ネタバレ解説『アイアンハート』最終回○○○登場の裏側を監督が語る シーズン2、スピンオフに繋がる? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『アイアンハート』最終回○○○登場の裏側を監督が語る シーズン2、スピンオフに繋がる?

©2025 MARVEL

ドラマ『アイアンハート』配信中

MCUドラマ『アイアンハート』の全6話がディズニープラスで独占配信されている。映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2023) に登場したリリ・ウィリアムズを主人公とした作品で、同作を指揮したライアン・クーグラーが製作総指揮を務める注目作だ。

2025年7月2日(水) に配信された最終回の第6話では、ラストで驚きの展開が待っていた。まさかの人物登場にファンは湧いているが、裏側にはどのような背景があったのだろうか。今回は『アイアンハート』最終回のアノ人登場について、シリーズの監督を務めたチナカ・ホッジの言葉を見ていくと共に、シーズン2に繋がるのかどうかについても考えてみよう。

以下の内容は『アイアンハート』最終回の結末に関する重大なネタバレを含むので、必ずディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『アイアンハート』最終回第6話の結末に関するネタバレを含みます。

『アイアンハート』ラストでメフィスト登場

まさかのラスト

ドラマ『アイアンハート』最終回第6話では、パーカー・ロビンスに魔法のマントを与えた人物が登場。「ボラット」シリーズで知られる俳優のサシャ・バロン・コーエンが演じたこの人物は、野望を叶えるための道具を人間に与えると言うが、パーカーは野望を叶えても満たされず、ヒビのような傷が広がっていく。

リリ・ウィリアムズにマントを奪われたパーカーは、マントがないと苦しいという状態に陥っており、代償を支払うことになる。あるいは従兄弟のジョンの死もその代償の一部だったのかもしれない。

次の契約者としてリリに目をつけたこの人物は、名前を聞かれて「メフィスト」と答える。コミックでも人気の大物ヴィランがついにMCUに参戦することになった。原作コミックではワンダの双子の子どもを生み出したのもメフィストで、ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) から長らくMCU参戦が噂されていただけに、『アイアンハート』での登場に驚いた人も多かったようだ。

メフィストはリリを誘惑し、リリは他の人を巻き込まないことを確認すると、後日幼馴染のナタリーが復活。最初はAIのナタリーだと思っていたリリだったが、生身のリリが復活したことに気が付き抱擁を交わす。しかし、リリの腕にパーカーと同じヒビのような傷が入ったところで『アイアンハート』は幕を閉じたのだった。リリはメフィストと契約を交わしたのである。

シャ・バロン・コーエンの名演

MCUではタブーとされてきた死者の復活を実現したメフィスト。この時点でどれだけ特殊な存在かということが示されているが、原作コミックでは現実改変能力があったり魂を吸い取るなど、強力な魔術を持つヴィランだ。『アイアンハート』でも、映画『ドクター・ストレンジ』(2016) でドクター・ストレンジが倒すのではなく退散させることを選んだドルマムゥを見下す発言をするなど、相当な実力者であることが窺える。

MCUへのメフィスト参戦について、『アイアンハート』のショーランナーであるチナカ・ホッジは、米マーベル公式でその裏側を語っている。メフィストの登場については、情報が漏れないように非常に注意を払ってきたとした上で、演じたサシャ・バロン・コーエンについてこう話している。

素晴らしい俳優であり、コメディアンであり、優れた頭脳の持ち主である(メフィスト役の)サシャ・バロン・コーエンとの仕事ができたことは、このプロジェクトにおける最高の喜びであり、サプライズの一つでした。私はキャスティングのプロセスから参加してましたが、サシャについてはかなり早い段階で決まっていました。

彼はとても個性的で、同じことを繰り返さないように意識しています。もし私がサシャで怠け者だったら、いつもボラットみたいに演じてしまうと思います。でも彼は、自分の選択がキャラクターに合っていて、新しくて新鮮なものになるように非常に気をつけています。なので、誰も予想しなかったようなメフィストが生まれたんだと思います。

気に入っている点は、アンソニー演じるパーカーと始めた会った時には(アメリカの)アクセントで話し、威圧的になる時にはアクセントのない(イギリス)英語で話すというチョイスです。彼のアクセントがアメリカ訛りになるというのは素晴らしい選択でした。サシャは脚本執筆のプロセスの後半に加わってくれましたが、まるでドラマに新しい命を吹き込んでくれたようでした。

Varietyによると、製作総指揮のゾーイ・ナーヘルハウトは当初はメフィストの登場は計画されておらず、制作を進めるうちにメフィストがテーマに合致していると判断したと明かしている。そうしてサシャ・バロン・コーエンが命を吹き込んだMCU版メフィストによって、フェーズ5最終作のラストをサプライズで締めくくることになったのだ。

シーズン2はある? スピンオフも?

