『サンダーボルツ*』大ヒット公開中
映画『サンダーボルツ*』が劇場で公開され、2週間で全世界興収は3億ドルに迫る大ヒットを記録している。MCU映画としては第36作目にあたる本作では、バッキー・バーンズとエレーナ・ベロワを中心とした新チームが紹介される。
今回は『サンダーボルツ*』に登場したメルについてネタバレありで解説しよう。メルはどのように描かれ、その後はどうなったのか、演じた俳優のコメントと合わせて見ていこう。なお、以下の内容は結末に関するネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『サンダーボルツ*』の内容および結末に関するネタバレを含みます。
Contents
『サンダーボルツ*』メルをネタバレ解説
メルとは誰だったのか
映画『サンダーボルツ*』に登場したメルは、CIA長官のヴァルことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌのアシスタントとして奔走する。演じたのはジェラルディン・ヴィスワナサンで、スイス人の母とタミル人の父を持つオーストラリア生まれの俳優だ。メルの吹き替えは伊瀬茉莉也が担当している。
『サンダーボルツ*』の冒頭では、ヴァルが自身の運営していたOXE社での悪事を揉み消そうと動き、メルはヴァルの指示通りに動いていた。だが、エレーナ、ゴースト、ジョン・ウォーカー、タスクマスターの抹殺に際しては良心の呵責に苛まれ、ヴァルに対して徐々に反旗を翻すようになる。
そのメルの良心を見抜いていたのが、下院議員になったバッキー・バーンズだ。ヴァルを追求する公聴会でメルを見かけたバッキーは、メルなら“落とせる”と踏んでパーティー会場で連絡先を渡している。
キルケゴールの引用の意味
二人が初めて会話するシーンでは、メルが哲学者セーレン・キルケゴールの言葉を引用する。「人生は後ろ向きにしか理解できない」。実はこの言葉には「だが、前向きにしか生きられない」という後段があるのだが、バッキーは前段を言い終わったところでその言葉に同意している。
バッキーは「あまり詳しくないが」としつつ、「彼は個人がどんな価値観を持つかはその人にかかっていると言った」と、個人の主体性を重視したキルケゴールの考えに言及している。『サンダーボルツ*』のテーマにも関わる重要な会話だ。
人生は振り返ることでしか理解できないが、前を向くことでしか生きていくことはできない。この時点のメルとサンダーボルツメンバーにとっては、後段の真理には辿り着けておらず、本編のストーリーを通してそれを学んでいくことになる。一方、バッキーがメルに求めるのは、自分で自分の価値観を選び、主体的な判断をして生きることだ。良心に従ってヴァルを裏切ることを求めているのである。
そしてバッキーは、かつてウィンター・ソルジャーだった自分は誰のために働くかを選ぶことができなかったとメルに話す。だが、メルは誰のために働けるかを選べると助言して、気が向いたら連絡するよう伝えるのだった。
メルの過去と決断
メルは、110歳を超えるバッキーとの博識な会話を経て、バッキーに情報を提供するようになる。バッキーに電話を入れたメルは、自身が高校生だった時に映画『アベンジャーズ』(2012) のニューヨークの戦いが起き、アベンジャーズに助けられたと明かす。
メルは、今ではアベンジャーズがいなくなり、誰も助けに来てくれないとこぼすが、バッキーは、自分たちが人々を助ける立場になれると助言している。ちなみに『サンダーボルツ*』は2027年以降が舞台と見られ、2012年に高校生だったということは、メルの年齢は現在30代前半から中盤くらいだと予想できる。
その後、メルはエレーナ達と合流したバッキーにボブに関する情報を提供し、バッキーとエレーナを中心としたチーム結成をアシストする。良心に従って行動するメルに対し、ヴァルは「この世にいるのは悪い奴ともっと悪い奴」という名言を残してメルをクビにしてしまう。
それでも、ボブがセントリーとして暴走し、ヴァルを追い詰めた際には、メルが“キルスイッチ”を押してヴァルを救い出した。「お給料上げてね」と告げるあたりちゃっかりしているが、自分をクビにした相手であっても、善い行いをしなければならないという思いに突き動かされたのかもしれない。
俳優が語ったメルの背景とその後
バッキーがいなかったら?
