『エイリアン:ロムルス』公開
「エイリアン」シリーズ最新作となる映画『エイリアン:ロムルス』が2024年9月6日(金) より日本の劇場で公開された。リメイク版『死霊のはらわた』(2013) で鮮烈なデビューを飾ったフェデ・アルバレス監督が、誰もが知るSF大作の新章を描き出す。
『エイリアン:ロムルス』はシリーズの祖であるリドリー・スコットを製作に迎え、これまでに公開された映画6作品をつなぐ特別な作品に仕上がっている。興行的にも成功を収めた『エイリアン:ロムルス』だが、果たして続編は製作されるのだろうか。フェデ・アルバレス監督の発言をチェックしてみよう。
なお、以下の内容は本編の結末に関するネタバレを含むので、劇場で『エイリアン:ロムルス』を鑑賞してから読むようにしていただきたい。
以下の内容は、映画『エイリアン:ロムルス』の結末に関するネタバレを含みます。
『エイリアン:ロムルス』続編はある?
日本よりも3週間早く劇場で公開された北米では、『エイリアン:ロムルス』は国内興収9,200万ドル超のヒットを記録。中国ではそれを上回る9,300万ドル超の興行収入を記録したことでも話題になっている。日本公開時点の全世界興収は約2億9,000万ドル(約459億円)で、約8,000万ドル(約115億円)とされている本作の予算を大きく上回っている。
興行的にはこのまま「エイリアン」シリーズが作られていくことは確実だと思われる。では、リドリー・スコット監督からバトンを受け、ディズニー移行後初の「エイリアン」作品を成功に導いたフェデ・アルバレス監督は続編についてどう考えているのだろうか。
米The Hollywood Reporterのインタビューに答えたフェデ・アルバレス監督は、「共同で脚本を手がけたロド・サヤゲスと続編の可能性についてどれくらい考えたか、明日にでもプレゼンできるか」という質問を受けて、こう語っている。
はい、間違いなくできます。私たちは続編について考えなくても、自然とそうしてしまうんです。私たちは、“映画”をフランチャイズや人気商品、続編といった枠で考えていません。(映画は)自分のキャリアの中で、この10年間で学んだ唯一の言語です。常にストーリーのことを考えているんです。
一つ仕事を終えたら、また考えてしまいます。「ユヴァーガに着いたら次は何が起きる? 良い場所なのかな? それとも酷い場所?」って。彼女らが理想郷だと思っていた場所はおそらく実際には酷い場所だろう、と考えてしまうので、そうなると自然と物語がどこへ向かい何が起きるかということを考え始めます。そして数分経ってから思うんです、「あ、これ続編っぽいぞ」ってね。
フェデ・アルバレス監督は職業柄、続きのストーリーは考えてしまうとした上で、『エイリアン:ロムルス』のラストでレインたちが向かう希望の惑星ユヴァーガはおそらく酷い場所だと見当をつけているようだ。
『エイリアン:ロムルス』では、植民地惑星のジャクソン星で苦しい生活を強いられる若者たちが、その支配者であるウェイランド・ユタニ社の管轄外である惑星ユヴァーガへの脱出を試みる。最終的に脱出できたのはレインとアンドロイドのアンディだけだったが、それでも理想郷へと向かう希望あるラストではあった。
しかし、惑星ユヴァーガがウェイランド・ユタニ社も手をつけたがらないような酷い場所だとしたら、話は変わってくる。そこには大量のエイリアンがいるのか、それともよりヤバい人間たちが支配しているのか……想像は膨らむ。
続編は数年先?
フェデ・アルバレス監督には、『エイリアン:ロムルス』の続編についてのアイデア自体はあるようだが、実際に制作に着手するのはまだ先の話になりそうだ。上記のインタビューで、同監督はこう続けている。
しかし、まだストーリーや次の章が必要かということと、人々が次に何が起きるか知りたいかということは、より慎重に考えるようにしています。ですから、皆さんがどう思うか、(続編を)欲しいと思うかどうかを見るために待つことにします。
(続編は)2年以内で作るべきではないというのが私の信条です。観客が本当に望むようになるまで、しばらく離れておくべきなんです。『エイリアン』と『エイリアン2』のことを考えれば、続編の公開までに7年が経過していますよね。だけど、私たちがこの映画が進むべき方向についてアイデアを持っているということは確かです。
1979年公開の映画『エイリアン』と、1986年公開の『エイリアン2』までに7年の時が経過していることを例に挙げ、フェデ・アルバレス監督は続編制作を急いでいないことを強調している。ただし、このインタビューが公開されたのは米中での公開の翌日。“世間の評価”という第一関門は突破したはずだ。
「エイリアンVSプレデター」の新作も!?
また、フェデ・アルバレス監督は「プレデター」とコラボしたスピンオフシリーズ「エイリアンVSプレデター」の新作の監督にも興味を示している。『エイリアン:ロムルス』のプレミアの舞台で米Deadlineに「エイリアンVSプレデター」の監督を務める可能性はあるかと聞かれた同監督は、以下のように語っている。
相棒のダンと一緒に監督しないといけないかもしれません(笑) タランティーノとロバート・ロドリゲスが『フロム・ダスク・ティル・ドーン』でやったようにね。私と彼で半分ずつ監督するんです。
“相棒のダン”というのは、映画『プレデター:ザ・プレイ』(2022) を指揮したダン・トラクテンバーグ監督のことだ。フェデ・アルバレス監督は、「エイリアン」と「プレデター」というSFホラーの老舗フランチャイズを再起動した二人で、「エイリアンVSプレデター」の第3弾を作ることに興味を持っているようだ。
『エイリアン:ラムロス』と同じように「プレデター」シリーズの新たな側面を掘り下げた『プレデター:ザ・プレイ』は、劇場公開されず2022年に配信で公開された。同作は非常に高い評価を受けており、パンデミック後初めて劇場公開された「エイリアン」シリーズになった『エイリアン:ラムロス』のヒットを受けて、同じような位置付けにあった『プレデター:ザ・プレイ』を劇場で公開しないという判断は正しかったのかと問う声も一部であがっている。
裏を返せば、『エイリアン:ラムロス』のヒットによって、同じ老舗SFホラーである「プレデター」シリーズにとっても追い風が吹くことになる。「プレデター」シリーズの最新作は、そのダン・トラクテンバーグ監督が『バッドランズ(原題:Badlands)』というタイトルで製作を進めている。同作が成功を収めた暁には、二人の新鋭による『エイリアンVSプレデター3』制作にも期待したいところだ。
なお、「エイリアン」シリーズはドラマ制作が決定しており、2024年7月には撮影を終えている。タイトルは『エイリアン:アース(原題)』になることが発表されており、地球を舞台にウェイランド・ユタニ社を中心とした物語が描かれる。こちらは『エイリアン』第1作目よりも前の時代が舞台になるということで、続編ではなく前日譚ということになる。
『エイリアン:アース』の配信は2025年頃と見られている。『エイリアン:ロムルス』を起点として再び動き出す「エイリアン」シリーズの今後に期待しよう。
映画『エイリアン:ロムルス』は2024年9月6日(金) より全国の劇場で公開。
『エイリアン:ロムルス』オリジナル・サウンドトラックは配信中。
「エイリアン」シリーズはBlu-rayコレクションが発売中。
映画『エイリアン3』のその後を新たに描くオリジナル小説『
』( T・R・ナッパー著, 入間眞 訳)は9月4日(水)発売。Source
The Hollywood Reporter / Deadline
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