第三回かぐやSFコンテストの最終候補作品の全文を公開
SFウェブメディアのバゴプラが主催する第三回かぐやSFコンテストの最終候補に選ばれた10作品の全文を公開、読者投票を開始しました。
第三回かぐやSFコンテストでは「未来のスポーツ」をテーマに最大4,000字のSFショートショートを募集。297本の作品が集まりました。応募者には完全匿名で応募していただいており、審査員の磯上竜也さん、井上彼方さん、岸谷薄荷さん、佐伯真洋さんがタイトルと本文のみで最終候補作品10本を選出しました。
最終候補に選ばれた作品は、特設ページにて全文のリンクを公開し、読者投票を実施しています。
また、第三回かぐやSFコンテストでは、持続可能なコンテストの運営を目指して、最終候補作品の冊子を販売しています。コンテストをお応援してくださる皆さんや、縦書きの紙の冊子で最終候補作品を読みたい皆さんはぜひご予約ください。
読者投票開始!
本日9月9日(土)9時から最終候補に残った全作品を特設ページにて公開、読者投票の受付を開始しました。9月19日(火)までの間、読者の皆さんは自分が気に入った作品に、ひとり一票を投じることができます。読者投票で最多得票を集めた作品には、読者賞が贈られます。
第三回かぐやSFコンテストでは、最終候補作品の10作品が特設ページを訪問するごとにランダムな並び順で表示されるようになっています。また、一度ページを開いた作品は「作品を読む」の色がピンクから白に変わります。
読者投票の注意事項
- 読者はひとりにつき一度しか投票を行うことができません。
- 投票を取り消すことはできません。
- 投票は、第三回かぐやSFコンテスト特設ページで行えます。
- 全ての作品は最大4,000字の掌編で、審査員が選んだ297編の代表です。途中で大好きな作品に出会っても、ぜひ全ての作品を読んでから投票する作品を決めてください。
読者が決める最高の「未来のスポーツ」は一体どの作品になるのでしょうか。ぜひ読者投票にご参加ください!
最終候補作品の概要公表
最終候補に選ばれた10作品の作者の皆様に、作品の概要を執筆していただきました。どの作品から読むか迷われている方は、まずは概要をご覧ください。本文の公開と読者投票は第三回かぐやSFコンテスト特設ページにて。
「あの星が見えているか」
遠くを見るスポーツ「競視」選手の語り手は最後の国際試合にて過去へと想いを馳せる。
「勝ち負けのあるところ」
勝ち星のない激弱プロレスラーの私のもとに、とんでもないフィジカルの宇宙人がやってくる。
「月面ジャンプ」
ぼくと幼い妹は今夜、オリンピックに参加する。来世を夢見て、さあ、全力で飛ぶぞー!
「叫び」
馬の叫びは悪魔の叫び、聞けば命を削られる。――耳を塞ぎ、私たちは馬を排除する。
「城南小学校運動会午後の部『マルチバース借り物競走』」
借り物競走のお題に書かれていたのは、どの多元宇宙にも存在しないものでした。
「月はさまよう銀の小石」
父と僕はキャッチボールをする。今も昔も、どこにいても。大事なのはたぶんそれだけ。
「プシュケーの海」
君に提案をしにきた。麻痺している君の体を動かせるようになるかもしれない。
「ベントラ、ボール、ベントラ」
オリエは犬を奪おうとした。密やかに流行するゲームに勝つために。
「マジック・ボール」
寄宿学校で誘われたベースボール。私のボールが消える理由を、彼女だけは知っていた。
「歴史的な日」
屋外体育のない社会で育った俺が、日本初の屋外体育設備をつくったが……
(五十音順)
※「城南小学校運動会午後の部『マルチバース借り物競走』」は最終候補作品の発表時に「城南小学校運動会午後の部『マルチバース借り物競争』」と表記しておりましたが、誤字が含まれたため訂正いたしました。
各審査員の選外佳作リスト公開中!
第三回かぐやSFコンテストでは、最終候補となった10編の作品以外にも優れた作品が多数寄せられたことから、“最終候補には残せなかったが優れた作品”として、各審査員が10本ずつ選んだ選外佳作リストを公開しています。執筆者が作品を公開しており、リンクの掲載の連絡をいただいた場合には、作品にリンクを貼っております。こちらもぜひお読みください。
Kaguya Booksから新たなアンソロジー発売中!
かぐやSFコンテストを起点として生まれたSF書籍レーベルのKaguya Booksからは、8月31日(木)に正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』、井上彼方編『京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色』が発売されました。
「大阪SFアンソロジー」の編者である正井さんは第一回かぐやSFコンテストに応募した「よーほるの」で最終候補入り。第一回&第二回かぐやSFコンテストの最終候補筆者を中心とした『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』(2022) では表題作を手掛けました。
Kaguya Booksからは、第三回かぐやSFコンテストを起点とした「SFアンソロジー 新月」の第二弾の制作を予定しています。こちらもお楽しみに!
Kaguya Planetでは毎月SF短編小説を配信中!
かぐやSFコンテストを主催するVGプラス合同会社では、SF短編小説を定期的にウェブ上に掲載するKaguya Planetを主宰しています。Kaguya Planetは第一回かぐやSFコンテストの盛り上がりを受けて始動したプロジェクトです。月500円で登録していただくと、毎月先行公開の作品を読むことができます。
現在先行公開されている作品は、かかり真魚「夜盗花」です。
かかり真魚さんは、2018年にフード性悪説アンソロジー『燦々たる食卓』を企画・編集。自身も民話「食わず女房」の語り直し「食はずの姉さん」を寄稿しています。『燦々たる食卓』は食べるという行為に伴う負の側面や露悪的な演出等に注目したオルタナティブな文藝作品を集めたアンソロジーで、食と人間を描いた小説・漫画・俳句・評論等が収録されています。『燦々たる食卓』の販売は現在終了しておりますが、かかり真魚「食はずの姉さん」、正井「大食い女」などいくつかの収録作品はウェブで公開されています。
近所の吉崎さんに教わった通りに獲れた茄子を酢の物にすると、夫は気に入ったらしかった。茄子をつまみ、ビールを飲みながらナイターを見る夫と話していると、台所からさやが出てくる——。