アメコミと猫【ヒーロー編~二人のキャットマン~】

アメコミヒーローと猫

アメコミが描くアメリカと動物

アメリカ国内の世相を反映しながらも、SF界の王道を行くアメコミ。2009年に登場した「ペット・アベンジャーズ」では、動物好きなお国柄とアメコミというサブカルチャーが分かりやすい形でミックスされた。ペット・アベンジャーズは、スーパーパワーを持つスーパーアニマル達を主人公にした物語だ。それ以前にもヒーロー作品には、バットマンやウルヴァリン、ブラックパンサーなど、動物を題材としたヒーローが数多く登場してきた。

猫を題材にしたアメコミヒーロー

そんな中でも今回は、アメリカ国内での飼育数が1億匹に迫るという“猫”をコンセプトにしたヒーローに迫りたい。DCコミックスとマーベルコミックそれぞれの人気キャラクターであるキャットウーマンやブラックキャットなど、猫をモチーフにしたアメコミヒロインをご紹介した記事も参照して頂きたい。ステレオタイプな“女性らしさ”なるものと、猫の特性を結びつけたキャラクター設定は、人気ヒロインを生み出したが、男性ヒーローの方はどうだろう。

二人のキャットマン

すぐに男性の猫キャラクターを思い浮かべることができる人は少ないかもしれない。実は、アメコミ界には、二人の“キャットマン”が存在している。それぞれ名前の英語表記が異なるのだが、ここではホルヨークパブリッシング社が生み出したキャットマン(Cat-Man)を「キャット・マン」、DCコミックスのキャットマン(Catman)を「キャットマン」と表記する。

伝説のヒーロー キャット・マン

元祖・アメコミ猫ヒーロー

キャットウーマンは、誰もが思いつくであろう猫キャラクターの一人だ。しかしキャットウーマンよりも早い時期に、公式に猫をモチーフにして登場したアメコミヒーローをご存知だろうか。1940年に登場したキャットマンは、翌1941年にはタイトルコミックを獲得。中身は様々なヒーローの作品集であったものの、『Cat-Man』というタイトルがついたコミックが出版されている。その後、養女のKittenをサイドキックにした、『Cat-Man and Kitten』のタイトルでも人気を博した。

滅茶苦茶!? キャット・マンのキャラクター設定

キャット・マンことデビッド・メリーウェザーの父、ウィリアム・メリウェザーは科学者だ。インドで調査を行なっていたウィリアムとその家族は、現地部族の襲撃に遭い、惨殺されてしまう。赤ん坊だったデビッドは部族に発見されず生き残ったが、物語のスタートからたった3コマで、主人公が家族全員を失う急展開である。そして惨劇の後に現れた野生の雌虎が、赤子のデビッドを発見する。母性本能により全てを察した虎は、デビッドを引き取り、自分の子として育て始めたのである (色々な意味で雑なお話だが、最後までお付き合い頂きたい)。虎に育てられたデビッドは、強靭な肉体と俊敏さ、暗視能力と“9つの命”を得る。猫はしぶといという意味で生まれた「猫には9つの命がある(A cat has nine lives)」という迷信をうまく(?)採用した設定だ。

斬新な設定の結果は…

9つの命を持っている、つまり“8回死ねるヒーロー”というのは面白い設定のようにも思える。だが、残念ながら最大で8回しか利用できない設定だったことも手伝ってか、キャット・マンはシリーズとしては長続きしなかった。それでも、オーストラリアの出版社やACコミック、直近では2008年にダイナマイトコミックなどからリメイク版が出版されており、確実にアメコミ界の元祖・猫ヒーローとして、歴史にその名を刻んでいる。

後出しで登場!? 本命に育ったキャットマン

バットマンの「色違い」

そんなアメコミ界のレジェンドとも言えるキャット・マン (Cat-man)。それに対して、現在もアメコミファンの間で現役の「キャットマン」として認知されているのが、DCコミックが生み出したキャットマン (Catman)だ。元々はバットマンシリーズのヴィラン(悪役)だったキャットマン。世界的に有名な猟師であったが、退屈しのぎで泥棒業に手を染める。アフリカで作られたとされるユニフォームは、まさにバットマンの“色違い”。大富豪であったことからも、同じく大富豪であるバットマンことブルース・ウェインとは似て非なるアンチヒーローとして描かれることが多い。

設定も後出し

そして、驚くことなかれ、こちらのキャットマンも前述の“キャット・マン”同様、“9つの命”の能力を持っているのだ。DC版の初登場は1963年なので、完全にDCコミックスの後出しだ。しかし、この能力はキャットマン本人のものではなく、彼のアフリカ産のスーツが持つ力。1963年にこの能力を瀕死のバットウーマンに分け与えるという活用方法を見せ、後の人気ヒーローとしての片鱗を見せた。なお、キャットマンに救われたバットウーマンは、キャットマンに近いユニフォームを使用し、一次的に“キャットウーマン”を名乗っている。

次の実写化キャラ? リブートで人気再燃!

2011年に始まった、DCコミックシリーズの世界線を描き直す「NEW 52」シリーズでは、やはりバットマンのライバルとして重要な役割を演じている。このシリーズから、キャットマンにキャットウーマンと同じバイセクシャルの設定が加わったのは、偶然だろうか。ウェブマガジンのコミックス・アライアンスが2014年に選出した「最もセクシーな男性ヒーロー50」では、キャットマンはなんと第9位に選出された (このランキングは、他誌の「最もセクシーなコミックの女性キャラクター100」とバランスを取るために実施されたという点も興味深い)。『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017)では、3Dアニメながら銀幕デビューを果たしており、実写化作品への登場が待たれるキャラクターの一人なのだ。

今回は「猫」を題材とした男性アメコミヒーローとして、二人の“キャットマン”をご紹介した。あまり設定に幅がないのが気になるところ……。特徴が“9つの命”に偏りがちなのも、興味深い点だ。

VG+では、アメコミに登場する猫に関する考察を公開中。猫を題材としたアメコミヒロインアメコミ作品にスーパーアニマルとして登場する猫、そしてペットとして登場する猫についてご紹介している。猫好きの方にも、そうでない方にも、考察を通して、様々な視点でアメコミを楽しんでほしい。

– Source –
SCREENCRUSH NETWORKBabblings about DC Comics / FANDOM (*1) / FANDOM (*2) / Hero Histories

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