ドラマ『ロキ』に登場するミス・ミニッツとは誰か
ドラマ『ロキ』は2021年6月9日(水)よりDisney+で配信を開始。MCUに属する超重要作品として、MCUの世界を拡大している。ロキの生き方をめぐる物語が本作も目玉でもあるが、同時に重要な役割を持った新キャラクターも数多く登場。その中でも気になるのは、マーベル公式が大々的に推しているミス・ミニッツだ。
TVA(時間変異取締局)のマスコットキャラクター的な存在で、オレンジ色の時計の姿をしたミス・ミニッツは、第1話配信開始まで声優に関する情報も伏せられていた。第1話配信のタイミングで、ミス・ミニッツの声は人気声優のタラ・ストロングが担当していることが判明。タラ・ストロングは「バットマン」のゲームシリーズでハーレイ・クインの声を担当しているほか、アニメ『パワーパフガールズ』(1998-2005) のバブルス役などで知られる。人気声優をサプライズ起用していることからも、ミス・ミニッツが重要な存在であることは明らかだ。
また、ミス・ミニッツは2万人のフォロワーを集めるTwitterアカウントが存在しており、第2話配信前の6月14日(月)にはマーベル公式がミス・ミニッツの単独ポスターを公開した。
Hey There! 🧡🕰 pic.twitter.com/hmJDrcvVDd
— Miss Minutes (@MissMinutesTVA) June 14, 2021
更に同日には“ミス・ミニッツ クッキーの作り方”なる記事を公開している。
Bake these welcoming timely #MissMinutes treats, and get caught up on Marvel Studios’ #Loki, now streaming on @DisneyPlus! https://t.co/qB8oKKA3OG
— Marvel Entertainment (@Marvel) June 14, 2021
また、FUNKO POP!ではミス・ミニッツのフィギュアも登場。Tシャツを含むマーベル公式グッズも数多く登場しており、ミス・ミニッツが重要なキャラクターであることを示唆している。
Coming soon: Marvel Studios’ Loki – Ravonna Renslayer with Miss Minutes (Pop! & Buddy) and Hunter B-15 (Amazon exclusive). Pre-order today! https://t.co/g4aK0enCM7 #MarvelMustHaves #Funko #FunkoPop #Loki @LokiOfficial pic.twitter.com/Ti9phWu1LD
— Funko (@OriginalFunko) June 18, 2021
Take some time to browse the latest #MarvelMustHaves, featuring the one and only #MissMinutes! https://t.co/YJQWUAkNvV
— Marvel Entertainment (@Marvel) June 15, 2021
では、マーベル公式がこれほど推すミス・ミニッツとは、一体どのようなキャラクターなのだろうか。
以下の内容は、ドラマ『ロキ』第2話までの内容に関するネタバレを含みます。
ミス・ミニッツが教えてくれたこと
『ロキ』第1話では、ミス・ミニッツがMCUの時間軸の仕組みを詳細に解説。MCU世界には太古の昔にマルチバースが存在しており、多次元にわたる戦争が起きたことからタイムキーパーと呼ばれる存在がこのマルチバースを「神聖時間軸」と呼ばれる一つの時間軸にまとめたという歴史が語られた。ミス・ミニッツが語ったのは歴史だけではなく、神聖時間軸から生まれた分岐はTVAによって剪定されるという重要な仕組みも明かされた。
これにより「過去に戻ってサノスを倒す」といった“ズル”ができない理由が判明している。なお、第2話ではミス・ミニッツは研修を受けるロキの相手をしているが、この時もデスクトップのスクリーンにタイムスリップ理論に関するクイズが表示されている。
こうした重要な情報を届けるミス・ミニッツとは、一体何者なのだろうか。
原作コミックでは?
ミス・ミニッツはどう見てもコミック風のキャラクターだが、実はマーベルの原作コミックには登場していない。つまり、今後どのような動きを見せるか全く予想できないキャラクターなのだ。脚本家のマイケル・ウォルドロンは第2話ラストに登場した変異体の正体を「知っている人もいれば知らない人もいる」とコメント。これは、変異体の正体が原作コミックに登場するキャラクターだということを示唆している。
原作コミックに登場するキャラクターがMCUに登場する場合、展開のパターンは二つだ。一つ目は、原作コミックを踏襲した展開を見せてファンを喜ばせること(セオリー)、二つ目は、原作コミックファンの知識や考察を逆手にとって意表を突く展開を見せること(逆張り)。ミス・ミニッツにはこのパターンの考察が適用できない非常に難しいキャラクターなのだ。
一方で、ミス・ミニッツがドラマ『ロキ』のどこかの段階でその本来の正体を現す展開も考えられる。また、その正体が原作コミックにも登場する重要なキャラクターである可能性も残されている。そしてその筆頭はタイムキーパーだろう。タイムキーパーが自らTVAとタイムキーパー礼讃のプロパガンダを垂れ流していると考えると可笑しくもあるが、メビウスがTVAの成り立ちや構造を疑っていないことを考えると、タイムキーパーが最も身近にいたという展開は十分にありうるのではないだろうか。
ミス・ミニッツを徹底考察
では次に、既に描写されている情報を整理してミス・ミニッツを考察してみよう。第2話で驚かされたのは、第1話でアニメとしてスクリーン内に登場していたミス・ミニッツが立体的な存在として現実世界に登場し、ロキと対話していたことだ。ロキも録音 (recorded) か生きてる (alive) のか疑問を投げかけていたが、「その両方」とはぐらかしている。
ミス・ミニッツは雑誌で物理的に叩こうとするロキから逃げてはいるものの、最終的にはパソコンのモニターの中に入ってしまう。敵の三大勢力は「アンドロイド、エイリアン、魔法使い」とは『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) におけるサムの言葉だが、ミス・ミニッツが生物でもホログラムでもないのだとすれば、魔法で作られた存在なのだろうか。
また、ミス・ミニッツはキャラクターとしてだけでなく、“記号”としても登場している。TVAのエレベーターには、階数のボタンに並んでミス・ミニッツの顔を象ったボタンが存在する。また、TVAの部隊が携行している端末の画面には、タイムドアを呼び出すアイコンと並んでミス・ミニッツのアイコンも確認できる。つまり、ミス・ミニッツは選択可能な存在なのだ。仮にミス・ミニッツがタイムキーパーのようなTVAを象徴する存在なのだとすれば、ミス・ミニッツを呼び出すボタンは、タイムキーパーに緊急連絡を行うようなボタンなのではないだろうか。
そして、マーベル公式はウェブサイトでミス・ミニッツのことをこう紹介している。
ミス・ミニッツはTVAを時計のようにチクタクと動かしています。様々な方法でね。
なんとも含みのある書き方である。やはりミス・ミニッツは「様々な方法で」「TVAを動かしている存在」なのだ。
また、第1話のエンドロールでは、エンディングテーマ曲の最後にミス・ミニッツの声が挿入されている。「ようこそTVAへ!困ったことがあれば相談してください」という何の変哲もない台詞だが、やはりTVAを代表する存在だと捉えることもできる。
果たしてミス・ミニッツの正体と目的とは。そしてミス・ミニッツのボタンを押すと何が起きるのか……。今後の期待を予想しつつ、答え合わせの時を待とう。
ドラマ『ロキ』は2021年6月9日(水) より、Disney+で独占配信。
【ネタバレ注意】最終話を迎えて明らかになったミス・ミニッツの秘話はこちらから。
『ロキ』第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。
第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。
変異体の正体に関する考察はこちらから。
トム・ヒドルストンが語ったロキの心情とメビウスの存在感については、こちらの記事で。