『君たちはどう生きるか』、ボストン映画批評家協会賞とロサンゼルス映画批評家協会賞で栄冠に輝く
『君たちはどう生きるか』、オスカーへの前哨戦突破へ
2023年12月8日から12月10日までの全米週末興収ランキングで1位に輝くなど、海外でも躍進劇を続ける宮﨑駿監督作『君たちはどう生きるか』(2023)。この結果はポケモン映画第1弾の『ミューツーの逆襲』(1999)や大人気漫画原作の『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』以来の日本アニメ映画全米週末興収ランキング1位である
更に日本アニメ映画全米週末興収ランキング1位でオリジナル作品が1位を飾るのは初の快挙となる。数々の快挙を成し遂げる中、『君たちはどう生きるか』がボストン映画批評家協会賞とロサンゼルス映画批評家協会賞のアニメ映画賞を受賞したことが発表された。
And the winner for Best Animated Film is: The Boy and the Heron! pic.twitter.com/ijfpXCmEV2
— Boston Society of Film Critics (@TheBSFC) December 10, 2023
Best Animation, Winner: THE BOY AND THE HERON #LAFCA
— Los Angeles Film Critics Association (@LAFilmCritics) December 10, 2023
ボストン映画批評家協会は1981年に設立されたマサチューセッツ州ボストンを拠点とする映画批評家協会で、Boston Society of Film Criticsという名称からBSFCと略される。ロサンゼルス映画批評家協会賞は1975年に設立された映画賞で、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞の前哨戦として注目されている映画賞だ。この2つの映画賞を受賞したことによって『君たちはどう生きるか』がオスカー受賞に近づいた可能性が高まった。
事実、第94回アカデミー国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』(2021)は第42回ボストン映画批評家協会賞で作品賞と監督賞、主演男優賞、脚本賞を受賞し、第47回ロサンゼルス映画批評家協会賞では作品賞と脚本賞を受賞している。このことから『君たちはどう生きるか』がボストン映画批評家協会賞とロサンゼルス映画批評家協会賞という2つの前哨戦を突破していることはオスカーに近づいたことを如実にあらわしている。
『君たちはどう生きるか』の快進撃はゴールデングローブ賞でも続く
前述した通り、ロサンゼルス映画批評家協会賞はアカデミー賞とゴールデングローブ賞の前哨戦として注目されている。オスカーことアカデミー賞だけではなくゴールデングローブ賞でも『君たちはどう生きるか』の快進撃は続いている。
第81回ゴールデングローブ賞の候補作品が2023年12月11日に発表された。そのアニメ映画賞には日本アニメ映画から『君たちはどう生きるか』と『すずめの戸締り』(2023)が候補に挙がっていた。更に第81回ゴールデングローブ賞作曲賞の候補に『君たちはどう生きるか』から久石譲が候補に挙がっている。
エンタメ性の高い作品より芸術性を評価するオスカーは手堅いか
また、例年の傾向からアカデミー賞は、エンタメ作品は選ばれづらく、芸術性の高い作品が選ばれやすいとされる。その点でいえば、宮﨑駿監督の半生を描いた半自伝的な要素の強い『君たちはどう生きるか』のアカデミー賞ノミネートは手堅いかもしれない。
日本アニメ映画が北米でも高い評価を受けた2023年。今後の邦画全体の行方を左右するかもしれないアカデミー賞とゴールデングローブ賞の動向に、今後も注目していきたい。
久石譲が手がけた映画『君たちはどう生きるか』のサントラは発売中。
米津玄師の主題歌「地球儀」は160頁の写真集が付いた初回版が発売中。
吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』は岩波文庫から発売中。
吉野源三郎原作、羽賀翔一イラストの漫画『君たちはどう生きるか』はマガジンハウスから発売中。
第96回アカデミー賞のノミネート候補に選ばれた『ゴジラ-1.0』の記事はこちら。
『君たちはどう生きるか』は全米首位スタートを記録。詳しくはこちらの記事で。
『君たちはどう生きるか』を含めた日本アニメ映画がオスカーにノミネート候補に挙がった記事についてはこちらから。
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