ウルトラマンアークのオリジンとは?
「空想の力」をテーマとする2024年の円谷プロダクションが、「想像力を解き放て!」をテーマに制作した「ウルトラマン」シリーズ最新作『ウルトラマンアーク』。その最新話である『ウルトラマンアーク』第3話「想像力を解き放て!」が2024年7月20日(土)より全世界同時配信が開始された。そこでは飛世ユウマと光の巨人の出会い、ウルトラマンアークのオリジンが描かれることになる。
本記事では、ウルトラマンアークのオリジンが描かれた『ウルトラマンアーク』第3話「想像力を解き放て!」について、解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容は『ウルトラマンアーク』第3話「想像力を解き放て!」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『ウルトラマンアーク』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『ウルトラマンアーク』第3話「想像力を解き放て!」ネタバレ解説
3か月前、SKIP初出勤
時は遡り、SKIPに配属される初日の飛世ユウマ。その日の朝はK-DAYで出現した宇宙獣モノゲロスの悪夢にうなされていた。ウルトラマンと主人公の出会いを第1話ではなく、第3話に持ってくるのはウルトラマンと主人公が怪獣による窮地で出会い、融合するという「ウルトラマン」シリーズで多く見られるオリジンが日本で有名だからこそできるものだと考察できる。
SKIPに配属された初日にもかかわらず、飛世ユウマは異常気象の通報を受けていた。そこでSKIPの本来の任務である市民からの通報を受けて、その異常気象や異常現象を観測して経過報告をまとめるという業務についていた。
先輩である夏目リンから飛世ユウマはK-DAYで起きた宇宙獣モノゲロス案件の当事者であることを尋ねられる。夏目リンは話したくなければ話さなくても良いというが、飛世ユウマはSKIPで働いていく仲間として、その重い口を開くのだった。
16年前、K-DAY
今から16年前、怪獣が出現したK-DAYが起きた日。7歳だった飛世ユウマは家族でキャンプを楽しんでいた。そのとき、現在観測しているような異常気象のワームホールが発生し、天から宇宙獣モノゲロスが落下してくる。宇宙獣モノゲロスは『ウルトラマン』(1966-1967)に登場した宇宙恐竜ゼットンを一本角にしたようなデザインの怪獣である。
宇宙獣モノゲロスと光の巨人の戦闘に巻き込まれ、飛世ユウマの両親は土砂崩れに飲み込まれてしまう。唯一無事だった飛世ユウマは父親から「走れ! ユウマ!」と言われ、その場を逃げる。飛世ユウマの座右の銘は悲しい過去に基づくものだったことが明かされる。
宇宙獣モノゲロスの角は光の巨人によって破壊され、それこそ宇宙獣が唯一残した星元市内の獅子尾山に残されたモノホーンだったのだ。光の巨人の話は目撃者が幼い飛世ユウマしかいなかったため、子供の夢物語として片づけられていた。
宇宙獣ディゲロス
飛世ユウマはそのトラウマを抱えつつ、トラウマを抱えているからこそ、同じ境遇の人間を救えると考えてSKIPに所属したのであった。夏目リンはその覚悟に驚きながらも、感動する。その話をしていたとき、所長の伴ヒロシから連絡が入る。
異常気象だと思われていたものはモノホーンと共鳴し、ワームホールと化す。そして宇宙獣ディゲロスが出現するのだった。宇宙獣モノゲロスと比較してみると、宇宙獣ディゲロスは光の巨人によって折られた一本角が再生し、二本角になったような印象を受けるデザインだ。その容姿は宇宙獣モノゲロスよりも一層、宇宙恐竜ゼットンに酷似している。
宇宙獣モノゲロスに似た宇宙獣ディゲロスの出現に過去のトラウマが甦り、動悸が激しくなり固まってしまう飛世ユウマ。夏目リンが発破をかけ、何とかSKIPの任務である民間人の避難誘導などを行なうべく走る。
光の巨人とウルトラマンアーク
宇宙獣ディゲロスはモノホーンと共鳴し、飛翔。熱線を放ち、街は火の海と化していた。防衛隊の攻撃も虚しく、宇宙獣ディゲロスの攻撃は止まらない。そこには飛世ユウマの祖母がボランティアを務める幼稚園も含まれており、飛世ユウマは再び肉親を失うのではないかとパニックに陥る。
幼稚園へと走る飛世ユウマだったが、水たまりの近くに転んだ時、その水面に光の巨人の姿が現われる。飛世ユウマは水たまりの中に引き込まれるが、そこは鏡の世界であった。光の巨人は「私は君であり、君は私だ」と語り、この世界で戦うには制限時間があることを告げて「想像力を解き放て!」と告げるのだった。
ここでウルトラマンアークへと変身する際、ウルトラマンアークが飛世ユウマを抱擁するような仕草をするのが特徴的だ。飛世ユウマの父親と光の巨人は同じ萩原聖人が演じており、そこに関係があるとも考察できる。
宇宙獣ディゲロスによって幼稚園へと墜落しそうになった防衛隊の戦闘機を救うウルトラマンアーク。そのとき、ビルのガラス窓に映った自分の姿を眺めるのが印象的だ。これまでの「ウルトラマン」シリーズとは異なり、光の巨人とウルトラマンアークの姿は同じではない。ウルトラマンアークの姿は飛世ユウマが幼少期に描いた最強のヒーローの絵をもとにしているのだ。そのため、飛世ユウマの驚きがこの演出によって視聴者にも伝わってくる。
想像力を解き放て!
