『流転の地球』の音楽を手がけたのは誰? サントラは? | VG+ (バゴプラ)

『流転の地球』の音楽を手がけたのは誰? サントラは?

via: Amazon.co.jp

『流転の地球』を支えた音楽に注目

Netflixで『流転の地球』の配信がスタート

2019年4月30日(火)、Netflixで中国史上最大規模のSF映画『流転の地球 (原題: 流浪地球, 英題: The Wandering Earth)』が公開され、大きな話題となっている。『流転の地球』は、ヒューゴー賞作家リュウ・ジキン (劉慈欣) の短編小説「さまよえる地球」を実写映画化した作品。製作には5,000万ドル (約55億円) の予算が投じられており、その映像美には国内外から称賛の声が上がっている。

ストーリーを支えた音楽

一方で、『流転の地球』という作品のクオリティを支えたのは、紛れもなくその音楽だ。ハリウッド顔負けのスリリングで感動的なスコアの数々は、猛スピードで展開する壮大なストーリーの中にあっても、観客が振り落とされないよう道案内を提供するガイドの役割を果たしている。そんな『流転の地球』の感動的な音楽は、一体誰が手がけたのだろうか。

音楽を手がけたロック・チェンとは誰か

中国で最も有名な作曲家の一人

『流転の地球』で音楽を手がけたのは、これまでにハリウッドでも音楽を手がけた経験を持つロック・チェン (Roc Chen) だ。中国で最も有名な作曲家の一人で、これまでに200以上の作品で音楽を手がけてきた。ジャッキー・チェン主演の『ライジング・ドラゴン』(2012) でも音楽を担当している。四川音楽学院で作曲を学ぶ前には電子科技大学で科学を学んでいた。

東西で活躍

ロック・チェンはこれまでに、ドリームワークスやディズニーといったハリウッドの映画製作会社と、ワンダ (大連番達) や『流転の地球』を手がけた中国電影集団公司といった中国の映画制作会社で、東西双方の作品を手がけている。現在はロサンゼルスと北京にスタジオを置いて活動しており、『カンフーパンダ3』(2016) では、中国音楽のコンサルタントとして、世界最高の映画音楽家の一人、ハンス・ジマーとともに同作の音楽を手がけている。

『流転の地球』作曲秘話

作品に込められたメッセージ

そのチェンが、『流転の地球』の音楽を手がけるに至った経緯をSIX STRINGSに語っている。同作の監督を務めたフラント・グォは、チェンと初めて会った際に、映画のコンセプトを「SF映画だけど、少し違う作りにしたい」と語り、同作の内容を説明したという。「地球ごと太陽系を脱出する」という『流転の地球』のストーリーに込められたメッセージに深く感動したチェンは、帰りのタクシーの中でスコアを書き始める。

“スーパーヒーロー風”のテーマ曲に

だが、後日受け取った壮大な映像を観て、チェンはテーマ曲を書き直すことにした。巨大なエンジンとハイクオリティなVFXで彩られた映像を観て、“スーパーヒーロー風”のテーマ曲を作り直したのだ。この“スーパーヒーロー風”のテーマ曲も周りからの評判は上々だったが、一方でチェンはモヤモヤした気持ちを抱いていた。「『流転の地球』はスーパーヒーロー映画ではない」という想いが日に日に膨らんでいったのだ。そこで彼は、タクシーで作った最初のメロディーに戻り、テーマ曲を作り直す。フラント・グォ監督か『流転の地球』のコンセプトを聞かされた時に芽生えた最初の気持ちを優先したのだ。

ピアノを基調とした一曲に

そうして完成したテーマ曲が、『流転の地球』のオープニングのタイトルシーンで「さよなら 太陽系」というセリフと共に流れる、ピアノを基調とした感動的な一曲だ。演奏はロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が担当している。これが「アベンジャーズ」風の派手な曲となっていれば、『流転の地球』という作品の印象も大きく変わっていただろう。

クライマックスの音楽にもこだわり

また、クライマックスで流れる”Farewell Under the Stars”はピアノのみの演奏となっているが、これには理由があった。音を最小限にすることで、観客自身が自分の呼吸を感じ取り、映画の中のストーリーを自分自身の生きる世界に重ね合わせることができるよう工夫しているのだ。ロック・チェンは『流転の地球』を通して、改めて「本能に従い、頭ではなく心で書くこと」の大切さを学んだという。

中国映画音楽の今後にも注目

ロック・チェンが手がけた『流転の地球』のサウンドトラックは、AmazonミュージックとAppleミュージックで購入できる。「Shanghai Ice Wall (上海の氷壁)」や「Grandpa’s Diver License (おじいちゃんの免許証)」など、各シーンを思い起こさせてくれるタイトルがつけられている。SF映画と共に発展を遂げていく中国の映画音楽も要注目だ。

Source
SIX STRINGS / Roc Chen

VG+編集部

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