グリーンライトの出なかった『グリーンランタン』 DCUで再出発できるか | VG+ (バゴプラ)

グリーンライトの出なかった『グリーンランタン』 DCUで再出発できるか

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米時間2023年1月31日、ジェームズ・ガン共同CEOの動画発表でDCU10年計画第一章「神々と怪物」の計画の一つとして『ランタンズ(原題:Lanterns)』というドラマシリーズの制作が決定したグリーンランタン。しかし、このドラマ化にこぎつけるまでには紆余曲折の道のりがあった。

それだけではなく、未だに放置されているグリーンランタンたちも存在している。「デッドプール」シリーズで『グリーンランタン』(2011)の主演を務めたライアン・レイノルズ氏がいじり倒していることから、DCコミック好き以外にも色々な意味で認知度の高いグリーンランタン。DCU刷新のタイミングで、ここに至るまでの流れを大まかにまとめてみたいと思う。

グリーンランタンとは

そもそもグリーンランタンとは個人名ではない。彼らは宇宙の警察官のようなもので、惑星オアを本拠地とするガーディアン・オブ・ザ・ユニバースによって組織されたグリーンランタン・コァに属するメンバーの総称である。彼らは個人ごとに特定の宇宙域を任されており、持ち主が命を落とすと力の源であるパワーリングが一番近い後継者のもとに飛んでいく。それによってグリーンランタンのメンバーは増えていくので、二代目、三代目、四代目と多くのメンバーがいるのだ。更には恐怖を克服するといった後継者の条件さえ満たせばあらゆる動物、ひいては数列さえもグリーンランタンに選ばれる。そのため、実写化の際にはどのメンバーが実写化されるのかが注目される。

さらに複雑なことにジャスティス・ソサイティ・オブ・アメリカ(JSA)のメンバーであった初代グリーンランタンは他のグリーンランタンと設定が異なっている。全身緑色のボディスーツに緑色のアイマスクをつけていることが多い二代目以降のグリーンランタンと異なり、初代は胸にランタンのマークを付けた赤いコスチュームに緑色のマントとクラシックなヒーローの出で立ちをしている。40年代のヒーローなので当然と言えば当然だが能力も異なっており、設定の変遷はあるものの、パワーリングも列車技師のアラン・スコットが隕石を削り出して指輪をつくったという設定になっている。

メンバーの多様さと設定の複雑さ、さらにはライアン・レイノルズ版『グリーンランタン』の興行的な失敗も相まってか、グリーンランタンの実写化には中々グリーンライト、つまりはゴーサインが出なかった。今回の実写化の以前にも多くのグリーンランタンが埋もれたままになっている。

アラン・スコットとガイ・ガードナー 

2019年、当初HBOで実写化が発表されていたグリーンランタンの主人公は初代グリーンランタンのアラン・スコットと四代目グリーンランタンのガイ・ガードナーだった。アラン・スコットは2012年のDC世界の再構築の際にゲイであることをカミングアウトし、ガイ・ガードナーは80年代の愛国主義を体現したような男らしさを強調した存在になることが同役を演じるフィン・ウィットロック氏が発言している。ゲイであることをカミングアウトし、リベラルでもあるグリーンランタンとMAGA気質のあるマチスモなグリーンランタンの凸凹コンビで計画は進行し、ドラマ『アロー』(2012-2020)などでアローバースというマルチバースの構築に成功していたグレッグ・バーランティ氏がプロデューサーに就任した。

グリーンランタンは宇宙の警察という設定上、宇宙規模の事件に関わることが多く、それによってマルチバースの危機に対処するエピソードなども自然と増えてくる。そのためか、プロデューサーにはアローバースの構築に貢献した人物が選ばれていった。ことを知ったファンの中にはアラン・スコットとガイ・ガードナーがマルチバースの危機に立ち向かうと考えるものも少なからずいた。

更に脚本と製作総指揮に『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017)を手掛けたセス・グレアム=スミス氏などが起用されるなど、計画は順調に進んでいるように思えた。事実、グレアム=スミス氏は全8話のシーズン1すべての脚本を書き終えていたとのことだが、新会社ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの発足で新CEOのデイヴィッド・ザスラフCEOの経営方針が変わったことで、グレアム=スミス氏が降板を決意し、他のプロデューサーも後に続くように降板。更にはDCフィルムズの社長だったウォルター・ハマダ氏が『バットガール(原題:Batgirl)』のお蔵入りでのクリエイターへの不義理などを理由に退任寸前まで行くと計画は完全に白紙になった。

この時点で初代グリーランタンのアラン・スコットを演じることになっていたジェレミー・アーヴァイン氏と四代目グリーンランタンのガイ・ガードナーを演じるはずだったフィン・ウィットロック氏の契約は切れており、制作陣は再起用に積極的だった。だが、さまざまなグリーンランタンたちが登場することを目玉としたスケールの大きい作風に、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの上層部は資金面を理由に難色を示した。この時点でDC史上初の黒人ヒーローである三代目グリーンランタンのジョン・スチュワートを主人公にした作品を計画していたようだが、この時点でグリーンランタンの映像化については音沙汰無しとなった。