バリアを張り合い、光線を撃ち合うウルトラマンアークと宇宙獣ディゲロスだが、宇宙獣ディゲロスのバリアの張り方は宇宙恐竜ゼットンにそっくりだ。そしてバリアをぶつけて砕き合って戦闘に突入する両者だったが、宇宙獣ディゲロスの頭であり、宇宙獣モノゲロスの折れた角の根元に相当する部分に目玉が怪しく光る。
ウルトラマンアークの戦いが市民のスマートフォン、ニュース映像、ドライブレコーダー、監視カメラなど様々な映像で描写される。このカメラが溢れる現代だからこそできる演出は、ウルトラマンアークと宇宙獣ディゲロスの戦いをよりリアルなものにしてくれている。
ウルトラマンの八つ裂き光輪にあたるアークエクサスラッシュもバリアの前では無力になってしまい、ウルトラマンアークは追い詰められていく。しかし、そのとき光の巨人が「想像力を解き放て!」と助言を送り、ウルトラマンのスペシウム光線にあたるアークファイナライズを放射。そこで拳を握りしめて光線を絞り、鞭のようにしならせることで宇宙獣ディゲロスのバリアの後ろから光線を浴びせることに成功したのだった。
『ウルトラマンアーク』のメイン監督を務めている辻本貴則監督は、ウルトラマンアークの技の数を敢えて絞っている旨の発言をしている。それにより、どのようにして少ない手持ちの技で怪獣を倒すかということに焦点が当てられ、制作陣も想像力を解き放っているのだと考察できる。また、宇宙獣ディゲロスの爆発は邪神メガロゾーア以来、久しぶりの人形爆破が行なわれており、その演出に特撮ファンとしては胸躍る。
『ウルトラマンアーク』第3話「想像力を解き放て!」ネタバレ考察&感想
ウルトラマンアークのオリジン
『ウルトラマンアーク』第3話「想像力を解き放て!」は『ウルトラマンアーク』第1話「未来へ駆ける円弧」より3か月前、ウルトラマンアークのオリジンを描く物語となっている。このように第3話目にしてウルトラマンのオリジンを描けるというのは、主人公とウルトラマンの融合が日本でも有名なヒーローのオリジンであるためだと考察できる。
アメコミではバットマンが幼少期に両親を強盗によって殺害される、スパイダーマンが放射性の蜘蛛に噛まれるなどが近年の映画では描かれないことが多い。これはアメリカにおいて最も有名なヒーローのオリジンであるためだと考察できる。このように円谷プロダクションが積み重ねてきた歴史が、形となってウルトラマンアークを築いているのだ。
また、ウルトラマンアークのオリジンで宇宙恐竜ゼットンに似た宇宙獣ディゲロスとの戦闘を持ってくるのは興味深い。宇宙獣ディゲロスはその戦闘スタイルも宇宙恐竜ゼットンに酷似しており、それを飛世ユウマが想像力によってどのように乗り越えていくことが『ウルトラマンアーク』がどのような物語かを語るオリジンにもなっているのだ。
ウルトラマンアーク≠光の巨人
また、注目すべき点は宇宙獣モノゲロスと戦った光の巨人とウルトラマンアークは完全なイコールではないということだ。光の巨人はルティオンとされており、それに飛世ユウマの想像力が組み合わさったことで誕生したのがウルトラマンアークなのだ。
ウルトラマンアークのアークアイソードなども、すべて幼少期の飛世ユウマのスケッチブックに描いた絵に残されている。そのため、ウルトラマンアークの技などもすべて飛世ユウマの想像力から来ているものだと考察できる。
この他にも飛世ユウマのスケッチブックには「たいようのちから」と「つきのちから」というアーマーをまとったウルトラマンアークの絵が残されていた。そのため、次回の「ただいま怪獣追跡チュウ」で登場するソリスアーマーにこの絵がどのように繋がってくるのか楽しみだ。
『ウルトラマンアーク』第3話「想像力を解き放て!」は2024年7月20日(土)より全世界配信開始。
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『ウルトラマンアーク』第1話「未来へ駆ける円弧」の考察&感想はこちらから。
『ウルトラマンアーク』第2話「伝説は森の中に」の考察&感想はこちらから。
『ウルトラマンアーク』第4話「ただいま怪獣追跡チュウ」の考察&感想はこちらから。