メルを演じたジェラルディン・ヴィスワナサンは、米Collider Ladies Nightのインタビューで、メルの過去について語っている。ジェラルディン・ヴィスワナサンとジェイク・シュライアー監督は、メルのバックストーリーについて話をしていたそうで、学生時代には非営利団体で働くなどして、しっかり結果を残した良い学生だったと想定してる。
その上で、ヴァルの下で悪事の隠蔽という仕事を担うようになったメルについて、以下のように話している。
最初は彼女も皆の安全を守りたいと考えていたのだと思います。できる限り倫理的な選択をしたいと。そして、それが思っていたよりも難しくなってくる。私たちの多くと同じように、彼女には生まれ持ってのモラルの指針があり、それに導かれてきたんです。
メルは自分自身で決断を下し、動かざるを得なくなり、バッキーに連絡を入れるようになった。ジェラルディン・ヴィスワナサンは、もしバッキーがメルにアプローチしていなかったら? という問いに対し、バッキーとメルはお互いに歩み寄っていったことに触れつつ、バッキーがいなかった場合でもメルは何らかのアクションは起こしただろうと予想している。
ラストでメルはどこにいる?
映画『サンダーボルツ*』のラストでは、ヴァルがニュー・アベンジャーズの結成を発表。騙されたサンダーボルツは強制的に記者会見に出席させられるのだが、このシーンではヴァルの隣にメルの姿も確認できる。一度はクビになったメルだが、ヴァルのもとへ戻ったようだ。
ジェラルディン・ヴィスワナサンは先ほどのインタビューで、ヴァルのもとに戻った理由について、「ストックホルム症候群のようところもあるのかもしれない」と明かしている。ストックホルム症候群とは、誘拐などの被害者が加害者に対して親近感を感じたり依存したりすることだ。不当な扱いを受けても、生存戦略のために加害者に寄り添い、精神的な負担を和らげる傾向を指す。
ポストクレジットシーンではそこから14ヶ月後の状況が描かれる。ニュー・アベンジャーズは政府公認のアベンジャーズとなり活動を続けているようだが、メルはどうなったのだろうか。ジェラルディン・ヴィスワナサンは、メルの“その後”についても明かしている。
ニュー・アベンジャーズの面々はウォッチ・タワーの最上階でくつろいでいたが、メルはウォッチタワー内の自分のオフィスにいるのかと問われ、ヴィスワナサンはこう答えている。
そうです。えぇ、彼女は小さなオフィスを手に入れています。そこには小さなコーヒーマシンもあって。彼女は昇進しています。ちょっと景色も良い部屋で。でもまだ奮闘していますよ。
メルはまだウォッチタワーにいるようだが、今では自分のオフィスを持っているらしい。米国では一般的に、一定のポジションを得ると自分だけの個室のオフィスを持つことになる。ジェラルディン・ヴィスワナサンは、メルの強みは「ずる賢さ」にもあると話している。ヴァルの使いっ走りから抜け出したメルは、今後のニュー・アベンジャーズの活躍にも絡むことになりそうだ。
メルはソングバードになる?
最後に、メルを巡る考察にも触れておこう。『サンダーボルツ*』のメルには将来的にソングバードになるという考察がある。映画では「メル」とだけ呼ばれているメルだが、コミックではメリッサ・ゴールドという人物がソングバードを名乗りサンダーボルツに加入することになる。
映画『サンダーボルツ*』のメルがメリッサ・ゴールドなのかどうかは不明だが、ファーストネームしか出ていないところに含みがあるように思える。また、メルは映画内で鳥の形のネックレスをつけており、これがソングバードへのオマージュと見られている。
メルは将来的にソングバードになるのか、豪BuzzFeedOzがTikTokで公開した動画では、ジェラルディン・ヴィスワナサンはこう回答している。
(答えたら)私が狙撃されてしまいます。本当に言えません。私に言えることは、ぜひやりたいということだけです。受けられますよ。今回の経験は夢のようでした。またやりたいです。
ほぼ答えのような気もするが、現時点では明確なオファーはないとも考えられる。今後「アベンジャーズ」2作の公開を控えるMCU。バッキーが電話で言った通り、メルとバッキーが旧アベンジャーズに代わる存在となる日は、そう遠くないのかもしれない。
映画『サンダーボルツ*』/『ニュー・アベンジャーズ』は公開中。
本記事の筆者・齋藤隼飛が翻訳を手がけた『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』は5月2日発売。500点以上のアートと共にMCUの歴史を辿る貴重な一冊なのでぜひチェックしていただきたい。
『サンダーボルツ*』オリジナル・サウンドトラックは発売中。
コミック『サンダーボルツ』は中沢俊介の翻訳で発売中。
Source
Collider Ladies Night / BuzzFeedOz
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