【ネタバレ解説】『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード7「発火」【あらすじ・音楽】 | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード7「発火」【あらすじ・音楽】

©️Amazon Studios

クライマックスを迎える『ザ・ボーイズ』シーズン2

2020年9月に配信を開始したAmazonオリジナルドラマの『ザ・ボーイズ』シーズン2。毎週金曜日配信に配信されてきたが、残すはいよいよラスト2話。息をつかせぬ衝撃の展開の連続で、物語はクライマックスに向かっていく。エピソード7「発火」では、どのような物語が展開されたのだろうか。今回もあらすじをネタバレ解説付きでご紹介していく。

なお、第7話「発火」は配信開始日翌日の3日(土) 午後から4日(日) 22時頃まで、Amazonプライムビデオから削除されていた。その詳細は以下の記事でネタバレなしで解説している。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード7「発火」までの内容に関するネタバレを含みます。

『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード7「発火」あらすじ&ネタバレ解説

煽られるヘイト

シーズン2エピソード7「発火」は、移民流入とテロを結びつけるストームフロントの演説から始まる。「不法移民に死を」というミームが流れ、不安を煽る言葉が排外主義を呼び覚ます。現実のアメリカ社会 (と日本) と全く同じ光景だ。ストームフロントは移民襲撃者を擁護し、「今こそ行動を」と呼びかける。メディアで毎日そうした報道を目にしていた一般人の男性は、スーパーヴィランだと思い込んだコンビニ店員を殺してしまう。

インフルエンサーとメディアがヘイトを煽り、悲劇が起きる——『ザ・ボーイズ』はどこまでもリアルなドラマである。なお、この殺人犯になった男性の部屋には、ソルジャー・ボーイのポスターが飾られている。ソルジャー・ボーイは『ザ・ボーイズ』シーズン3での登場が確定しているスーパーヒーローである。

一方、ザ・ボーイズに協力することになったランプライターは、ビクトリア・ニューマン議員のもとで証言の練習をしていた。グレイスとザ・ボーイズは、米議会の公聴会でランプライターに反ヴォートの証言をさせるつもりだった。問題はブッチャーらが、政治家のニューマン議員と信頼関係を築けるかどうかだ。

グレイスは更なる証人を確保するために動き出す。フレンチーとキミコはヴォートから議員を守る任務に就くが、ビリーには父が死んだとの報せが母から届く。ヒューイはランプライターの“子守役”だ。なお、この時のヒューイは、70年代に流行したバンド“ジャーニー”の日本ツアー時のTシャツを着ている。

ランプライターはスーパーヒーローポルノを見ながら、「公聴会に出れば死ぬ」と自暴自棄になっている。神童ともてはやされた幼少期も今では虚しい思い出。ヒューイは、母を失い生きる意味を失った父の話、そして同様に恋人のロビンを失い生きる意味を失った自分の話をし始める。自分こそがヒーローの傍観者だと主張するが、ランプライターは「それより酷い」とヒューイをこき下ろすのだった。

スターライトの危機

スターライトことアニーは母と会っていたが、アニーは「正義は勝てず、悪者は罰を受けない」と自分たちのヒーロー活動がお金のためでしかない茶番だと弱音を吐く。母はヴォートから離れることを提案するが、そこに現れたのはブラック・ノワールだ。アニーは襲撃され、母と共に捕らえられてしまう。

ホームランダーとストームフロントは“愛国集会”に登場。ストームフロントはエピソード7冒頭でのコンビニ店員射殺事件を非難し、犠牲者に追悼の意を表明する。ヘイトを煽った張本人が梯子を外す、見慣れた光景である。

ホームランダーが唱える「この国はかつて美しかった」「神のもとに統一された美しい国を覚えてるか?」という存在しない幻想に、聴衆は湧き立つ。「神のもとに (under God)」とは、第34代アメリカ合衆国大統領のアイゼンハワーが1956年に国家の標語とすることで推進したフレーズで、議会で暗唱される「忠誠の誓い」にも含まれる。

また、字幕では割愛されているが、ストームフロントは「ニューマン議員のようなSJWたちは——」と、保守派が左派を攻撃する際に使う“Social Justice Warrior=社会正義戦士”という言葉を用いて、移民を排除しようとする自分たちの正当性を主張している。