ジョン・ディグル

前述の通り、『アロー』の放送開始によってアローバースという形でThe CWはDCヒーローたちのマルチバース化を進めていた。その中でデイヴィッド・ラムゼイ氏演じるジョン・ディグルをグリーンランタンにすることが進んでいたのだ。ジョン・ディグルはスティーブン・アメル氏演じるオリバー・クイーンのお目付け役を任された元軍人の運転手兼ボディガードで、彼がグリーンアローとして活動するようになると、それに協力することになるキャラクターだ。そして物語が進むにつれ、グリーンアローの代理を務めるなど積極的に活動し、自身も特殊装備で身を固めたヒーロー、スパルタンとして活動するようになる。

そのような彼に緑色のスポットライトが当たったのはクロスオーバーイベント「エルスワールド」でのこと。1990年~1991年にかけて放送された『超音速ヒーロー ザ・フラッシュ』の主人公であるジョン・ウェズリー・シップ氏演じるEarth-90のフラッシュことバリー・アレンがジョン・ディグルに対して「自分の世界の彼は指輪を持っている」ことを明かした。彼に指摘される形でジョン・ディグルも自身の継父の姓がスチュワートであることを告白し、彼が実はコミックで三代目グリーンランタンとして知られるジョン・スチュワートであったことが視聴者に知らされた。

そして『アロー』の最終回では、彼が宇宙から降ってきた何らかの物体を見つけ、緑色の光に照らされる場面が挿入されるという、ジョン・ディグルがグリーンランタンになる布石が打たれていった。しかし、DCEUとの兼ね合いもあってか、その後の進展はなく、他作品にヒーローとして出演するときにはスパルタンとして活動していた。ここでもまたグリーンランタンにグリーンライトは出なかったのだ。

ザック・スナイダー版グリーンランタン

2011年の映画化以降、映画においてグリーンランタンの計画がまったくなかったわけではない。それは『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダー・カット』(2021)の中で、三代目グリーンランタンであるジョン・スチュワートの出演が決まっていたことが明かされたのだ。『ジャスティス・リーグ』(2017)の冒頭で、かつてステッペンウルフたちの地球襲来の際、人間、神、アマゾネス、アトランティス人、そしてグリーンランタンたちが抵抗したことが描写され、持ち主を喪って後継者のもとへと飛び去るパワーリングの姿は描写されていた。

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だが実際はウェイン・T・カー氏がジョン・スチュワート役として撮影に参加しており、『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダー・カット』のリリース一周年を記念して同氏がTwitterにカットされた場面と撮影風景を投稿したことで、同氏が本格的に登場する予定だったことがファンの知るところとなった。当初、グリーンランタンはベン・アフレック氏演じるバットマンとハリー・レニックス氏演じるマーシャン・マンハンターが対面する場面で登場させようとしていたらしいが、それは叶わなかった。つまり、ここでもジョン・スチュワートのグリーンランタンの計画は動いていたが、出演まではこぎつけなかったのである。

2017年頃にはタイリース・ギブソンをジョン・スチュワート役に映画化の企画が進み、2019年頃にその企画が未だ存命でDCエンターテインメントの会長およびコミックライター兼プロデューサーを辞任したジェフ・ジョーンズ氏が脚本を担当する『グリーンランタン・コァ』という映画の制作の計画が持ち上がっていた。だが、こちらも頓挫してしまっている。

ようやく出たグリーンライト

そして先日、映画監督であり、DCスタジオの共同CEOであるジェームズ・ガン共同CEOの発表の中で『ランタンズ(原題:Lanterns)』の制作が発表された。おそらく当初のアラン・スコットとガイ・ガードナーの凸凹コンビの計画が白紙になった際に持ち上がったジョン・スチュワートが主人公のグリーンランタンのプロットが根底にあると思われる。

主人公は現在のグリーンランタン像を固めた人気の高い二代目グリーンランタンのハル・ジョーダンと三代目グリーンランタンのジョン・スチュワートに変わっているものの、多数のグリーンランタンの登場が目玉となっているなど、その名残がうかがえる。

また、当初のHBOのグリーンランタンなどの計画にはジェームズ・ガン共同CEOとピーター・サフラン共同CEOは関与していないとのことだが、なぜか憎めないMAGA気質でマチスモなヒーローとLGBTQ+であることを告白し、リベラルでもある人間の凸凹コンビの流れは、ジェームズ・ガン共同CEOが監督を務めた『ピースメイカー』と共通しているように思える。それを踏まえるとシーズン2が決まるなど好調な『ピースメイカー』に似通った設定になってしまうガイ・ガードナーとアラン・スコットのコンビをぶつけないようにしているのかもしれない。

他にも日本未配信のDCのドラマシリーズ『スターガール(原題:Stargirl)』(2019-2022)でもジャスティス・ソサイティ・オブ・アメリカ(JSA)の過去のメンバーとして、集合写真の中にアラン・スコットが登場するなど映像作品の中に足跡を残してきたグリーンランタンたち。特に『スターガール(原題:Stargirl)』ではグリーンランタンの娘シェイドを主人公にしたスピンオフも計画されていたが、こちらも白紙になるなど映像化に恵まれてこなかった。

何はともあれ、DCU10年計画第一章「神々と怪物」の中でようやく出たグリーンランタンへのグリーンライト。今後の展開に注目していきたい。

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ジェームズ・ガン共同CEOが発表した『ランタンズ』を含むDCU10作品の全作解説はこちらから。

マット・リーヴス監督の『ザ・バットマン2』は2025年10月の米公開が発表された。詳しくはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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