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「オタク文化はもはや帝国側」SF作家の指摘が話題に——その真意とは…?

オタク文化の風潮に、SF作家が一石

今やオタク文化は「帝国」に

『Upright Beasts: Stories』(2015)の著者であるリンカーン・ミシェルのツイートに注目が集まっている。ミシェルは、マーベル作品や「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどのファンタジー大作映画が社会に与えている影響を例に挙げ、オタク文化 (geek culture) はもはや「帝国側」であると指摘。続けて、“サブカルチャー”であったオタク文化が今やメインストリームに躍り出たにも拘らず、世間から批判を浴びていると“被害者ぶる”傾向にあることを批判した。

「オタク文化は反乱軍じゃない」

注目を集めているリンカーン・ミシェルのツイートが、これだ。

もしあなたが35歳以下なら、「ロード・オブ・ザ・リング」がアカデミー賞を受賞し、MCU映画がロッテン・トマト (映画評論サイト) で高評価を得て、「ハリー・ポッター」を好きではないという理由で除け者にされる、そんな時代に生きてきたはずだ。

“オタク”文化は、帝国の門前に集まったクズの反乱軍なんかじゃない。

帝国の側なんだよ。

by リンカーン・ミシェル

大物SF作家も反応

SF最高賞の一つヒューゴー賞三連覇を達成したN・K・ジェミシンは、このツイートを「いいね」している。35歳前後のユーザーは、「今ではメインストリームになったオタク文化も、『スターウォーズ』がヒットするまでの時代は、そうではなかったね」とコメント。そのほかにも、「帝国でもいいじゃないか」「帝国の中にもイジメはある」など、多様な意見が見られる。

発言の真意は…?

だが、リンカーン・ミシェルのこの発言の真意は、どこにあるのだろうか。ミシェルはこう続けている。

(帝国であっても) 別にいいんだけどね!そういう作品も大好きだし!でもね、誰かを攻撃する為に、“フィクション文学の教授”や“お高くとまった映画批評家”みたいな架空の人物をこしらえて、“迫害”されているフリをするのはやめなきゃ

by リンカーン・ミシェル

長らくマイノリティの時代が続いた結果、風習のようになりつつある自虐的なオタク文化の傾向に、一石を投じている。これまで、アメリカでオタクカルチャーが蔑まれてきたことは事実だ。成人男性がメインターゲットであったアメコミが一般的に受容されるようになったのも、21世紀に入ってから。だが、映画産業の急成長と共に、オタク文化は今やメインストリームに躍り出た。今回のリンカーン・ミシェルのツイートは決して“オタク文化”に対する攻撃的なものではなく、SF作家の一人として、カルチャーを担う人々にその自覚を求めるものだったようだ。

「多国籍企業の主戦力に」

リンカーン・ミシェルは、自身が起こしたこの議論を「終わらない議論」としながらも、資本主義が果たした役割にも触れている。

ごく小さなカルチャーだったものが、人々に消費習慣をつけさせようと莫大な広告費を投じている多国籍エンタメ企業の主戦力になっていく様子を見るのは、変な感覚だよ。

by リンカーン・ミシェル

この議論の真っ只中で、映画の歴史上でも最大級のヒット作になるであろう『アベンジャーズ/エンドゲーム (原題)』のタイトルと予告編が公開された。

日本からは3DCGアニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』が、2020年にNetflixから全世界独占配信されることが発表されている。世界中のクリエイターに影響を与えた作品の最新作だ。

アニメや漫画、SFが少数派のカルチャーだった時代は、もはや過去になりつつある。「オタク文化は帝国の側だ」と指摘したリンカーン・ミシェルのツイートは、この新しい時代を象徴するものなのかもしれない。

– Source –
Lincoln Michel Twitter

齋藤 隼飛

齋藤 隼飛

VG+編集長。大学時代に社会保障を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で教育業に従事。アメリカでも夜間に通学し、マネジメントの学位を取得。名前の由来は仮面ライダー2号。
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