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アメコミの会社に詳しくなろう! 【ダークホースの歴史編】

アメコミ界のダークホース! その知られざる歴史とは

マーベルとDCだけじゃない! 第三のアメコミ出版会社

アメコミの出版会社といえば二大巨頭、マーベルとDCだ。近年では両社ともに作品の垣根を超えるユニバース映画作品を展開しており、アメコミ界の覇権をめぐる激しい争いが繰り広げられている。しかし、当然のことながらアメコミの出版会社はこの2社だけではない。戦前から続くマーベルとDCの歴史とは比較にならない浅い歴史ながらも、この2社を猛追する出版会社が存在する。「ヘルボーイ」、「300」、「シン・シティ」などのシリーズで知られる、ダークホースコミックスだ。

わずか30年弱で業界第三位へ

ダークホースコミックスが創設されたのは1986年。DCの1934年、マーベルの1939年と比べると、まだまだ若い会社と言えるが、勢力としてはアメコミ業界第三位。カリフォルニア州に本社を置くDC、ニューヨークに本社を置くマーベルに対して、アメリカの北西部にあたるオレゴン州に本社を構えている。
アメリカにはコミックを出版している会社は星の数ほど存在する。70年代から90年代にかけて増えた独立系の出版会社は、オルタナティヴ・コミックとも呼ばれた。その中でもとりわけダークホースは、その名に違わずアメコミ界を駆け上がっていったのだ。今回は、ダークホースという会社がどのように結成され、今の地位にたどり着いたのかを見ていこう。

クリエイターを守る正義のヒーロー!?

クレジットカードで資金繰り!苦難の立ち上げ

創業者のマイク・リチャードソンは、ポートランド州立大学出身。ここで芸術を学んだ後、家具のデザイン会社へ就職する。30歳の時に退職し、ペガサス・ブックスというコミックストアをオープンさせた。その開業のための資金繰りは、2,000ドルが使用上限のクレジットカードを目一杯まで使ったというから、なんとも庶民的だ。お店を回しながら、自身も作家として活動する多忙な日々を過ごしていたリチャードソン。それでも、なんとかお店の売上を資金にして設立したのが、学生時代から構想を温めていたアメコミ出版会社のダークホースコミックスだった。

クリエイターはパートナー。ダークホースがアメコミ界に起こした革命

ダークホースがフォーカスしたのは、クリエイター側の権利だった。アメコミの世界では、自分が書いたキャラクターやストーリーも、著作権は出版会社に帰属するのが一般的である。ダークフォースでは、ライターやアーティストは会社から雇用されるのではなく、“パートナー”として扱われた。キャラクターの著作権はライターやアーティストに帰属する。クリエイターが出版やマーケティングにも関わっていくことになるこのシステムは、会社の経営方針に振り回されがちであったアメコミライターたちのハートを射止めることになった。

マーベル・DCからの大量移籍

1986年、『Dark Horse Presents #1』が発刊される。1991年にはマーベルでデア・デビルを生み出し、DCで「バットマン:ダークナイト・リターンズ」をヒットさせたフランク・ミラーが移籍した。DCによる新しいレイティングシステムを「検閲」だと批判していたミラーは1990年、「ウォッチメン」で作画を担当していたデイブ・ギボンズとタッグを組んで「Give Me Liberty」をダークホースコミックスから発売。こうした動きは、ダークホースが生み出したクリエイター中心の契約システムと共に、業界にセンセーションを巻き起こした。マーベルとDCを支えてきたクリエイターたちが次々と、アンダーグラウンド・独立系の出版会社に移籍していったのだ。創設時からクリエイターを大切にしていたダークホースは、さながらクリエイターを守る正義のヒーロー。豊かな才能が集まり、前述の「ヘルボーイ」、「300」、「シン・シティ」などのヒット作を生み出すことになった。

コミックだけじゃない!勢いを増すダークホース

『マスク』に『ヘルボーイ』!映画界でも大躍進

しかし、同社の躍進はコミックにとどまらない。『エイリアン』(1979)や『プレデター』(1987)といった20世紀FOXのSF映画を次々とコミカライズし、アメコミ界に新しい潮流を作り出す。1992年には、新会社ダークホース・エンターテイメント社を設立、自社コミックの実写化映画『マスク』(1995)の大ヒットによりその名を世界に知らしめることになる。『シン・シティ』(2005)では、原作者のフランク・ミラーが共同監督として参加。フランク・ミラーは『300 〈スリーハンドレッド〉』(2006)でも制作総指揮を務めた。ギレルモ・デル・トロ監督が指揮し、マイク・リチャードソンが制作に加わった『ヘルボーイ』(2004)では、原作者のマイク・ミニョーラが作品全体のデザインを担当。原作の発表から20年、映画公開から14年が経った2018年、ミニョーラは米掲示板サイトredditに登場し、映画の出来について「満足している」と語った。ダークホースは、映画においても作品を創り出した「生みの親」を大切にする姿勢を見せていたのだ。

「AKIRA」に「攻殻機動隊」。日本のマンガをアメリカへ

そしてもう一つ、同社が早い時期に目をつけていたのが、日本のマンガだ。1987年にアメコミ版ゴジラの「Godzilla: King of the Monsters」を発売。これを皮切りに、「鉄腕アトム」や「AKIRA」、「攻殻機動隊」の英語版制作と販売を手がけた。これらの翻訳作品に影響を受けて育った海外アーティストは少なくない。更にこれにとどまらず、韓国の漫画にも手を広げているというから驚きだ。
こうした、マーベルやDCといった大手の会社では目が行き届かないところまでカバーする独自の動きが、同社を第三のアメコミ企業に押し上げたのであった。ダークホースコミックスがアメコミ界の“ダークホース”にとどまらない活躍を見せる日も、そう遠くないのかもしれない。

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via: © 1986-2018 by Dark Horse Comics Inc.
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© 1986-2018 by Dark Horse Comics Inc. / ©︎ reddit

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