殺害とベルナルド・ランケ殺害において犯人が遺体の頭に角のようなものを突き立てるという点から同一犯だと推測するゲジヒト。だが、それは大量破壊兵器に匹敵するロボットを破壊する戦闘力を持ちながら、同時にロボット法第13条「ロボットは人間を傷つけたり殺したりできない」という法を破ったことになるのだった。

ブラウ1589

定期メンテナンスを受けるゲジヒトは彼のメンテナンス管理を担い、その骨格であるゼロニウムを開発したホフマン博士から疲労を指摘され、休暇を勧められる。そこでゲジヒトは悪夢を見続けていることをホフマン博士に質問されるが、うなされているものの明瞭には答えずにいた。そして定期メンテナンス後、ゲジヒトはスクラップ場送りにされる巡査ロボットのロビーの遺体からメモリーチップを取り出す。

ロビーの妻にメモリーチップを差したとき、その記憶の中にベルナルド・ランケ殺害のアパルトマンから隣のビルへと飛び映る謎の影を見つけるのだった。そのような芸当は人間にはできるはずがない。しかし、ロビーは死の間際にその影を人間と識別していた。

ゲジヒトは犯人を探るべく、8年前に人間を殺害し、初めてロボット法第13条を破ったロボットであり、人工知能矯正キャンプに収容されたブラウ1589と接触する。ブラウ1589は槍で串刺しにされ、その場しのぎでつくられた拘束具によって監禁されており、人間を殺害しておきながら正常と判断される人工知能を持つブラウ1589はそれほどまでに恐れられていた。

ブラウ1589はゲジヒトにメモリーチップの交換を要求するも、ゲジヒトはそれを拒否。ブラウ1589はゲジヒトに対してこの犯人に対して角は冥王など死の神のシンボルであり、7体の世界最高峰のロボットの1人を手にかけたのだから、残りの6体も必ず殺害しにやってくると推理するのだった。

老音楽家は故郷の夢を見るか

ボヘミア出身の老齢かつ盲目の音楽家のポール・ダンカンのもとに1人の執事ロボットが遣わされる。そのロボットはかつて軍事ロボットとして第39次中央アジア紛争にてブリテン軍総司令官の執事を務めていた7体の世界最高水準のロボットの1人、ノース2号だった。

ポール・ダンカンは荒野の古城に暮らすも、もう何年も作曲をしておらず、周囲からは才能が尽きたといわれていた。ノース2号はポール・ダンカンが奏でるピアノの音色に心打たれたと言うが、ポール・ダンカンは軍隊上がりのロボットに理解されてたまるかとそれを拒絶する。それどころか、第39次中央アジア紛争で同胞を何人殺したと返すのだった。

ノース2号はピアノを奏でようとする。それに激昂するポール・ダンカン。ポール・ダンカンは所詮偽物と評し、目の見えていた頃のボヘミアの風景を音楽にすべくピアノを奏でては失敗するのを繰り返していた。ポール・ダンカンが母親に捨てられたという悪夢でうなされていたようで、その夢を見ながら歌っていた内容をノース2号はピアノとして奏でようとしていた。

そのようなノース2号に対して破壊兵器にはピアノは弾けない、ピアノではなく戦場がお似合いだと罵るが、ノース2号は戦場に行きたくないからこそピアノを弾きたいと言う。ポール・ダンカンが寝言で歌っていたメロディを奏でるノース2号だったが、それはポール・ダンカンの母に捨てられたというトラウマを刺激する一方だった。

執事ロボットは戦場の夢を見るか

幼き日のポール・ダンカン、本当の名前をパウロ・ホリーという少年は生まれつき視力が低く、病態は悪くなる一方だった。母親は成金の金に目がくらみ、自分は捨てられたと思いながら寄宿学校で過ごしていたパウロ・ホリーは日本人のモグリの医者、ブラック・ジャックによって救われる。

しかし、その代償に視力を失い、母親も成金の正妻にはなれずに孤独に死んでいったことを知る。そしてパウロ・ホリーはポール・ダンカンと名を改め、まるで母親に復讐をするように音楽活動に打ち込み、成金の持っていた古城を買い取ったのだった。

解雇を告げられても、直前までピアノを弾き続けるノース2号。ポール・ダンカンは深夜にノース2号がチャージ中、悪夢にうなされていることを知る。ノース2号もまた、戦場での同胞殺しという悪夢を観ていたのだった。

楽曲を書けなくなったポール・ダンカンのもとに解雇されたノース2号が戻ってくる。ノース2号はボヘミアに赴き、そこでパウロ・ホリーの母親の真実とうなされていた民謡を調べてきたのだった。パウロ・ホリーの母親は医療費のために成金と呼ばれていた大富豪のジョナサン・ソーンの愛人となるも、息子が母親を憎んでいることを知って近づけずにいたのだ。

ノース2号は言う。パウロ・ホリーの夢は自分の持つ戦場の悪夢とは違い、愛に満ちた美しい夢だと。それを知り、ポール・ダンカンはノース2号に二度と戦場に行かなくてもいい、ピアノの練習をしようと返した。それから月日は流れ、平穏な日々の中でノース2号はピアノの演奏を上達させていく。しかし、その日々は永遠には続かず、ノース2号は不審な竜巻を察知する。そして竜巻の中へと飛び去り、歌いながらこの世を去った。

アトム、登場

エピソード1、その最後はアトムのもとへゲジヒトが訪ねてくる場面で終わる。ゲジヒトとアトムは初対面のようだが、両者とも第39次中央アジア紛争へ徴兵された7体の世界最高峰のロボットだ。ゲジヒトはモンブランやノース2号のように対ロボットとして最前線で戦ったのではなく、ゲリラ兵の対処の平和維持軍として徴兵されている。一方、アトムはその知名度から慰安訪問として第39次中央アジア紛争に関わっている。

アトムが登場し、モンブランとノース2号を殺害した謎多き存在「プルートゥ」へと迫っていくことになるエピソード2にも期待していきたい。

『PLUTO』は2023年10月26日(木)16:00よりNetflixにて世界独占配信開始。

アニメ『PLUTO』公式サイト

PLUTO | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

浦沢直樹の漫画『PLUTO』は全8巻がビッグコミックスから発売中。

2022年10月から電子版も配信されている。

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『PLUTO』アニメ化発表の記事はこちらから。

『PLUTO』キャラクター&キャスト紹介の記事はこちらから。

『PLUTO』予告編に関する記事はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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