物語の根幹にかかわるキャラクターの登場
カブルー一行などライオスとは違う目的を持ったパーティーの登場や、ライオス一行におけるファリンの役割を描いたアニメ『ダンジョン飯』第5話「おやつ/ソルベ」。それに対し、アニメ『ダンジョン飯』第6話「宮廷料理/塩茹で」では黄金の都など、『ダンジョン飯』の世界における歴史が描かれることになる。
本記事では『ダンジョン飯』の世界観の歴史が描かれるアニメ『ダンジョン飯』第6話「宮廷料理/塩茹で」について、考察と解説、感想を述べていこう。なお、本記事はアニメ『ダンジョン飯』第6話「宮廷料理/塩茹で」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。
以下の内容は、アニメ『ダンジョン飯』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
狂乱の魔術師シスルとチルチャックのトラウマ
動く絵画
ダンジョンの3階で食糧不足に悩むライオス一行。ここで、ライオスがファリンを喪った前回の炎竜〈レッドドラゴン〉との戦いを経て、食糧不足に対して過敏になっている様子が見受けられる。そのようなライオスが見つけ出した作戦が、魔術で創り出された「動く絵画」の中の食べ物を食べようというものだった。
ライオスの立てた作戦はセンシらの言う通り、絵に描いた餅のような作戦だ。しかし、これにはライオスが魔術師などによって操られているとされていた動く鎧が貝類であることを突き止め、そして料理できたという成功経験に支えられていると考察できる。
黄金の都の歴史
動く絵画の中にライオスは飛び込むが、そこで目にしたのは黄金の都の歴史であった。ライオスは絵画の中で後のデルガル・メルニ王の誕生と結婚式を目にするが、このデルガル・メルニ王こそ、島にダンジョンが出来たときに地上に現れたかつての王その人である。デルガル・メルニ王は父親フリナグ・メルニを統治に不満を抱いていた領主に暗殺され、それによって王位を継ぐことになる。
ここでライオスと出会うエルフの道化シスルこそ、狂乱の魔術師であり、このダンジョンを生み出した人物である。シスルはフリナグ・メルニ王の時代、フリナグ・メルニ王が権力者の象徴として長命種を従者に持ちたがったことで、臣下の者たちが連れてきたエルフだ。
長命種を従者にするのは数世代にわたって国を傀儡政権にさせられる恐れがあるため、その危険性が低い幼いシスルが連れてこられた。そしてフリナグ・メルニ王はシスルを我が子のように愛し、その息子デルガル・メルニ王の勧めで魔術を学び始めたシスルは狂乱の魔術師の道を歩むことになる
神作画のミミックからの逃亡劇
チルチャックは長年の勘から、放置された宝箱の中身がミミックだと考察する。『ダンジョン飯』の世界ではミミックはヤドカリ科の魔物で、子供の頃は数㎝だが成長するにつれて宿を変えていく。そうして大きくなり、宝箱を開けようとする冒険者を襲うのである。チルチャックは若かりし頃にミミックによって初の死を経験しており、その後もミミックに辛酸をなめさせられてきたようだ。
チルチャックはセンシから子供扱いされているが、ハーフフットはドワーフから見ると非常に幼く見えることが『ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル』で解説されている。その一方でハーフフットからドワーフを見ると非常に大人びて見え、男性はより一層男らしく見えるとも解説されている。
チルチャックが読めなかった古代語は、実はコイン虫が擬態している黄金の都のコインに刻まれている文言である。その内容は以下の通りだ。
「何度陽がのぼり、月が沈んでも、未来永劫幸いの風あらんことを」
ヤドカリ科は食べられる?
ミミックのようなヤドカリ科の生物が食べられるかどうか疑問に思う人もいるかもしれないが、かの有名なタラバガニも正確にはカニではなくヤドカリだ。そのため、ミミックのようなヤドカリ科の魔物を茹でて食べるのは、そう珍しいことではないと考察できる。
なお、ヤドカリ科の中腸線、いわゆるカニみそは油分と水分が多く、そのうえ臭みも強いため食用には適さない。そのため、タラバガニもカニみそを食べることはない。それは『ダンジョン飯』の世界でも同じようで、センシもミミックのカニみそを食べて不味いと語っている。なお、宝虫はミミックの住む箱などに卵を産み付けて繁殖することから、ミミックの身自体は宝虫に取っても、人間にとっても美味しいようである。
チルチャックさん
ミミックの騒動もあり、チルチャックは自身の年齢が29歳であることを明かす。ここでトールマンであるライオスとハーフエルフのマルシル、ドワーフのセンシで反応が違うのは長命種か短命種かの違いがあるからである。ハーフフットは平均寿命が50歳と短いため、29歳だと中年にあたる年齢だ。ハーフフットは14歳で成人を迎える種族で、チルチャックは13歳の時点で結婚しており、長女が生まれている。
ライオスなどトールマンの平均寿命は現実世界の人間と同じであり、特にライオスは26歳だったため、自然と敬語でチルチャックを呼んでしまったと考察できる。ハーフエルフであるマルシルは50歳であり、それでもエルフとしてはかなり若い部類に入る。また、センシに至っては112歳だ。
遊星から来た物体X
最後の場面で兜を宿にしたミミックが映される。これはコミック巻末の「モンスターよもやま話」で登場したパロディネタだ。元ネタはジョン・カーペンター監督作『遊星からの物体X』(1982)に登場したチャールズ・ハラハン演じる地球物理学者ヴァンス・ノリスが変異した姿で、「モンスターよもやま話」では『遊星からの物体X』と同じく、マルシルにより焼却されている。
本日のレシピ
茹でミミック
1. 鍋にたっぷりの水を入れ、沸騰させる。
2. 水に塩を振り入れる。
3. ミミックを入れて蓋をする。
4. 充分に茹ったら、湯から引き上げる。
第6話の感想と魔物と魔術の関わり方が描かれる第7話
黄金の都の歴史とチルチャックの若かりし頃が描かれたアニメ『ダンジョン飯』第6話「宮廷料理/塩茹で」だが、第7話では何が描かれるのだろうか。おそらく第7話ではセンシと魔物の関係性が掘り下げられる「水棲馬〈ケルピー〉」と、蘇生屋などのダンジョン内の職業を描く「雑炊」がアニメ化されると考察できる。
また、「雑炊」は『ダンジョン飯』において、どこまでが魔物でどこからが亜人かがクローズアップされるエピソードでもある。そのため、より一層『ダンジョン飯』の設定が掘り下げられていくものだと考察できる。そのことからもアニメ『ダンジョン飯』第7話に期待していきたい。
アニメ『ダンジョン飯』第6話「宮廷料理/塩茹で」は2024年2月8日22:30より放送と配信が開始。
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