第1回スーパーアワード発表
米時間2021年1月10日、放送映画批評家協会が主催する第1回批評家協会スーパーアワード (Critics Choice Super Awards) の結果が発表された。批評家協会スーパーアワードは、SFやファンタジーといったジャンル作品を対象としたアワードで、2021年から新たに創設された。アカデミー賞の前哨戦とも言われる放送映画批評家協会賞を主催する放送映画批評家協会が実施するもので、他のアワードでスポットが当たりづらいジャンル映画やドラマを表彰することを目的としている。
このため、スーパーアワードでは映画部門とドラマ部門にカテゴリーを分けた上で、アクション部門、SF/ファンタジー部門、ホラー部門、スーパーヒーロー部門、アニメ部門と、ジャンル毎に部門を分けて表彰を行う。
ヒーロー部門は『ザ・ボーイズ』が圧倒
注目のヒーロー部門では、スーパーヒーロードラマ部門の作品賞をAmazonプライムビデオの『ザ・ボーイズ』(2019-) が受賞。晴れて初代“ベスト・ヒーロードラマ”の座に輝いた。更にスーパーヒーロードラマ部門最優秀男優賞に、ホームランダーを演じたアントニー・スターが、スーパーヒーロードラマ部門最優秀女優賞にストームフロントを演じたアヤ・キャッシュが選ばれている。また、全てのジャンルを対象とした最優秀ヴィラン賞にホームランダーが選ばれ、『ザ・ボーイズ』は4冠を達成した。
SF/ファンタジードラマ部門では、Disney+の『マンダロリアン』(2019-) が作品賞を受賞。SF/ファンタジー映画部門の作品賞にはHuluの『パーム・スプリングス』が選ばれた。アニメシリーズ部門では、2020年に配信されたシーズン6で完結を迎えたNetflix『ボージャック・ホースマン』が作品賞を受賞。アニメ映画部門にはDisney+の『ソウルフル・ワールド』が選ばれた。アクション映画部門では、スパイク・リー監督のNetflix映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』が『TENET/テネット』を抑えて、同部門の作品賞を受賞している。
全部門の受賞者および受賞作の一覧は、この記事の最後に掲載する。
ジャンル映画の苦悩
権威のある既存のアワードにおいては、スーパーヒーローものをはじめとするジャンル映画は長らく冷遇されてきた。アカデミー賞においては、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003) や『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017) といった例外はあるが、ジャンル映画が作品賞を受賞するケースは稀だ。
歴代世界興行収入記録第1位である『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) も第2位の『アバター』(2009) も、そしてクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』(2008) でさえもアカデミー作品賞を受賞できなかった。『エンドゲーム』と『ダークナイト』はノミネートすらされていない。92回の歴史を誇るアカデミー賞で作品賞にノミネートされたスーパーヒーロー映画は、2018年の『ブラックパンサー』のみである。
コロナ禍でスタートした批評家協会スーパーアワードでは、NetflixやAmazonなどの配信プラットフォームの作品が数多く受賞を果たした。同賞の登場により、ジャンル作品は既存のアワードにおいても地位向上を実現できるのか、今後も見守っていこう。
第1回批評家協会スーパーアワードの受賞作品は以下の通り。
批評家協会スーパーアワード 映画部門
アクション映画部門作品賞
『ザ・ファイブ・ブラッズ』(Netflix)
アクション映画部門最優秀女優賞
ベティ・ギルピン『ザ・ハント』
アクション映画部門最優秀男優賞
デルロイ・リンドー『ザ・ファイブ・ブラッズ』
アニメ映画部門作品賞
『ソウルフル・ワールド』(Disney+)
アニメ映画部門最優秀男性声優賞
ジェイミー・フォックス『ソウルフル・ワールド』
アニメ映画部門最優秀男性声優賞
ティナ・フェイ『ソウルフル・ワールド』
スーパーヒーロー映画部門作品賞
『オールド・ガード』(Netflix)
スーパーヒーロー映画部門最優秀女優賞
マーゴット・ロビー『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
スーパーヒーロー映画部門最優秀男優賞
ユアン・マクレガー『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
ホラー映画部門作品賞
『透明人間』(ユニバーサル)
ホラー映画部門最優秀女優賞
エリザベス・モス『透明人間』
ホラー映画部門最優秀男優賞
ヴィンス・ヴォーン『ザ・スイッチ』
SF/ファンタジー映画部門作品賞
『パーム・スプリングス』(Hulu)
SF/ファンタジー映画部門女優賞
クリスティン・ミリオティ『パーム・スプリングス』
SF/ファンタジー映画部門男優賞
アンディ・サムバーグ『パーム・スプリングス』
映画部門最優秀ヴィラン賞
ジム・キャリー『ソニック・ザ・ムービー』
批評家協会スーパーアワード ドラマ部門
アクションドラマ部門作品賞
『ヴァイキング 〜海の覇者たち〜』(History)
アクションドラマ部門女優賞
アンジェラ・バセット『9-1-1: LA救命最前線』
アクションドラマ部門男優賞
ダヴィード・ディグス『スノーピアサー』
アニメシリーズ部門作品賞
『ボージャック・ホースマン』(Netflix)
アニメシリーズ部門最優秀女性声優賞
ケイリー・クオコ『ハーレイ・クイン』(HBO Max)
アニメシリーズ部門最優秀男性声優賞
ウィル・アーネット『ボージャック・ホースマン』
スーパーヒーロードラマ部門作品賞
『ザ・ボーイズ』(Amazon)
スーパーヒーロードラマ部門最優秀女優賞
アヤ・キャッシュ『ザ・ボーイズ』
スーパーヒーロードラマ部門最優秀男優賞
アントニー・スター『ザ・ボーイズ』
ホラードラマ部門作品賞
『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』(HBO)
ホラードラマ部門最優秀女優賞
ジャーニー・スモレット=ベル『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』
ホラードラマ部門最優秀男優賞
ジェンセン・アクレス『スーパーナチュラル』
SF/ファンタジードラマ部門作品賞
『マンダロリアン』(Disney+)
SF/ファンタジードラマ部門最優秀女優賞
ナタシア・デメトリウ『What We Do in the Shadows』
SF/ファンタジードラマ部門最優秀男優賞
パトリック・スチュワート『スタートレック: ピカード』
ドラマ部門最優秀ヴィラン賞
アントニー・スター『ザ・ボーイズ』
ノミネート作品はこちら (英語) から。
Source
Critic Choice Super Awards