新しい演出が次々と!
2024年は特撮の原点である「空想の力」をテーマとし、様々な作品を世に送り出していく円谷プロダクション。その「ウルトラマン」シリーズ最新作である『ウルトラマンアーク』の最新話の第2話「伝説は森の中に」が2024年7月13日(土)より全世界同時配信が開始された。そこでは「空想の力」により、新しい演出でウルトラマンアークと怪獣の戦いが描かれることになる。
本記事では新しい演出を活かした『ウルトラマンアーク』第2話「伝説は森の中に」について、解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容には『ウルトラマンアーク』第2話「伝説は森の中に」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『ウルトラマンアーク』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『ウルトラマンアーク』第2話「伝説は森の中に」ネタバレ解説
SKIP怪獣ホットライン
地球防衛隊の特別調査員として石堂シュウが常駐配属されることになったSKIP。どうやら星元市は怪獣出現率が高く、モノホーンのような宇宙怪獣の残した謎の物体やウルトラマンアークの存在もあることから防衛隊は地球防衛隊宇宙科学局特別調査員の派遣を決めたようだ。
そのとき、SKIP怪獣ホットラインの電話が鳴る。このときの着信音が『ウルトラマン』(1966-1967)を想起させるのが懐かしい。『ウルトラマン』の科特隊の着信音と言えば、「ゴジラ」シリーズのキングギドラの鳴き声と同じものが使用されていることで有名だ。その電話の内容は子供の声で「お願いです! パパを止めてください!」というものだった。
通報された場所に駆け付ける飛世ユウマと石堂シュウだったが、そこはSun Light Preciousというマンションの工事現場だった。通報したのは現場監督の息子の少年の大田原ハヤトだった。しかし、現場監督の大田原は認可も地盤調査も既に行なっており、基準は満たしていると飛世ユウマの訴えを突っぱねるのだった。しかし、飛世ユウマが危惧した通り、建設現場からは祭壇のような遺跡が発掘される。
古文書に残された伝説
古道具店で調べものを進める飛世ユウマ。古文書によると、やはりあの森には怪獣伝説が残されているという。今から1200年前、あの森には古代怪獣リオドが棲息していた。古代怪獣リオドは沼地に潜み、真っ黒な泥を吐き、泥が浴びた土地は穢れて田畑は荒れ、飢饉を引き起こしたとのことだった。
村人たちは供物を捧げるも効果はなく、最終的には88種の薬草でつくられた丸薬を古代怪獣リオドに飲ませ、それによって昏睡状態になったところを深い穴に落として封印した。その封印した穴があったのがあの森であり、あの森は鎮守の森で人が暮らすことを禁じる禁足地だったのだ。
飛世親子と大田原親子
そのとき、鏡の中にウルトラマンアークが現われる。そしてウルトラマンアークは、88種の薬草でつくられた丸薬の入った甕へと飛世ユウマを導くのだった。本作ではウルトラマンアークは怪獣を倒すだけではなく、飛世ユウマを導く存在としても登場している。これには飛世ユウマの父親とウルトラマンアークの声優が同じ萩原聖人であることが関係しているのだろうか。ウルトラマンアークには飛世ユウマの父親が関わっている可能性が考察できる。
飛世ユウマと彼の父親の関係性が描かれるのと合わせて、大田原親子の関係性も描かれることになる。そこでは怪獣の出現率が高い星元市では破壊された住宅の復興が重要な問題になっており、Sun Light Preciousの建設が単なるマンション建設ではなく街の復興の重要な鍵になっていることが語られた。もし、現実に怪獣が出現したら、復興などその後はどうなるのだろうか。そのようなリアリティに溢れる設定だ。
古代怪獣リオド、出現
石堂シュウは防衛隊のコネを活かし、SAR衛星を利用して森の画像解析を行っていた。それにより、遺跡だと思われていたものが古代怪獣リオドの足の裏であることが明らかになり、言い伝えが事実だと判明する。足の裏が外気に触れていることで古代怪獣リオドの体温は急上昇しており、いつ覚醒してもおかしくない状況になっている。
覚醒した古代怪獣リオドは高熱の泥を吐き、重機を爆破していく。さらには象のような鼻で周囲のものを吸引し、大田原ハヤトを捕食しようとしていた。鎧甲殻獣シャゴンなど、『ウルトラマンアーク』に登場する怪獣は人間を捕食しようとするなど、人間にとって生々しい脅威の存在として描かれていると考察できる。