『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に繋がる?

MCUドラマでは、『ワンダヴィジョン』や『アガサ・オール・アロング』(2024) など魔法をベースにした作品はいくつかあったが、科学と魔法の融合をテーマにした『アイアンハート』がメフィスト登場の最適解と判断されたようだ。リリはナタリーを取り戻したが、同時に腕には傷が広がり代償が伴うことが示唆されている。

同じく米Varietyでは、製作総指揮を務めたライアン・クーグラーが『アイアンハート』のラストはシーズン2や『ブラックパンサー3』に繋がるのかと聞かれ、「全然分かりません」と回答している。それでも、チナカ・ホッジ監督やマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが決める次の展開に「なんであれ乗る」と宣言し、「また彼女らの姿を見られる日が待ち遠しい」と語っている。

一方のチナカ・ホッジ監督は『アイアンハート』のラストとその後について、マーベル公式でこう語っている。

リリの腕に広がっていく傷が全てを物語っていると言えます。一応言っておくと、リリは魔法のスーツとマントを持っていますから、次に何かが起きるかもしれませんね。唯一言えることは、彼女は確実な破滅(doom)を回避するための要素を手にしているということです。

なんとも意味深な発言だ。映画『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』で大ヴィランとなるロバート・ダウニー・Jr.演じるドクター・ドゥームを想起させる「doom(破滅)」という単語を使い、それを「回避するための要素」を持っていると話している。通常なら、悪魔と契約したリリが破滅に向かってもおかしくはないと思うが、魔法のスーツとマントを手に入れたリリは、自身の身体は蝕まれつつも、問題を解決するための強大な力を手に入れたということだろう。

もしかしたら、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』ではメフィストと契約したトニー・スタークの変異体と、科学と魔法を操るアイアンハートことリリ・ウィリアムズがぶつかる展開もあるかもしれない。MCUドラマのラストのクリフハンガーは続きが描かれるまでに数年を要するとも言われるが、『アイアンハート』について意外と早く伏線が回収されることも期待できる。

さらに、チナカ・ホッジ監督は、ゼルマとその母親について「スピンオフも考えられる」と話している。「魔法を理解するためにわざわざマドリプールまで行く必要はありません」「第6話のラストを見れば、そこにドアを作ればパンドラの箱を開いてしまうこともあると気づくでしょう」と、『アイアンハート』の物語が多方面へ展開していく可能性も示唆している。

様々な小ネタも明らかに

ちなみにマーベル公式では、メフィストがパーカーとリリを誘惑したデスペリートズ・ピザの名前は、ライターズルームのアシスタントであるニコル・デスペリートのファミリーネームから取られたことも明かされている。彼女の父は911で起きた火災に対応した消防士で、勇敢に消化活動を行ったが生き延びることができなかったという。『アイアンハート』のピザ屋には、その英雄にちなんだ名前がつけられていたのだ。

また、ゼルマのお店がキャンディーショップ兼書店である理由は、チナカ・ホッジ監督の古い知人が運営するオークランドにあるマーカス・ブックスという米国で最も古い黒人経営の書店に敬意を表した設定だったという。監督は「黒人が経営する書店は、アメリカ中で魔法を生み出している場所の一つです」と語っている。

そのほかにも、シカゴのセクシュアルマイノリティのコミュニティや、ブラック・ライブス・マター運動など、現実に生きる人々の表象をふんだんに取り入れていた『アイアンハート』。そして、そこに現れたメフィスト。『アイアンハート』を起点に、MCUでは今後どんな物語が展開されていくのか、引き続き注視していこう。

ドラマ『アイアンハート』はディズニープラスで独占配信中。

『アイアンハート』配信ページ

500点以上のイラストと解説と共にMCUの歴史を辿る『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』は好評発売中。

映画『サンダーボルツ*』の特典付き4K UHD+3D+ブルーレイ セットは10月1日発売で予約受付中。

コミック『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート』は吉川悠の翻訳で発売中。

Source
Marvel.com / Variety

『アイアンハート』最終回第6話のネタバレ解説&考察はこちらから。

『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』でドクター・ドゥームと戦う5大勢力についてはこちらの記事で。

 

【ネタバレ注意】映画『サンダーボルツ*』ラストの解説&考察はこちらから。

『サンダーボルツ*』までのMCUフェーズ5の時系列についての解説はこちらから。

【ネタバレ注意】『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

 

7月25日公開、映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』本予告の注目ポイントの紹介はこちらから。

8月27日配信が決まったMCUアニメ『アイズ・オブ・ワカンダ』の予告はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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