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ブラックパンサーの「紫」に込められた意味とは? 「色」から見えるストーリーの裏側

『マルコムX』のデザイナーも参加! 『ブラックパンサー』のデザイン性に注目

いよいよDVD・ブルーレイが発売!

アメリカで2月16日に封切りされて以来、世界で次々と興行収入記録を塗り替えていった『ブラックパンサー』(2018)。いまだに熱狂の記憶が色濃く残る中、日本では7月4日にDVD・ブルーレイが発売される。あの興奮を再び自宅で楽しむ前に、VG+では改めて『ブラックパンサー』の隠された魅力に迫りたい。

「ブラック」パンサーなのに紫!? 随所に見られるこだわりのデザイン

ブラックパンサーの見どころといえば、他のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品とは一線を画するデザイン性だ。かつてスパイク・リー監督の右腕として『マルコムX』(1997)を手がけた女性デザイナー、ルース・カーターによる衣装デザインをはじめ、アフリカの伝統的な民族柄とSF的なクールさを掛け合わせた高度なデザインが数多く見られた。その中でも目を引いたのは、紫を中心とした色使いだ。「ブラック」パンサーでありながら、紫という色が、とても印象的に作品中に散りばめられている。ワールドプレミアでもレッドカーペットならぬパープルカーベットが採用されるなど、『ブラックパンサー』という作品にとって紫は特別な色なのだ。

コンセプトカラーに紫が使われた理由

紫はヴィランのカラー?意外と少ない、紫のヒーロー

皆さんは「紫」と聞いて、どんなキャラクターを思い浮かべるだろうか。日本では、スーパー戦隊モノや仮面ライダーシリーズで紫を主体にしたデザインのヒーローが登場する。近年の作品では、仮面ライダーエグゼイドなどが挙げられるだろう。アメリカでは、「キック・アス」シリーズのヒットガール、アベンジャーズの一員であるホークアイも原作コミックでは紫をイメージカラーにしている。だが、挙げられるヒーローはこれくらいだろうか。紫はこれまで、超有名ヒーローのイメージカラーとしては採用されてこなかったのだ。

なぜなら、紫は基本的にヴィラン(悪役)の色だからだ。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で世界に絶望を与えたサノスや、「X-Men」シリーズのラスボスであるマグニートー、DCコミックスではバットマンの宿敵ジョーカーなど、ヴィランの中でもそうそうたるメンツが紫をイメージカラーとしている。アメコミではカラー刷りが基本のため、色鮮やかなヒーローに対して、ヴィランには闇をイメージした紫が多用されてきた背景がある。また、アメリカでは紫は女性的な色とされてきたため、マッチョなスーパーヒーローと組み合わされることが少なかったのだ。

赤や青のブラックパンサーになる可能性もあった!?

つまり、『ブラックパンサー』という作品は、紫という色にとっても、初めてカルチャーアイコン級のスーパーヒーローに採用された「デビュー作」になったのだ。では、なぜブラックパンサーは、黒のみならず紫をイメージカラーとして取り入れたのだろうか。
まず、ブラックパンサーのコスチュームに見られる紫のラインは、ヴィブラニウムの効力によって衝撃エネルギーを吸収した際に発光する。実はこのラインの色は、赤や青なども検討されていたという。映画版ブラックパンサーの初登場作品となった『シビルウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)では、ブラックパンサーは黒と白を基調にしたスーツを着用していた。単独映画化にあたり、いくつかのデザインとカラーが吟味された結果、原作コミックでもコンセプトカラーとして使用されることがあった紫が選ばれたのだ。

ブラックパンサーの高貴さを示した紫

そもそも紫は、「ロイヤル・パープル」という言い回しも存在し、歴史的には高貴な色として知られている。日本では古くから親王や位の高い大臣の服は深紫と決められていた。古代の日本やヨーロッパでは、紫の染物を作るために貝から紫の色素を取り出していたが、これには大量の貝を必要とした。布を紫に染め上げることは、ほかの色に比べて非常にコストがかかることであり、紫の衣類は限られた階級の人間にしか行き渡らなかったのだ。つまり、ブラックパンサーに登場する紫は、王族としての証でもある。冒頭に紹介したワールドプレミアでの、レッドカーペットではなくパープルカーペットを、という発想は、ワカンダの王族としてのブラックパンサーの高貴さを演出するためのものだったのだ。

『ブラックパンサー』製作陣が、「色」に持たせた意味

ワカンダの部族にも、それぞれのイメージカラーが

『ブラックパンサー』に登場するワカンダの部族(リバー族、マイニング族、マーチャント族、ボーダー族)にも、それぞれのイメージカラーが割り当てられている。もちろん、観客が色によって部族を識別できる視覚演出上の意味があることも確かだが、これらは各部族のモデルとなった実在するアフリカの部族のカラーに準拠している。こうした点を見ても、作中に登場するあらゆる「色」に意味を持たせた製作陣のこだわりがうかがえるのだ。

ヒップホップ vs ロイヤルファミリー

キルモンガーとの最終戦では、金色に発光するキルモンガーと紫色に発光するブラックパンサーのぶつかり合いが印象的であった。経済的・文化的・人種的に、現代社会が抱える矛盾に苦しめられてきたであろうアメリカ育ちのキルモンガー。それらを告発し、乗り越える手段として機能してきたヒップホップのカラーであるゴールドを身にまとう。それに対して、伝統的な王族カラーである紫をまとった「気高き」ブラックパンサー。この映画のメインテーマが、両キャラクターに設定された色によって表現されているのだ。

いかがだろうか。映画のコンセプトカラーの意味を探るだけで、キャラクターやストーリーの持つ深みが増していくのだ。『ブラックパンサー』のDVD・ブルーレイは7月4日発売予定。「紫」に注目して、もう一度『ブラックパンサー』の世界に浸ろう。

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via: © 2018 Marvel
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© 1996-2018 The Washington Post
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