【ネタバレ解説】『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード6「開かれた扉」【あらすじ・音楽】 | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード6「開かれた扉」【あらすじ・音楽】

©️Amazon Studios

残り3話に迫った『ザ・ボーイズ』シーズン2

2020年9月、満を持して公開されたドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン2。毎週金曜日に最新話が更新され、9月25日には、いよいよエピソード6「開かれた扉」が公開された。全8話で構成されるシーズン2も後半戦に。衝撃のエンディングを迎えたエピソード5だったが、エピソード6では、遂にフレンチーの過去が明らかに。今回は『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード6「開かれた扉」のあらすじをネタバレ解説と共にご紹介する。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード6「開かれた扉」までの内容に関するネタバレを含みます。

『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード6 ネタバレ解説&あらすじ

各々のチームに

シーズン2エピソード6「開かれた扉」の冒頭は、フレンチーの過去から始まる。ザ・ボーイズに加わる前のフレンチーは、悪友と銀行強盗に臨もうとしていた。

ストームフロントに行動の全てを知られていたストームフロントことアニーは、フレンチーに身体に埋め込まれた追跡チップを取り出してもらう。ブッチャーもキミコも戻ったザ・ボーイズは、チップを取り除いたアニーを迎え入れることに。アニーは前回ストームフロントのメールを盗み見ることに成功していたが、メールの情報から、ペンシルベニアの精神病院であるセージ・グローブ・センターの名前が浮上。一行はセージ・グローブ・センターを目指す。

その頃、セクシャルマイノリティであることを宣伝に使われたクイーン・メイヴはディープと合流。ディープは、アイスランド近くに漂流したあるモノから、動画を見つけ出したという。クイーン・メイヴにとっての切り札になりそうだ。一方で、ディープはAトレインを共同教会に引き入れようとする。カリスマ教祖のアレステア・アダナは、Aトレインにセブンに戻れると話を持ちかけるのだった。

セージ・グローブの真実

ザ・ボーイズはスターライトの手を借りて、フレンチー、MM、キミコの三人がセージ・グローブ・センターに潜入する。患者=収容者たちが全員スーパーパワーの能力者だということを知る。と、そこにストームフロントが到着。患者と面会し、「自殺願望があって帰せない」と説明する。

そして、エピソード5でストームフロントと電話で話していた職員の正体は、元セブンのランプライターだったということが明らかになる。ランプライターは、ストームフロントの指示で逆らう患者を焼き払う。なお、ランプライターを演じているのは、「X-MEN」シリーズで氷を扱うアイスマンを演じていたショーン・アシュモアだ。

ランプライターがセージ・グローブにいることを知ったフレンチーは、「マロリーの孫たちのため」と突然取り乱す。そしてフレンチーがランプライターを襲撃しようとしたことで、念力能力を持つシンディが解放され、他の能力者である患者たちも解放されてしまう。能力者達による殺戮が繰り広げられる中、病棟は閉鎖されるが、脱走した能力者のパワーによって、ヒューイは深傷を負う。ブッチャーとアニーは協力してヒューイを助けようとする。

なお、印象的なシンディの役を演じているのはEss Hödlmoser。カナダはトロントのパフォーマンスアーティストだ。

明らかになるフレンチーの過去

MMたちは、ランプライターを味方につけ、共に病棟の脱出を目指す。エピソード6のハイライトは、ランプライターとの対話の中で明らかになっていくフレンチーの過去だ。冒頭のシーンのその後、8年前にスーパーパワーの能力者相手に強盗を働いたフレンチーは、CIAのグレイス・マロリーから声をかけられたのだった。

5年前、ランプライターはグレイス率いるザ・ボーイズのスパイになり、フレンチーはランプライターを追う役目を担っていた。その後ランプライターはグレイスの孫を焼き殺し、それによってグレイスはCIAを引退することに。だが、この事件についての5年越しの事実が明らかになる。

ランプライターは子ども達を狙っていたわけではなく、グレイスを狙って焼いたベッドに寝ていたのが子ども達だった。そして問いは、なぜフレンチーがランプライターを止めなかったのか、という疑問に移る。

