映画『ソニック・ザ・ムービー』続編が公開
2020年に公開された映画『ソニック・ザ・ムービー』の続編、シリーズ第2弾となる映画『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』(以下、ソニック・ザ・ムービー2)が2022年8月19日(金) より日本全国の劇場で公開された。本作では原作ゲームでもお馴染みのテイルスとナックルズも登場。セガの人気ゲームシリーズ「ソニック」の世界観を映画版でも拡大していく新作になる。
『ソニック・ザ・ムービー2』では、前作ラストでキノコの惑星へ飛ばされたドクター・ロボトニックが復活。そのロボトニックと手を組んだナックルズがソニックの強敵として登場する。そして、大冒険の果てに待っていたのは……。今回は、『ソニック・ザ・ムービー2』のエンディングの意味を解説していこう。以下の内容は本編の結末に関するネタバレを含むため、必ず劇場で本作を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』の結末に関するネタバレを含みます。
Contents
『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』ラストはどうなった?
マスターエメラルドをめぐる物語
『ソニック・ザ・ムービー2』では、手にしたものの願いを叶え、敵の大群を制圧できるほどの力を与えるマスターエメラルドをめぐる物語が描かれた。ソニックの育ての親であるロングクローの種族(フクロウ族)は、かつて7つのカオスエメラルドから一つのマスターエメラルドを作り出した。ナックルズのエキドゥナ族の一人は、そのマスターエメラルドを手に入れたが、フクロウ族に取り返され、以来、エキドゥナ族とフクロウ族は因縁の仲になったようだ。
エキドゥナ族によるフクロウ族の襲撃が、幼いソニックが地球に送られる原因となった一方で、ロングクローは地球に眠るマスターエメラルドを守れるように、ソニックにエメラルドのありかが示された地図を託していた。マスターエメラルドを狙うナックルズはドクター・ロボトニックと手を組む一方、ソニックは、ソニックに憧れて危機が迫っていることを伝えにきたテイルスと共にエメラルドが眠る遺跡を目指す。
『ソニック&ナックルズ』がベースに
ドクター・ロボトニックはソニックと戦うナックルズを裏切ると、手に入れたマスターエメラルドの力で巨大メカを造り上げる。これは1994年にメガドライブで発売されたゲーム『ソニック&ナックルズ』のボスキャラである巨大エッグマンロボをモデルにしたものだ。
『ソニック&ナックルズ』ではナックルズがプレイアブルキャラとして登場する他、マスターエメラルドも登場する。同作ではナックルズはドクター・エッグマンに騙されてソニックと敵対しており、『ソニック・ザ・ムービー2』は『ソニック&ナックルズ』を土台にしていることが分かる。『ソニック・ザ・ムービー2』では、ソニックとナックルズは互いに家族を失ったという共通点を通して和解する。ソニックは大切な人を失っても、新しい仲間や家族と共に前向きに生きていた。
その姿勢の結果が、ピンチになったナックルズを助けることになる。ソニックはナックルズに「自分のことだけ考えるのではなく、みんなの為に責任を負うのがヒーロー」という冒頭でトムに教えてもらったワカウスキー家の家訓を教えると、「もう一人じゃなくていい」とナックルズを仲間に誘うのだった。
金色のソニック
ソニック、テイルス、ナックルズの三人は共闘すると、一度は巨大ロボを倒してマスターエメラルドを奪うことに成功する。だが、バックアップ電源で復活した巨大ロボに、ソニックはトム、マディと共に踏み潰されてしまう。そこでソニックに力を与えたのは、マスターエメラルドの元の姿である7つのカオスエメラルドだった。
ソニックが金色に変身した姿は“スーパーソニック”と呼ばれるものだ。スーパーソニックはゲーム『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』(1992) で初登場した形態で、その後もソニックのパワーアップ形態としてファンに愛されている。ソニックがゲスト参戦した任天堂のゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズX』(2008) でも、最後の切りふだとしてスーパーソニックに変身することができる。
その力でロボトニックの巨大ロボを圧倒したスーパーソニックは、再びロボトニックを倒し、ロボトニックは巨大ロボから落下していった。憧れていたスーパーヒーローになったソニックだったが、「まだ子どもでいたい」と自らその力を手放す。これは、冒頭でトムに言われたワカウスキー家の家訓の後半部分「いつか力を必要とされる時が来るが、それがいつかは運命が決めること」という言葉にリンクしている。
そして、ソニック、ナックルズ、テイルスはマスターエメラルドの悪用を防ぐために同盟を組むことに。三人はワカウスキー夫妻と共に仲良く野球をしてアイスクリームを食べる。これは前作の冒頭でソニックがひとりでやっていたこと。ソニックは他者を求め、もう一人ではなくなった。それは同時に、かつての自分と同じように孤独だったテイルスとナックルズを助けることにもなったのだ。
ミッドクレジットシーンの意味は?
