ドクター・ストレンジが医者になった理由とは サム・ライミ監督が語る『ドクター・ストレンジ MoM』ネタバレ | VG+ (バゴプラ)

ドクター・ストレンジが医者になった理由とは サム・ライミ監督が語る『ドクター・ストレンジ MoM』ネタバレ

© 2022 Marvel

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公開中

MCU映画第28作目『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が2022年5月4日(水・祝)より公開されている。マルチバースの扉が開かれた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) に続き、本作では他のユニバースが舞台にドクター・ストレンジの物語が描かれる。

様々なカメオを含むサプライズが話題になった『マルチバース・オブ・マッドネス』だが、当然ドクター・ストレンジ自身の物語も見所だ。その中で触れられたストレンジの過去について、本作の指揮をとったサム・ライミ監督が重要な証言を寄せている。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の内容に関するネタバレを含みます。

ドクター・ストレンジが医者になった理由とは

サム・ライミ監督が語ったのは、ドクター・ストレンジことスティーブン・ストレンジが医者になった理由だ。劇場公開から2週間が経つタイミングで、米マーベル公式はサム・ライミ監督とベネディクト・カンバーバッチのある場面に関するコメントを紹介した。

その場面とは、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の後半で、ドクター・ストレンジがインカージョンを起こしたシニスター・ストレンジと出会うシーン。

自分が本物のドクター・ストレンジであることを証明するために、ストレンジは幼い頃に氷上で妹ドナと一緒に遊んでいた時に氷が割れて妹が落下してしまったこと、自分には救うことができなかったことを明らかにする。シニスター・ストレンジは、その事実を誰にも話していないことを知っており、本物のストレンジであることを認めたのだった。

この初めて語られた過去はスティーブン少年のその後の人生を決定づける経験になったようだ。サム・ライミ監督はこう話している。

『マルチバース・オブ・マッドネス』の登場人物、ドクター・ストレンジ、ワンダ・マキシモフ、アメリカ・チャベスらは皆、バックグラウンドに何らかのトラウマを抱えています。

スティーブンは氷が張った湖での事故で妹を失いました。そして、彼には彼女を救える力はなかった。その現実と共に生きていかなければならなかったのです。それで彼は外科医になり、少年の頃にできなかった人の命を救うということを必死にやろうとしているんだと思います。

妹の死がドクター・ストレンジが医者になるきっかけになったという設定は、本来は前作『ドクター・ストレンジ』(2016) で描かれる予定だった。妹の事故死のシーンは撮影されたものの、前作のスコット・デリクソン監督は「作品にマッチしなかった」として本編からカットされたことを明かしていた。

今回のサム・ライミ監督のコメントは、前回削除されたシーンの設定が本作でも生きていることを示すものだ。とりわけ本作では、道を踏み外したシニスター・ストレンジとも共通する経験として描かれており、この過去がドクター・ストレンジの根幹をなす経験だったことが示されている。

ベネディクト・カンバーバッチも語る

ドクター・ストレンジを演じたベネディクト・カンバーバッチも、妹ドナの死がストレンジの人生に及ぼした影響について重要な証言をしている。

ドナを失ったことは、彼の動機の根幹にあるもので、本作で彼のバックストーリーを明らかにできたことは本当に嬉しいですね。

私たちが出会う神経外科医の彼は、強い意志と自我と能力で状況をコントロールできると考える人物です。しかし、彼が本当にやろうとしていることは、死に打ち克つことなんです。医学や科学を超えて、人が死ぬのではなく生きることにつながるように問題を解決しようとしているんです。

若い頃の失敗、つまりティーネイジャーの時に目の前で妹が溺れているのに蘇生ができないというのは、医者の道を歩み始めるには非常に辛い状況です。それはまるで常に過ちを照らされるような感覚であり、深い傷跡を残しました。

この映画の中で、彼が「OK、私は自分の中の恐怖に立ち向かわないといけない。物事の結果をいつもコントロールできるわけじゃない」と気付くまで、彼はそれを抱え続けていたんです。

若い頃に学んだけれど、同時に学んでいなかったんです。つまり、トラウマを心の底に埋めてしまい、それが全てを支配しようとする欲求として現れてしまったのです。脳外科手術でのメスにしても、マルチバース内での魔法にしても、自分の意志や努力、そして自我によってコントロールできると考えることは最善とは言えません。彼のバックストーリーを明らかにするのは非常に興味深いことです。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のラストでは、「人のことを考えていないわけでも、思いやってほしくないわけでもなく、ただ怖かった」と話すストレンジに、アース838のクリスティーン・パーマーが「恐れに向き合って」と助言する。ベネディクト・カンバーバッチによると、この“恐れ”の根幹にあったのが目の前で死にゆく妹を救えなかった経験だったというのだ。

なお、ベネディクト・カンバーバッチのこのコメントで、妹の死はストレンジがティーネイジャー(13歳〜19歳)だった頃の出来事であることが示されている。

トニー・スタークに続く“傲慢キャラ”として登場したドクター・ストレンジだが、MCU内の他者とマルチバースの自分と出会う中で、少しずつそのバックグラウンドが見えてきた。次はどんなストーリーが語られるのか、シリーズ3作目にも期待しよう。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、2022年5月4日(祝・水)より劇場公開。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のサントラはユニバーサル・ミュージックから発売中。

Source
Marvel.com

『マルチバース・オブ・マッドネス』に見られた『X-MEN:フューチャー&パスト』からの引用はこちらから。恐怖に向き合うことも両作の共通点になっている。

妹ドナの死も含む『マルチバース・オブ・マッドネス』とドラマ『ムーンナイト』の共通点の解説はこちらから。

『マルチバース・オブ・マッドネス』でのドクター・ストレンジの変化についての解説はこちらから。

ベネディクト・カンバーバッチが今後について語った内容と次回作についての考察はこちらから。

エリザベス・オルセンが語ったワンダの今後、X-MENへの合流についてはこちらの記事で。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の最後とポストクレジットシーンの解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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