そして、大田原ハヤトを救うために飛世ユウマはウルトラマンアークに変身。ウルトラマンアークは古代怪獣リオドと交戦する。このとき、ウルトラマンアークの視点と古代怪獣リオドの視点という2つの一人称視点で、怪獣とウルトラマンの戦いを描くのは新しい試みだと考察できる。前回のスマートフォンの動画撮影という設定で戦闘時間を可視化するなど、『ウルトラマンアーク』には「空想の力」を活かした新しい演出が多数見られると考えられる。
アークアイソードが通用しない強敵、古代怪獣リオドだったが88種の薬草でつくられた丸薬を飲まされて弱体化してしまう。八つ裂き光輪に似たアークエクサスラッシュでウルトラマンアークは穴を掘り、そこに古代怪獣リオドを突き落とす。古代怪獣リオドも最後の力でウルトラマンアークを吸引するが、ウルトラマンアークはスペシウム光線に似たアークファイナライズで脱出し、古代怪獣リオドに止めを刺すのだった。
怪獣出現のその後
古代怪獣リオドを倒した後、大田原ハヤトに怪我がなかったことでSKIPの面々は胸をなでおろす。そして父親の大田原現場監督は、今後怪獣出現に備えて新たな建築基準を考えることを報告してくれた。それにしても古代の文献などで語られている妖怪や物の怪の類も怪獣として出現する可能性があるとして調査しなければならないのは、マンションなどの大型の建物を建築する上で骨が折れる作業になりそうだ。
その頃、石堂シュウはウルトラマンアークと古代怪獣リオドが戦った場所で謎の数値を調べていた。その情報を防衛隊に報告する石堂シュウだったが、SKIPには秘密にするという。そんな怪しげな電話をする石堂シュウ越しに、モノホーンがぽつんと山の中に佇んでいるのが見えるのだった。
『ウルトラマンアーク』第2話「伝説は森の中に」ネタバレ考察&感想
まずは信じること
『ウルトラマンアーク』第2話「伝説は森の中に」では、秘匿性が高い防衛隊に対して市民に寄り添うSKIPという2つの組織の姿勢の違いが明らかになる。子供から電話でもまずは信じることからはじめて、怪獣調査を進めるのがSKIPの特徴だ。また、古文書に残された妖怪や物の怪伝説にも怪獣出現の可能性を考え、調査するSKIPはかなりの労力が必要な現場だと考察できる。
その一方でSKIPのフットワークは防衛隊以上に軽く、防衛隊が到着まで20分以上かかる状況でもすぐに駆け付け、市民の避難誘導をしている。そのようなSKIPのフットワークの軽さが強調される反面、何故防衛隊が登場しないのか、防衛隊が石堂シュウを通して調べていることは何かに注目が集まる。
一人称による新たな戦闘演出
『ウルトラマンアーク』第1話「未来へ駆ける円弧」ではスマートフォンでの撮影により、ウルトラマンアークの戦闘時間の可視化という新しい演出で視聴者を驚かせたが、『ウルトラマンアーク』第2話「伝説は森の中に」でも視聴者を驚かせる新しい演出を観ることができた。それはウルトラマンアークの視点と古代怪獣リオドの視点という2つの一人称視点での戦闘描写だ。
ウルトラマンアークの視点では古代怪獣リオドに殴られ、倒れる場面などウルトラマンアークがピンチになる感覚を視聴者は追体験できる。古代怪獣リオドの視点ではウルトラマンアークを圧倒する感覚を追体験でき、それによって古代怪獣リオドの強さがわかりやすく理解できる。
また、古代怪獣リオドはその独特な曲がった角や蛇腹状の体から用心棒怪獣ブラックキングのスーツの改造ではないかと言われているが、象をモチーフにした古代怪獣リオドは用心棒怪獣ブラックキングとは異なり、どこかコミカルな印象だ。それを一人称視点で描くことで、古代怪獣リオドがコミカルな外見と異なり人間を捕食する凶暴な怪獣であることがひしひしと伝わってくる。
『ウルトラマンアーク』第3話「想像力を解き放て!」では、宇宙獣モノゲロスなど16年前のK-DAYの様子やウルトラマンアークとして飛世ユウマが初めて戦ったと思われる宇宙獣ディゲロスとの戦いなど、第3話にしてウルトラマンアークのオリジンが描かれることになると考察できる。ウルトラマンアークのオリジンではどのような新しい演出が登場するのだろうか。ストーリーだけではなく、演出面でも注目だ。
『ウルトラマンアーク』第2話「伝説は森の中に」は2024年7月13日(土)より全世界配信開始。
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『ウルトラマンアーク』第1話「未来へ駆ける円弧」の考察&感想はこちらから。