マーベルが配本再開へ
「スパイダーマン」や「キャプテン・マーベル」といった人気コミック作品を出版する大手アメコミ出版社のマーベルコミックスは、停止していたコミックショップへの配本を段階的に解除すると発表した。米ComicbookやNewsaramaが伝えている。
これは、マーベルやDCコミックスといった大手コミック会社の配給を行うダイヤモンド・コミック・ディストリビューションが、段階的に配本を再開する、いわゆる出口戦略を公開したことに伴うもの。ダイヤモンド社は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うアメリカ各地での活動自粛やロックダウンを受け、一時的に配本を停止していた。
マーベルコミックスは、5月末から7月初旬までの出版スケジュールを公開。2020年5月27日に「アメイジング・スパイダーマン #43」「アベンジャーズ #33」「ヴェノム #25」「マローダーズ #10」「スター・ウォーズ: ドクター・アフラ #1」の5作品を発売する。翌週には8作品、7月8日には作品が発行され、7月8日までに60以上のタイトルがコミックショップに並ぶ予定だ。なお、これらのタイトルは電子版も同時に発売される。
コミックショップとの共存関係
アメリカのコミックは、“コミックショップ”と呼ばれるコミック専門の小売店が販売を担っており、大規模な店舗でなければ通常の本屋にコミック作品が並ぶことは少ない。コミックの出版社とコミックショップは共存共栄の関係にあり、出版社主催でコミックショップ限定のプレゼント企画が実施されることも多い。イラストレーターなど、海外のアーティストが来日した際に日本のコミックショップに出向くのは、このカルチャーが背景にあるためだ。
ダイヤモンド社は「このバランスのとれたスケジュールによって、新たな商品を提供し、小売店の発注の調整には明確な計画を与えられ、業界のパートナー、コミックショップ、マーベル、そして読者を含む全員が、この大きな変化に対処できるようにするでしょう」とのコメントを出している。
マーベル、そしてダイヤモンド・コミック・ディストリビューションの“出口戦略”は、功を奏するのだろうか。
より小規模なコンテンツから
もちろん、アメリカにおける新型コロナウイルスの感染拡大が止まったわけではない。マーベルの映画製作部門であるマーベルスタジオは、2021年まで大作映画の撮影再開は難しいとの見方を、映画プロデューサーのジェイソン・ブラムがロサンゼルス・タイムズに述べている。感染拡大を防止に向けて、引き続き予断を許さない状況だ。
一方で、ジェイソン・ブラムは「より小規模な作品」の製作については映画作品よりも早めに再開されるとの見方を示している。コミックブックやコミックショップをはじめとする“より小規模な”コンテンツ/場所から経済活動を再開していくことは、出口戦略の基本になっていくだろう。
Source
Comicbook / Newsarama 1, 2 / Los Angels Times