『ナイトランド・クォータリー』Vol.23は“怪談”特集!小説14編収録の「怪談【KWAIDAN】—Visions of the Supernatural」 | VG+ (バゴプラ)

『ナイトランド・クォータリー』Vol.23は“怪談”特集!小説14編収録の「怪談【KWAIDAN】—Visions of the Supernatural」

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『ナイトランド・クォータリー』Vol.23が発売

ホラー&ダークファンタジーの総合誌『ナイトランド・クォータリー』(発行:アトリエサード、発売:書苑新社) より、『ナイトランド・クォータリー Vol.23 怪談【KWAIDAN】—Visions of the Supernatural』が2020年12月8日(火)に発売された。今号の『ナイトランド・クォータリー』は「怪談」特集。「怪談【KWAIDAN】—Visions of the Supernatural」をテーマに、男性中心に語られてきた怪談文学を見つめ直していく。小説はなんと14編収録の大ボリュームだ。表紙を手掛けたのは九鬼匡規で、誌面にもイラストが数点掲載されている。

インタビューは鍛治靖子、斉藤大地

インタビューも充実している。巻頭インタビューは、英米文学翻訳家でキム・ニューマンの〈ドラキュラ紀元〉シリーズなどの翻訳を手掛けてきた鍛治靖子。俳優や声楽という異色のキャリアを持つ翻訳家である鍛治靖子が、師である柴野拓美との翻訳勉強会やSF・ファンタジーとの出会い、翻訳における演出の工夫など、ファンにとっても翻訳家にとっても必読のエピソードの数々を語っている。

また、前号でのゲームデザイナー SWERYへのインタビューに続き、今号ではWhy So Serious社のCEOである斉藤大地への「フリー・ホラーゲームの世界——「ホラー」が下げた敷居」と題したインタビューも掲載されている。ゲーム実況の黎明期を知る同氏が、インディーズゲームの世界について語る。

小説は14編収録

『ナイトランド・クォータリー Vol.23』では、実に14編もの小説を収録。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) の「十六櫻」(訳 富ノ澤麟太郎) は、見開きカラーで掲載。同時収録のエッセイ・深泰勉「江戸怪談、もしくは八雲が出会った異郷の妖精譚」は、江戸期の怪談と小泉八雲のルーツを紹介してくれている。フィオナ・マクラウド「琴」(訳 松村みね子) は1925年に発表されたダークファンタジーの名作。同じく松村みね子 (歌人・片山廣子の筆名) が訳したグレゴリー夫人「愛蘭民謡──Translations By Lady Gregory」は「詩人の愚痴」「女ごころのかなしみ」の2編が収録されている。

更に、ノーベル賞作家としても知られるウィリアム・バトラー・イェイツの「ハンラハンの幻視」(訳 下楠昌哉) は本邦初紹介の底本からの翻訳。本号にインタビューが掲載された鍛治靖子による翻訳のP・R・オリアリー「ハワード家のしきたり」、世界幻想文学大賞受賞者として知れらるアンジェラ・スラッターの初訳作品「古樫荘」(徳岡正肇 訳)も注目だ。

また、カール・ハンス・シュトローブルの「絞首台の救い主──あるスペインの物語──」(訳 垂野創一郎)、1929年に発表されたエレナー・スコット「ランドールの円形舞踏」(訳 渡辺健一郎)
レズビアンカップルの逃避行と人狼伝説を重ね合わせたレアード・バロンの「腐肉喰らいの神の楽園」(訳 待兼音二郎)、本邦初紹介となるオーストラリアの作家ピーター・M・ボールによる「ファイブ・スターの幽霊」(訳 徳岡正肇)も収録している。

日本作家では、永井荷風や生田耕作とも交流があった山田一夫の「夢を孕む女」(小野塚力によるエッセイ「山田一夫と片山廣子について」も要チェック)、2020年11月に『観念結晶大系』(書肆侃侃房) が発売された高原英理の「精霊語彙集」、第一回小松左京賞努力賞の受賞者であり『あたしたちのサバイバル教室』(ポプラ社) で知られる高橋桐矢の「罪」、スマホを題材にした徳岡正肇の現代怪談「何もしていないのに」が収録されている。

書肆侃侃房
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ポプラ社
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また、井村君江による新連載〈覚えておいて欲しいこと〉では「松村みね子と片山廣子」の題で、岡和田晃によるエッセイ「『怪談』というウイルスVS神智学という文化外交―片山廣子(松村みね子)を中心に」およびブックガイド「『怪談』翻訳の伏流─片山廣子・大関花子・渡部桜」では、片山廣子 (松村みね子) を中心に怪談翻訳の世界を紹介している。その他にも魅力的なエッセイが盛り沢山だ。

『ナイトランド・クォータリー Vol.23 怪談【KWAIDAN】—Visions of the Supernatural』(アトリエサード)は、2020年12月8日(火)より店頭およびウェブにて発売中。

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