ストームフロントは更に「これは戦争だ」と危機感を煽り、より多くのヒーローを生み出すことの必要性を訴える。サラッと「もっとコンパウンドVが必要」という主張を入れるあたり、見事な世論操作だ。

そして、ホームランダーは「セブンに裏切り者がいた」と切り出し、スターライトの名をあげる。ストームフロントには、アニーがザ・ボーイズと協力していることがバレていた。ヒューイは、アニーの収容先を知っているランプファイターと二人でセブン・タワーに向かい、アニーを助け出すことにする。

なお、第7話は配信後に一時削除されたことが大きな話題になっていたが、問題はこのシーンの描写にあったようだ。第7話の復活後は、ヒューイがランプライターと共に見ているポルノ映画のシーンに修正が加えられている。

“父”の遺恨

ブッチャーは母親と合流するが、父はまだ死んでおらず、それは母がブッチャーを父に会わせるためについた嘘だった。癌でもう長くないという父だが、攻撃的な口調でブッチャーの弟レニーの死を愚弄する。

ブッチャーは父から虐待を受けており、彼の人格形成には暗い幼少期の経験が関係していたのだ。この設定は、ホームランダーとの対比になっている。ザ・ボーイズとセブン、道は違えど、二人は大人の暴力に晒されながら育ったのだ。

だが、ブッチャーの父は虐待によってブッチャーが「強くなった」と、それを誇る。ブッチャーは父を「怪物だ」と非難するが、父は「お前も同じだ」と言い返すのだった。

ホームランダーは、子どもを見て自分の娘を思い出すストームフロントを、ベッカと息子のライアンのもとに連れていく。ストームフロントはライアンを「自然に生まれた最初のスーパーヒーロー」と称賛し、ホームランダーは三人が家族になるために頻繁に通うことを宣言する。

ホームランダーがベッカとライアンに手を出せない理由は、何かあったときにベッカはホームランダーを非難し、ホームランダーがライアンに生涯憎まれるように差し向けると宣言しているからだ。家族愛に飢えたホームランダーは実の息子に嫌われることに耐えられない。だが、ストームフロントがライアンの母になれば話は変わる。ホームランダーはベッカからライアンを奪おうとしているのだ。

ホームランダーとストームフロントは、ライアンを映画やテーマパークを餌に、言葉巧みにライアンを誘惑する。ベッカは「あなたと違う子ども時代をあの子に与えて」と涙ながらにホームランダーに頼み込むが、ホームランダーはライアンがヴォートの施設に囚われていた事実を教え、母子を分断する。ライアンにベッカを憎ませる作戦をまんまと成功させたのだ。ヘイトの矢印を母親に向ける、ホームランダーらしいやり口だ。

グレイスはMMと共にホームランダーを生み出した張本人であるヴォーゲルバウム博士に会いに来ていた。公聴会での証言を求めるが、博士は「正義よりも大事なものがある」と家族を守るために証言を拒否。招致に失敗したグレイスはMMに「私はそうすべきだった」と家族と過ごすよう助言する。

グレイスとMMが去った後、ヴォーゲルバウム博士の元に現れたのはブッチャーだった。ブッチャーは、博士から“調教”されたホームランダーの幼少期について聞き出す。そして、父からも「怪物」と言われ、完全に割り切っているブッチャーは、博士の家族全員を殺すと脅し、証人として公聴会に参加することを認めさせる。グレイスとは違い、ブッチャーは交渉不可能な相手だ。

その頃、Aトレインとディープは共同教会の教祖アレステア・アダナの誕生会に出席。Aトレインはディープに和解の贈り物をおくる。

公聴会にストームフロントの裏切りとヴォートは問題続きで、二人がセブンに復帰できるチャンスがあると、アダナは説明する。一方で、ディープにチャンスを与えたイーグル・ジ・アーチャーは共同教会を追放される。同じ黒人であるAトレインは、アーチャーの追放に複雑な表情を浮かべるのだった。

いよいよ“決戦”の舞台に

ヒューイとランプライターは、セブン・タワーに忍び込む。セブンの像の前まできたところで、なんとランプライターは焼身自殺してしまう。緊急事態のランプが点灯したことで光の力を得たアニーは、パワーを使って脱出に成功する。しかし、そこに現れたのは、またしてもブラック・ノワールだった。