シャドウ登場
そして、最初のクレジットで流れる曲はキッド・カディ「Stars in the Sky」。『ソニック・ザ・ムービー2』のために書き下ろされた楽曲で、PVもキッド・カディとソニックがコラボしたものになっている。
最初のクレジットの後に流れてくるミッドクレジットシーンは、GUN(ガーディアン・ユニット・オブ・ネイションズ)が巨大ロボの瓦礫を捜索している場面。GUNのリーダーであるウォルターズは、瓦礫の中からドクター・ロボトニックが見つかっていないとの報告を受ける。ウォルターズはロボトニックが死んだと思い込んでいるようだが、捜査官はロボトニックのデータの中から50年以上前のファイルが見つかったと報告する。
その内容とは、軍がかつて極秘に研究を進めていた施設の座標だった。ウォルターズはその研究の名前を「プロジェクト・シャドウ」と発言し、シャドウ・ザ・ヘッジホッグの姿が映し出される。更に、ロボトニックの部下であるエージェント・ストーンは、GUNの隊員に紛れており、ロボトニックを救出したことを示唆して『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』は幕を閉じる。
原作通りの展開に?
GUNは原作ゲームにも登場する政府の軍隊で、ゲームの方でもソニックとドクター・エッグマンの双方と対立する。シャドウは黒いソニックの姿をしたキャラクターで、ゲーム版ではドクター・エッグマンの祖父であるジェラルド・ロボトニックが生み出した生命体だ。
シャドウはソニックチームUSAが開発したスピンオフゲーム『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』(2005) が発売されるなど人気のキャラクター。ゲーム版では、その過去にも本格的なストーリーが用意されている。
映画版と繋がりそうな点で言えば、「プロジェクトシャドウ」と「50年以上前」というキーワードだろう。ゲーム版ではジェラルドの孫でドクター・エッグマンの従妹のマリアの病気を治すために、ジェラルドは不老不死の生命体であるシャドウを生み出す実験をおこなっていた。そのプロジェクトの名前が「プロジェクトシャドウ」なのだ。
シャドウはマリアと姉弟のように育つが、ある時、GUNがジェラルドのスペースコロニー・アークを襲撃し、その中でGUNの兵士がマリアを撃ってしまう。その後、GUNの施設で50年間眠っていたシャドウはエッグマンによって目覚めさせられ、シャドウはGUNへの復讐を、延いては人類への復讐を誓う。
『ソニック・ザ・ムービー2』では、ドクター・ロボトニックがシャドウに目をつけているらしいこと、GUNがプロジェクトシャドウの存在を把握していること、そのプロジェクトが50年以上前のものであることなど、原作ゲームのストーリーを辿るための要素が複数見られる。今回の『ソニック・ザ・ムービー2』も『ソニック&ナックルズ』をベースにしていたが、第三作目以降も割と忠実にゲームのストーリーを追いかけていく可能性は大いにあるだろう。
また、ソニックと同じ見た目のシャドウが登場する展開は、フクロウのロングクローに育てられたと説明されていた映画版ソニックのルーツが明かされることにも期待できる。既に『ソニック・ザ・ムービー3』の製作と2024年12月20日の米公開は発表されている。シャドウ以外にもエミー、ルージュ、シルバーなど、複数の人気キャラを擁する「ソニック」シリーズは、更なる拡大を見せてくれるだろうか。
映画『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』は2022年8月19日(金)より、日本全国の劇場で公開。
『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』公式サイト
『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』米版のサントラは配信中。
『ソニック・ザ・ムービー』からはサントラと4K Ultra HD+ブルーレイが発売中。
『ソニック・ザ・ムービー3(仮)』製作決定のニュースはこちらから。