ネタバレ感想『ブルー きみは大丈夫』ラストの意味は? IFとは何か? 解説&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ感想『ブルー きみは大丈夫』ラストの意味は? IFとは何か? 解説&考察

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映画『ブルー きみは大丈夫』公開

「デッドプール」シリーズのライアン・レイノルズと「クワイエット・プレイス」のジョン・クラシンスキーがタッグを組み、子供たちの空想上の友達、イマジナリーフレンドをテーマにした『ブルー きみは大丈夫』が2024年6月14日(金)に全国公開された。そこでは空想上の友達を持つ子供だけではなく、大人も懐かしさを感じさせるものとなっていた。

大人だからこそ楽しめるところもある『ブルー きみは大丈夫』。子供たちの「ごっこ遊び」を通して描かれる物語について、本記事では解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容は本作の結末に関する重大なネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ブルー きみは大丈夫』の内容に関するネタバレを含みます。

映画『ブルー きみは大丈夫』ラストネタバレ解説&考察

イマジナリーフレンド、略してIFとの出会い

母親を癌で失った上、父親の心臓の疾患の手術を控え不安になるケイリー・フレミング演じる主人公のビーことエリザベス。ビーはイマジナリーフレンド、略してIFが見えることからIFのパートナー探しをしているライアン・レイノルズ演じるカルことカルヴィンと共に、IFの新しいパートナー探しに協力することになる。

ビーはカルによって遊園地の地下へ案内されるが、そこはIFたちのグループホームになっていた。そのグループホームはビーの想像力で自由に作り変えることができ、グループホームを開いた最も年を取ったルイス・ゴセット・Jrが吹替を務めるIFのクマのルイスから「大人になればなおさらIFが必要になる」と解説される。

そして、ビーはこれまで一緒にいたフィービー・ウォーラー=ブリッジが吹替を務めるIFのブロッサムが、フィオナ・ショウ演じる自分のおばあちゃんのIFであったことを知る。ブロッサムとカルは何度もおばあちゃんに会おうと試みたというが、ビーはそれでも諦めずにブロッサムにもう一度試そうと持ち掛けるのだった。

IFとパートナーの再会

ビーはかつておばあちゃんがバレリーナを夢見ていたことを思い出す。ブロッサムもそれを反映してか、擬人化された蝶のバレリーナだ。ビーはおばあちゃんのお気に入りのレコードを流し、陰からその様子を見守る。夜の街並みの光に照らされる中、おばあちゃんは部屋で夢見ていたバレエを踊る。それにあわせてブロッサムも翅を広げて踊り出し、体から輝きを発する。

ブロッサムで成功したことにより、ビーはスティーヴ・カレルが吹替を務めるブルーのパートナーだったジェレミーとブルーを再会させようとする。一度、カフェのトイレでジェレミーと再会させることに成功するビーだったが、ブルーのくしゃみですべて失敗してしまう。

落ち込むブルーをビーは励まし、ジェレミーの幼少期の思い出であるクロワッサンの香りを利用して記憶を呼び起こし、ブルーはプレゼン前で限界寸前のジェレミーの肩に手を置いて「きみは大丈夫」とそばにいるのだった。ブルーのパートナーであるジェレミーは弱さを見せないように必死であり、誰かに頼ることができない人物と短いながら描かれていたと考察できる。そのような大人にこそ、IFのような存在が必要というのが『ブルー きみは大丈夫』のメッセージだとも考察できる。

ビーの物語

ビーはブルーとジェレミーの再会により上機嫌で家路につくが、家で父親が心臓の疾患の手術後に容態が急変したと告げられてしまう。逃げるように上の階に住むカルの部屋を訪ねたビーは、母親の死だけでも耐えられなかったのに、父親まで失ったら心が壊れてしまうと語る。そのようなビーをカルは優しく抱きしめ、「いつもそばにいる」と伝えるのだった。

IFたちに見守られながらジョン・クラシンスキー演じる父親のもとに向かうビー。病床にいる父親の手を握り、これまでの出来事を物語として話す。ビーは母親の死後、心に壁を作って傷つかないようにしていたが、それでも父親は明るく振る舞い続けた。それによってビーの心は救われていた。

ビーはそれを自分がIFのパートナー探しをすることで実感したのだった。その言葉によってビーの父親は目を覚ます。それに歓喜するビーはIFたちにすべてを報告しようとしたが、ビーはその日を境にIFが見えなくなってしまった。

ビーのIF

父親が完治したことでそれまで暮らしていた祖母の家から引っ越すことになるビー。ビーは上の階のカルの部屋を訪ねるが、大家からもともとその部屋は空き室だったことを知らされる。その後、子供の頃の絵を見たビーは、自分が描いた絵にピエロのカルヴィンがいることも知る。カルとはビーのIFだったのだ。

実はこれの伏線はあらかじめ散りばめられている。ビーの子供の頃の場面でビーが家族の絵の横に何かを描いている描写や、初対面のクマのルイスがビーの本名のエリザベスを知っているなど、実はカルは大人になってもIFが見える存在ではなく、カル自身が子供のビーに見えているIFだったのだ。

ビーはクマのルイスの言葉を思い出す。「ただ目を閉じれば思い出が波のように押し寄せる」という言葉の通り、目を閉じてカルとの思い出を語る。それによってカルはピエロの姿で再び現れ、カルはビーを抱きしめて光り輝くのだった。

その後、ビーのおばあちゃんはブロッサムが再び見えるようになる。カルはビーの跡を継ぎ、IFたちをかつてのパートナーと再会させる仕事をするようになった。これまでビーが触れ合ってきたIFたちは誰にも頼ることが出来ずに疲れ切ったかつてのパートナーたちと再会し、その心を癒すのだった。

映画『ブルー きみは大丈夫』ラストネタバレ感想

大人になっても誰かに頼ってもいい

『ブルー きみは大丈夫』は、カートゥーンネットワークで放送されたイマジナリーフレンドの里親探しをテーマにした『フォスターズ・ホーム』(2004-2010)を思い起こさせるものである。しかし、その中にプロデューサーも務めたライアン・レイノルズと監督も務めたジョン・クラシンスキーの2人のエッセンスが絡み、大人も楽しめる作品となっている。

また、『ブルー きみは大丈夫』は大人を誰かに頼ることができずに弱みを見せられない存在としても描いている。その反面、IFたちや子供たちは「ごっこ遊び」を通して立ち上がる力を持った存在として描かれており、IFと大人を再会させることで限界寸前だった大人たちを支える作品となっている。

可能性のIF

「デッドプール」シリーズのライアン・レイノルズと「クワイエット・プレイス」シリーズのジョン・クラシンスキーというブラックな作風で知られた2人だからこそ、描くことができた子供たちの「ごっこ遊び」の世界。その作品は大人たちが観ることで心が折れそうなときに立ち上がる力をくれる作品となっていた。IFはイマジナリーフレンドの略称とされていたが、作品を通して観ることで可能性を意味するIFとダブルミーニングになっていると考察することが出来る。

原語版声優だけではなく日本語声優も豪華で、吹替版と字幕版の両方とも楽しめることができるものとなっている。『ブルー きみは大丈夫』は豪華な俳優陣によって、弱さを見せてもいい、挫けたっていい、立ち上がれば何だっていいと教えてくれる映画だった。

『ブルー きみは大丈夫』は2024年6月14日(金)より全国公開。

『ブルー きみは大丈夫』公式ページ

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鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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