星々文芸博、大盛況で閉幕
2024年7月14日、作家のほしおさなえさんらが運営する文芸創作コミュニティ〈星々〉のイベント、「星々文芸博」が開催されました。
文芸や手作りにまつわる活動を行っている方々の創作物即売会とワークショップやトークのイベントで、出店ブースはなんと94団体。小雨降る浅草に文芸好きが集まり、楽しくあたたかな雰囲気の中で1日を過ごす、とても素敵なイベントでした。
改めまして7/14開催 #星々文芸博 にご来場・ご出店いただいた皆さま、ありがとうございました!
至らぬ点も多々あったかと思いますが、より良い形で次につなげていければと考えています。今後とも星々を何卒よろしくお願いいたします。
▼ご来場・出店者さま向けアンケートhttps://t.co/XeXTWwAjYq pic.twitter.com/594RaOUs7v
— hoshiboshi (@hoshiboshi2020) July 20, 2024
この星々文芸博、Kaguya Booksもブースを出店し、ワークショップ「小説の帯とあらすじを書いてみよう!」を企画いたしました。ワークショップは、参加者の皆様の作品への愛と言葉のセンスが輝く、熱量の高いものとなりました。この記事では、参加者が作った帯とあらすじをご紹介します。
ワークショップ「小説の帯とあらすじを書いてみよう!」参加者の実作をご紹介
ワークショップ「小説の帯とあらすじを書いてみよう!」では、最初に講師であるKaguya Booksの編集者、堀川夢さんが、物語を魅力的にまとめるためのコツについてレクチャーし、それから参加者のみなさんに、課題として事前にお伝えしていた二つの短編(羽田繭さん「棄ロボット譚」、蜂本みささん「せんねんまんねん」)のどちらかを選んでいただき、実際に短編作品の帯とあらすじを書いてもらいました。その後、全員で合評会をしました。
参加者のみなさんの書いた帯とあらすじをご紹介します。
「棄ロボット譚」帯・あらすじ
Aさん
帯
「ロボットのくせに寿命があるなんて、おかしいよ」
少年ヒロトと元人間の人型ロボットタクジ、人間の女性ナナミとの出会い
人の一生について
あらすじ
ヒロトのじいちゃんの持ち物のアパートに、人型ロボットのタクジと人間の女性ナナミが入った。じいちゃんは、ロボットと関わってはいけないと言っていたが、些細なきっかけから、三人は仲良くなっていく。ヒロトは上手く言い表せない関係のタクジとナナミを不思議そうに見ていたが、ある日、独りで引越し準備をするナナミから、タクジの真実を聞く。
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Bさん
帯
「ロボットのくせに寿命があるなんておかしいよ」
僕は高校生になり、どんぐりコレクションは全て捨ててしまったけれど、あの秋の日々は忘れない
あらすじ
小学生の僕はおじいちゃんの庭でどんぐり拾いをするのが好きだった。そこで出会ったのは六十八歳で死んで二十五歳の体に入ったロボットタクジ。「また遊びに来いよ」タクジとナナミと僕の秋の日々がはじまる。
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Cさん
帯
ロボットタクジと過ごした小五の秋
命とか人生ってものを考えたんだ。
あらすじ
小五の僕ヒロトはロボットタクジと、祖父が所有する木造アパートで出会った。美青年の外見で中身はおじいちゃんのタクジは、若くて綺麗な女性と暮らしていた。ロボットのくせに余命2ヶ月と語るタクジ、僕に大事なことは何も教えてくれないくせに、昔話をしたり、ドングリで遊んだり、僕を可愛がってくれた。ロボタクジと僕、女性を結んだ想いは何だったのか、大人になった今でもわからない。
タクジが選んだ道が本当なのかも。
「せんねんまんねん」帯・あらすじ
Dさん
帯
「返事があった! 返事もらえた!」
対話のラッパでつながった奇跡の出会い。
二人の女の子の未来は? 過去は?
あらすじ
「誰かいませんか。わたしの話聞いてください」
親友を怒らせてしまった主人公は見ず知らずの人と話せる「対話のラッパ」を試して同じ年頃の少女と出会う。
「もしかしていま、ありえないようなすばらしいことが起きているのかも」
二人はだんだんとお互いを分かりはじめる。
「また明日」彼女たちの約束は? 時間と場所の織りなす不思議なストーリー!
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Eさん
帯
未来のこと教せてんか。
未来には平和がきましたか。
不思議なラッパで繋がった、過去と未来の少女たち。
悠久の時を越えた先に、本当の平和は来るのだろうか?
あらすじ
亀山ちよりは堺市の小学六年生。ある日、親友と喧嘩をしてしまい、誰にも言えない悩みを「対話のラッパ」に吹き込んだ。ラッパは過去へとつながり、ちよりの声は戦時中の少女、鶴田キヨエへと届く。戦時下を生きるキヨエと、平和な未来に暮らすちより。二人の少女は「ラッパ」を通じて、互いの境遇を語り合う。しかし、平和なはずのちよりの世界にも、戦争は残り続けていて──。
少女たちの日常を通じて戦争の本質を浮き彫りにする大阪SF!
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どの方の帯・あらすじも作品の魅力を的確に捉えていて、感動しました。「棄ロボット譚」を選んだ方々は、作品のなかの重要な局面や印象的なセリフをみなさんしっかり見つけていらっしゃいました。
「せんねんまんねん」は、選んだお二人がそれぞれ「戦争」と「ガールミーツガール」に焦点を当てていることにより書かれていることが全く違うのですが、どちらも的確でとても素敵な帯・あらすじでした。
『SF作家はこう考える』大好評発売中
星々文芸博でのワークショップ「小説の帯とあらすじを書いてみよう!」で伝えした、作品を魅力的に伝えるために編集者が心がけていることは、Kaguya Booksより発売中の書籍『SF作家はこう考える』のコラム「小説にかかわるお仕事」などにも掲載されています。他にも、小説を書きたい人、書き続けたいと思っている人、SFや作家たちの世界をもっと知りたい人に役立つ情報が満載! ぜひご注目ください。
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編者:日本SF作家クラブ
刊行日:2024年4月27日
価格:1,900円(税込2,090円)
発行:Kaguya Books
発売:社会評論社
サイズ:A5・164頁
目次
〈第一部〉 作家のリアルとそこで生きる術
「SF作家のリアルな声」揚羽はな・大澤博隆・粕谷知世・櫻木みわ・十三不塔・門田充宏・藍銅ツバメ
「SF作家になるには」大森望
「戦略的にコンテストに参加しよう さなコンスタディーズ 2021-2023」 門田充宏
〈第二部〉 フィクションとの向き合い方
「え? 科学技術とSFって関係あるんですか? 本当に?」 宮本道人
「SFと科学技術を再考する」 茜灯里・安野貴博・日高トモキチ・宮本道人・麦原遼
「〝社会〟の中でフィクションを書く」 近藤銀河・津久井五月・人間六度・柳ヶ瀬舞
「過去に描かれた未来 マイノリティの想像力とSFの想像力」 近藤銀河
〈コラム〉小説にかかわるお仕事
編集者・翻訳者・校正者・デザイナー・『WIRED』編集者 小谷知也さんインタビュー
『SF作家はこう考える:創作世界の最前線をたずねて』は全国書店やウェブ書店にて大好評発売中!