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『高い城の男』シーズン1で日本人キャラを演じたキャストをおさらい—Vol.3 ポール梶浦を演じた俳優が語る未来

『高い城の男』シーズン1に登場した日本人キャラを振り返り

Amazonオリジナルの歴史改変SFドラマ

AmazonビデオオリジナルのSFドラマとして人気を集める『高い城の男』(2015)。アメリカでは2015年にシーズン1の配信を開始し、翌2016年にシーズン2の配信が始まった。そして2018年10月5日、いよいよシーズン3の配信を開始。シーズン3は、初めて日本でも本国と同時に配信開始となり、改めて大きな注目が集まっている。

多くの日本人キャラが登場

『高い城の男』の原作は、フィリップ・K・ディックが1962年に発表した同名小説だ。日本を含む枢軸国が第二次世界大戦に勝利した後のアメリカが舞台で、多くの日本人キャラが登場する。ドラマでは、原作に登場しなかったキャラクターやエピソードも描かれている。VG+では、シーズン1から同作に登場している日本人の登場人物とそのキャストにスポットライトを当ててきた。Vol.1では、原作にも登場した田上貿易担当大臣と、彼を演じたケイリー=ヒロユキ・タガワを、Vol.2では、ドラマオリジナルキャラの木戸大尉と、彼を演じたジョエル・デ・ラ・フエンテを特集した。今回は、ドラマのレギュラーではなかったものの、原作にも登場したある日本人に注目してみよう。

原作にも登場した梶浦夫妻

シーズン1に登場した印象的なキャラクター

原作にも登場し、ドラマ版『高い城の男』でも印象的な存在だったのが、梶浦夫妻だ。英語版ではカソウラ (Kasoura) という名前になっている。シーズン1に登場した二人は、エピソード7で工芸品店の店主・ロバートを自宅での食事会に招き入れる。日本から合衆国に移住してきたばかりの梶浦夫妻は、まさに“上流階級”という役柄。夫のポール梶浦は、白人であるロバートよりも西洋文化に精通している。ロバートはそんな二人に劣等感を感じ、骨董品の模造品を売りつけようとする。戦争の結果によって人々の立場が逆転する、歴史改変SFならではの展開だ。

設定が変更された夫のポール

ポールは、原作小説では政府の職員だったが、ドラマ化に当たってはヤクザとも繋がりのある弁護士という設定に。だが、ドラマで描かれた、ポールがロバートへ小説について質問するくだりを始め、夫妻に関連するいくつかのシーンは原作小説にも登場する。ドラマ化にあたって数多く設定の改変が行われた『高い城の男』だが、卑屈な商売人として生きてきたロバートの心情に影響を与える梶浦夫妻の役割は概ね引き継がれたと言えるだろう。

演じたのはSF常連の日系アメリカ人俳優

これまでに演じた役は、殺し屋にスーパーソルジャー!?

ポール梶浦を演じたのは、日系アメリカ人俳優のルイ・オザワだ。シーズン1の公開当時はまだ30代だったが、緊張感漂う演技を披露した。それもそのはず、ルイ・オザワはSF作品の常連俳優だ。『プレデターズ』(2010)では殺し屋のハンゾーを、『ボーン・レガシー』(2012)では“スーパーソルジャー”のLARX-03を、『スペクトル』(2016)では軍曹のチェンを演じるなど、タフな役柄もこなしてきた。今回は“ヤクザと繋がりのある弁護士”と、静かさの中にも強さを感じさせる役柄だが、豊富な経験を活かして見事に乗りこなした。

ルイ・オザワが語る“アジア人俳優”

VG+では、これまでに『高い城の男』シーズン1に登場した日本人キャラとそのキャストを紹介してきた。Vol.1では田上貿易担当大臣を演じたケイリー=ヒロユキ・タガワのアジア人俳優としての苦難の歴史をご紹介した。Vol.2では、木戸大尉を演じたジョエル・デ・ラ・フエンテが信じる、アジア人俳優が活躍する新たな時代の可能性について言及した。

多くのアジア人俳優が登場した『高い城の男』だが、ルイ・オザワは、アジア系アメリカ人の俳優として生きていくことについて、どのように考えているのだろうか。2010年に8asians誌からインタビューを受けたルイ・オザワは、「アジア系アメリカ人としてエンターテイメント業界で仕事をすることについて、どう考えているか」という質問に対して、以下のように回答している。

ますます良くなっていると思うよ。まず僕が業界に入った時点で、かなりマシな状況だった。今では少なからずチャンスがある。僕ら (アジア系俳優) は、“ゼロ”から始めて、“ある程度”のところまで来たんだ。そして今では、“ある程度”から“たくさん”に移行しようとしている。
ものすごい量の役があるわけじゃないけど、テレビやメインストリームのメディアではたくさんのアジア系アメリカ人の俳優が見られるようになってきた。アジア系アメリカ人のキャラクターもね。とても良いことだよ。次に来る波で、状況はもっと良くなるだろうね。

by ルイ・オザワ

若くして多くの映画やドラマに出演してきただけあって、かなりポジティブな見立てと言える。一方で、ポール梶浦のように上流階級で生きるアジア人も、アメリカ国内では珍しい存在ではなくなった。そうした自然な感覚が、ポールが演じたルイ・オザワの演技にも現れているのかもしれない。フィリップ・K・ディックは半世紀以上前に、白人に対しても劣等感を持たないアジア人をSFとして描いたが、現実は変わりつつある。木戸大尉を演じたフエンテよりも7歳若いルイ・オザワは、さらに明るい未来を見据えているのだ。

VG+編集部

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