WIA Diversity Awardsが発表
米時間2019年10月24日に開催されたSPARKアニメーションフェスティバルの会場で、Netflixオリジナル・アニメーション部門のバイスプレジデント、メリッサ・コブがWomen in Animation (以下WIA) Diversity Awardsの表彰を受けた。WIA Diversity Awardsはアニメ業界におけるダイバーシティ推進に大きな影響を与えた個人や企業、組織に贈られる。メリッサ・コブは、Netflixにおける女性クリエイターへのサポートが評価されての表彰となった。
女性クリエイター達を後押し
メリッサ・コブがNetflixに加わったのは2017年9月のこと。それまではFOXやドリームワークスでキャリアを積み、「カンフー・パンダ」シリーズでもプロデューサーを務めている。Netflixでは、アイルランド人監督のノラ・トゥーミーを監督に据えた『エルマーの冒険』(2021年配信開始予定)、インド系アメリカ人の二ディ・チャナニの原著をイギリス人監督のグリンダ・チャーダ監督が映像化する『パシュミナ』(配信日未定)、『リトルプリンス 星の王子さまと私』(2015) でエミー賞アニメーション部門賞を受賞したセリーヌ・デスルマウクスがプロダクションデザイナーを務める『オーバー・ザ・ムーン』(2020) など、女性クリエイター達がプロダクションを手掛ける作品を数多くサポートしている。
2019年4月には、アフリカ発のSFアニメ『Mama K’s Team 4』の配信が発表されたが、こちらもザンビア人女性作家のマレンガ・ムレンデマがストーリーを手掛ける。Netflixは当時のリリースの中で、優れた才能を持つ地域の女性作家を発掘していくことを宣言し、メリッサ・コブも直々にコメントを出している。詳細は以下の記事からご覧いただきたい。
アニメ界におけるダイバーシティへの貢献
WIAが設立されたのは1993年。アニメーション業界のアート、技術、ビジネスの分野において女性をエンパワーし、サポートする目的で設立された。WIAはアニメ制作を学ぶ学生向けの奨学金も提供している。
WIAのバイスプレジデントであるジンコ・ゴトウは、Netflixのメリッサ・コブについて、「多くの新人監督とショーランナーの起用を含む彼女のダイバーシティに対するこの一年間の取り組みは、他のどのスタジオの幹部によるものよりも偉大です」とコメントを残している。メリッサ・コブ自身は、授賞式で以下のようにコメントした。
アニメーションの世界で働く女性の数に対し、意味のある変化を起こすためには、女性のクリエイターを起用し、エンパワーしなければなりません。女性のショーランナーと監督を採用することで、プロダクション全体でよりインクルーシブな採用が可能になり、ストーリーテリングも多様性あるものになるのです。
バイスプレジデントであるメリッサ・コブがプロデューサーや監督に女性クリエイターを起用することで、作家やアーティスト、その他の職にも多様な人々が採用される。結果、作品自体もダイバーシティに溢れた内容になるというのが、メリッサ・コブの認識であり、取り組んできた実践だ。
メリッサ・コブは、授賞式のスピーチを以下のように締めくくっている。
世界中の子ども達がアニメの中に自分自身を見出すことができ、明日のストーリーテラーになるようにインスパイアすることは、とても大切なことです。
彼女は『Mama K’s Team 4』の制作発表に際しても同様のコメントを残しており、アニメが子ども達に与える影響をどれだけ重要に考えているかということが分かる。
2019年のSF最高賞ヒューゴー賞では、関連書籍部門 (Best Related Work) に同人作品のプラットフォーム AO3が選ばれた。AO3もまた、フェミニズムとクィアのカルチャーから登場したクリエイターのためのプラットフォームだ。クリエイターのダイバーシティを支えるオンラインプラットフォームを評価する流れが続いている。
AO3の詳細は、以下の記事から。
– Thumbnail –
Photos courtesy of SPARK CG and Netflix