ランプライターを追っていたフレンチーだったが、仲間がオーバードーズしたと聞きつけ、仲間のもとに駆けつける。仲間を救うためにランプライターから目を離したフレンチーだったが、仲間を置いてまた現場に戻ることに。結果、フレンチーはランプライターを見失い、仲間も失う。

“ミス”によって罪を背負ったランプライターとフレンチーは、同じ罪悪感に苛まれていた。フレンチー役を演じたトメア・カポンは、アフターショー『Prime Rewind:「ザ・ボーイズ」の裏側』で「コカインは (フレンチーにとって) 仮面」と、フレンチーの薬物依存の原因がこの罪悪感にあることを示唆している。

また、トメア・カポンは原作を読み返してフレンチーの過去を確認したとも話している。シーズン1公開時には、元々原作コミックのファンでオーディションを受けたという経緯を明らかにしていた。『裏側』では、「この6話では彼の謎が解け、自分を取り戻す。最高の筋書きだった」と解説している。

ブッチャーとアニーは深傷を負ったヒューイを救うために民間人から車を奪う。アニーは能力を使い、子どもがいたであろう男性を殺してしまう。大切な人を守るために人を傷つけたアニーは、これを仕方のないことと、受け入れようとしている。同じ経験をしてきたブッチャーは、アニーを複雑な表情で見つめるが、アニーは「私たちは何も似ていない」とその眼差しを拒否する。

それでも、ブッチャーとアニーはヒューイを通して、互いの理解を深める。何があっても二人を見捨てないヒューイの存在に、アニーは「私たちにはもったいない」と敬意を示すのだった。

罪滅ぼしの方法

そして、ランプライターの口から、セージ・グローブ・センターの目的が語られる。ヴォートの目的は、能力者を生産することではなく、大人でもコンパウンドVを使えるようにすることだった。これが成功すれば、子どもでなくても誰でもスーパーパワーを手に入れることができる。そしてランプライターの仕事は、実験の証拠=被検体を焼くことだった。

センターでは能力者が暴れ続けているが、突如現れたストームフロントがシンディを倒してことなきを得る。ストームフロントに呼ばれたランプライターは名乗り出るが、ザ・ボーイズを売ることはしなかった。ランプライターはザ・ボーイズと共にセンターを後にする。

過去を打ち明け、ランプライターの事実も知ったフレンチーは、キミコと和解する。キミコを救おうとしていたのは、自分がしたことへの罪滅ぼしだった。だが、それは自分の都合であり、キミコとは関係のないこと。キミコがフレンチーの罪を消せるわけではないということを認め、フレンチーはキミコに好きに生きるよう告げる。

そして、そこに現れたのはランプライターに孫を焼き殺されたグレイス・マロリーだった。ランプライターを殺して復讐を果たそうとするグレイスに対し、フレンチーはランプライターの命をこう。「何もならない」と、ランプライターに罪を償わせるよう助言し、ザ・ボーイズに強力な味方が加わることが示唆される。

一方、クイーン・メイヴが手に入れたのは、シーズン1で衝撃を呼んだホームランダーによる飛行機撃墜時の映像だった。ディープはアイスランドに漂流した飛行機の残骸から乗客のスマホを手に入れていたのだ。映像に映っていたのは、ホームランダーが人々を見捨てる姿。メイヴは、これを使ってホームランダーを脅し、レイナと二人で自由に生きることを企んでいた。

メイヴもまたそこに居合わせていたことにショックを受けるレイナに、メイヴは「止めるべきだった」と後悔を口にする。フレンチーも直面した罪悪感、そして“どうしようもなさ”だ。

ストームフロントの真実

ストームフロントと結ばれたホームランダーだったが、セブンタワーで会議と言ってなかなか戻ってこないストームフロントに腹を立てていた。ホームランダーは、ストームフロントが実はタワーには行っていなかったということを知り、激怒する。ストームフロントはホームランダーに二度と嘘をつかないことを誓い、年老いた娘の写真を見せる。遂に、ストームフロントは自身の過去を明らかにするのだった。

