『ペンギン・ハイウェイ』が今敏賞を受賞
日本SF大賞受賞作品、遂に映画化
カナダのモントリオールで開催されているファンタジア国際映画祭にて、『ペンギン・ハイウェイ』が最優秀アニメーション賞にあたる今敏賞の長編部門を受賞した。『ペンギン・ハイウェイ』は、『夜は短し歩けよ乙女』(2007)で知られる森見登美彦が2010年に発表した同名小説のアニメ映画化作品。原作小説は、2010年の日本SF大賞を受賞している。小学四年生の男の子”アオヤマ君”が、街に現れたペンギンの謎を追う姿を描く。『ペンギン・ハイウェイ』の主題歌「Good Night」を手がけたのは、宇多田ヒカル。7月3日に行われた完成披露舞台挨拶には、原作に「謎の魅力。大人のズルさ」を感じたとのコメントを寄せている。日本では8月17日に公開を予定しており、世界でも11カ国での配給が決定している。
スタジオコロリドの「超新星コンビ」
アニメーション製作は、本作で監督を務める石田祐康監督と、キャラクターデザインを担当する新井陽次郎監督が立ち上げたスタジオコロリド。石田祐康監督は、1988年生まれの新進気鋭のアニメーション監督。学生時代から「フミコの告白」、「rain town」といった短編アニメーション作品で数多くの賞を受賞してきた。今回が初の長編作品となる。新井陽次郎監督も同学年の1989年生まれ。若くして、スタジオジブリのアニメーターとして『借りぐらしのアリエッティ』(2010)、『コクリコ坂から』(2011)、『風立ちぬ』(2013)に携わった経歴の持ち主だ。2015年には『台風のノルダ』を監督。若きクリエイターコンビの手腕に注目だ。
京都を飛び出した「京都タッグ」
脚本は、『夜は短し歩けよ乙女』でも脚本を手がけた上田誠。アニメ『四畳半神話大系』(2010)でもシリーズ構成と脚本を手がけており、森見登美彦原作のアニメ作品では三度目のタッグとなる。上田誠は、森見登美彦と同じ1979年生まれ。大学時代を同じ京都で過ごすという共通点があり(石田祐康監督もまた京都の大学出身である)、『夜は短し歩けよ乙女』と『四畳半神話大系』も京都を舞台とした物語だ。だが、今作『ペンギン・ハイウェイ』は、実は森見登美彦にとって、京都の街を舞台にしていない初めての作品だ。京都の街を飛び出した名タッグの新作に期待しよう。
『ペンギン・ハイウェイ』は、8月17日より全国でロードショー。