圧倒的な戦闘力を見せつけるブラック・ノワールだったが、この絶体絶命のピンチを救ったのはクイーン・メイヴだ。ナッツアレルギーのブラック・ノワールにアーモンド・ジョイ (お菓子) を食べさせて倒してしまう。メイヴは、過去にホームランダーに反対できなかったことが理由で、恋人のエレナを失ってしまっていた。

このシーンについて、アフターショー『Prime Rewind:「ザ・ボーイズ」の裏側』では、シーズン1でメイヴがスターライトに対して「犠牲はつきもの」という態度を示してきたが、ここに来て「その犠牲は誤りだった」と気づいたということが指摘されている。

ヒューイはランプライターの手をちぎって持ち運び、指紋承認を突破、アニーの母を救う。エピソード6でアニーが語った通り、ヒューイはやはり人のことを見捨てない。ヒューイは公聴会の証人であるランプライターを焼身自殺させてしまったが、アニーの命を救った。一方で、前回アニーと和解したブッチャーは、持ち前のモンスター気質を生かして博士を証人に。歯車が噛み合い始める。

そしてブッチャーは、再び母親と面会する。ブッチャーの母は、父の弱った姿を見せるのが目的だったと弁明。「彼の支配は終わった」とブッチャーに告げて、その場を去る。

場面はいよいよ公聴会に。ニューマン議員が呼び出した証人は、もちろんヴォート社の元科学部門責任者 (CSO)、ジョナ・フォーゲルバウムだ。公聴会が始まるが、ここでまたもまさかの展開に。公聴会に出席している人々の頭が爆発し始めるのだ。フォーゲルバウム博士の頭も爆発飛散し、現場はパニックに。人々は逃げ惑うが、次々と参加者の頭が爆発していく。

またしても衝撃のラストを迎えたエピソード7。パニックの中で見落とされがちだが、ブッチャーは父の支配が終わったと告げられ、ホームランダーは、幼少期の苦難を押し付けたフォーゲルバウムの存在を失った。“父”の呪縛から解放されつつある二人の物語は、シーズン2最終話で、どのような決着を見せるのだろうか。

『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード7「発火」で流れた音楽

Jon Batiste「What A Wonderful World」

『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード7の冒頭、コンビニ店員を射殺する男の物語のバックで流れているのはJon Batisteが歌う「What A Wonderful World」(2018)。

元の曲は1967年にルイ・アームストロングが発表した「この素晴らしき世界」で、Jon Batisteによるカバー曲はアルバム『Hollywood Africans』に収録されている。「なんて素晴らしい世界なんだ」とこの世界の美しさを歌っているが、元々は泥沼化するベトナム戦争を嘆く曲として書かれたものだ。『ザ・ボーイズ』でも残酷な現実を描きつつ、この曲が使用されている。

KC and The Sunshine Band「That’s the Way (I Like It)」

共同教会の誕生会で流れている曲は、日本でもお馴染みのKC and The Sunshine Band「That’s the Way (I Like It)」(1975)。マイアミ・ソウルの代表的な曲として知られる。こちらはベトナム戦争終戦の年に大ヒットした楽曲だ。

スターライト「You’ll Never Truly Vanish」

シーズン2エピソード7のエンディング曲は、エピソード1で披露されたスターライトが歌う「You’ll Never Truly Vanish」。初めて曲の字幕付きでエンディングが流れている。「我らのヒーロー、永遠に」と歌われているトランスルーセントへの追悼歌だ。

遂に最終回を迎えてしまう『ザ・ボーイズ』シーズン2。最終話では、一体どんな展開が待ち受けているのだろうか。

『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード8「知っていること」のあらすじ&解説は以下の記事から。

『ザ・ボーイズ』シーズン2は、Amazonプライムビデオで10月9日まで毎週金曜日に更新。

各話の裏側が語られるアフターショー『Prime Rewind:「ザ・ボーイズ」の裏側』も同時公開中。

原作コミックの日本語版はG-NOVELSより発売中。

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齋藤 隼飛

1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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