ストームフロントが生まれたのは1919年のベルリン。ストームフロントと写真に写っていたのは、ナチスの高官であるヒムラーとゲッベルス、そしてヴォートの創業者フレデリック・ヴォートだった。ストームフロントは、最初にコンパウンドVを投与された存在。フレデリックとの間に子どもをもうけたストームフロントは、「全てを教えてくれた」とフレデリックを愛していた。

そのフレデリックが目指していたのは「ファンやスターダムじゃない」と、ストームフロントは今のスーパーヒーロー達の姿を揶揄する。ヴォートが目指すのは「文化のための戦争」。「他の人種が私たちを虐げ、略奪をしたら反撃をする」「何百万もの能力者による軍隊」。それがヴォートの真の宿命だという。

そして、ストームフロントはホームランダーがそれを率いる存在だと説明する。「お互いを見つけた」と運命を感じさせる言葉を放つストームフロントの本心は、どこにあるのだろうか。

なお、ストームフロントを演じている俳優のアヤ・キャッシュはユダヤ人。『裏側』では、「ユダヤ人として育った私がナチを演じるなんて新境地」と語っている。ストームフロントは原作コミックで男性だったのが実写版では女性になり、ユダヤ人の俳優が演じることに。アヤ・キャッシュは「バックラッシュを招くだろうと思った」と言うが、「反応を気にすることは私の仕事じゃない」と強い姿勢を見せている。

次々と明らかになる登場人物達の過去。『ザ・ボーイズ』シーズン2はラスト2話を残していよいよ終盤に。そして、エピソード6のラストには、センターを抜け出したシンディがヒッチハイクをする姿が。果たして、どのような展開が待ち受けているのだろうか。

シーズン2エピソード6「開かれた扉」で流れた音楽

SEXION D’ASSAUT「Çasquette à l’envers」

シーズン2エピソード6「開かれた扉」の冒頭、過去のフレンチーが描かれた場面では、パリのヒップホップグループSEXION D’ASSAUTの「Çasquette à l’envers」。やはりフレンチーは昔からフランスのヒップホップがお好きだったようだ。

イダン・レイチェル「Galgal Mistovev (Spinning Wheel)」

現在に戻り、フレンチーがアニーのチップを取り出そうとする場面で流れているのは、イダン・レイチェル (IDAN RAICHEL) の「Galgal Mistovev (Spinning Wheel)」。イダン・レイチェルは、フレンチー役のトメア・カポンと同じイスラエル出身のアーティストだ。

タートルズ「Happy Together」

小悪党を殺したホームランダーがストームフロントと交わる場面で流れているのは、タートルズ (THE TURTLES) の名曲「ハッピー・トゥゲザー (Happy Together)」。「一緒に幸せになろう」「私とあなた、あなたと私は、何回サイコロをふっても同じ組み合わせ」と、ホームランダーとストームフロントの“運命の出会い”を示唆している。

エンヤ「オリノコ・フロウ」

ディープとAトレインが共同教会のアレステア・アダナとランチをとるシーンで流れているのは、エンヤ (Enya) の「オリノコ・フロウ (Orinoco Flow)」。神秘的な音楽が共同教会の雰囲気を作り出している。

Cynthia Fee「Thank You For Being A Friend」

エピソード6のラストシーン、シンディがヒッチハイクをするシーンで流れているのはCynthia Feeの「Thank You For Being A Friend」。実はこの曲、エピソード6の冒頭でフレンチーが話していたドラマ『The Golden Girls』のスピンオフドラマ『The Golden Palace』のオープニングテーマ曲。「友達でいてくれてありがとう」と歌われるこの歌詞は、フレンチーが解放したシンディの旅立ちにどのようなメッセージを与えているのだろうか……。

シーズン2エピソード7のネタバレ解説は以下のリンク先から。

『ザ・ボーイズ』シーズン2は、Amazonプライムビデオで10月9日まで毎週金曜日に更新。

各話の裏側が語られるアフターショー『Prime Rewind:「ザ・ボーイズ」の裏側』も同時公開中。

原作コミックの日本語版はG-NOVELSより発売中。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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