遂に激突「ゴジラvsタイタンX」
最終章に入った『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2。そして、第8話となる「それぞれの道」では、シーズン2最大の怪獣であるタイタンXと怪獣王であるゴジラの決戦の火ぶたが切って落とされた。その戦いは怪獣ファンとして胸躍るものだったが、よく観ていくと、ある名作怪獣映画を再現していることがわかる。
本記事では『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」で描かれたゴジラvsタイタンXの戦いについて解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容は『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」ネタバレ解説&考察
タイタンX、オーストラリア上陸
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」はこれまでの伏線が回収され、ゴジラとタイタンXが衝突するエピソードだと言える。その伏線を回収して描きたかったものとは何か。それは『モスラ対ゴジラ』(1964)のモンスターヴァース版のオマージュではないだろうか。
すべてはタイタンXがオーストラリアに上陸することからはじまった――その報せは怪獣に関わるすべての人々を動かした。リー・ショウ大佐は、鈴木博士の開発した怪獣電話を車に積み、タイタンXが上陸した砂丘へと駆ける。
そこで彼が目にしたのはエイペックス社のシナプス・リンクを解除する際に切断した足を再生させながら、眷属スカラベたちに巣のようなものを作らせるタイタンXの姿であった。砂にまみれ、粘った触手を蠢かせるタイタンXの姿は巨大なタコのようだ。
「ゴジラ」シリーズにおいて、巨大なタコは重要な意味を持つ存在だ。もともと『ゴジラ』(1954)は企画段階で大ダコで、特技監督である円谷英二は巨大なタコにこだわっている。本作はオマージュが多い作品であり、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』 シーズン1第6話「恐ろしい奇跡」では、ゴジラの出現シーンの中でも非常に珍しい『モスラ対ゴジラ』での土の中から登場するゴジラの演出もあった。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」では怪獣オマージュが全開だ。
ゴジラが意味する“原爆の罪”
混乱するMONARCH。その対処に追われるバリス長官のもとに、国防長官からオーストラリアが怪獣防衛協定の履行を求めているという報告が入る。それは単にアメリカ合衆国がオーストラリアと軍事的に手を組むことを意味しているのではない。国防長官はにやにやと笑いながら、熱核兵器の使用について言及するのだった。
MONARCHは創設メンバーであるケイコ・ミウラから脈々と受け継がれてきたレガシーがある。それは原爆とはどのような状況でも、どのような言葉で着飾っても、人類の生んだ最悪の罪でしかないということだ。
このレガシーは日和見に見えたバリス長官にもしっかりと受け継がれており、彼はビキニ環礁での核実験によるゴジラ討伐の失敗を例に挙げ、熱核兵器の使用に反対している。死の灰の恐怖を論理的に訴えかけるバリス長官だったが、核の光に絶対的な自信を持つアメリカ国民を象徴したような国防長官には響かない。
それどころか、国防長官は“あれ”と呼ばれるさらなる兵器の使用にも言及している。バリス長官が使用することを恐れ、威力も未知数と呼ぶ“あれ”とは、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で使用されたオキシジェンデストロイヤーだと考察できる。
マイケル・ドハティ監督はオキシジェンデストロイヤーを「自然を否定する核兵器と同じ脅威」と位置付けている。怪獣同士は本能で衝突するのに対し、人類は何でも核で解決しようとするという人類の短絡的な考え方を描いていると考察できる。
このことから、MONARCHの芹沢猪四郎博士たちはこれまで、怪獣災害にかこつけて原爆使用を試みる人々を止めるため奔走していたことが考察できる。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン第8話「それぞれの道」とは、怪獣災害を止めるだけではなく、人類の負のレガシーに向き合ってきた人々が歩むドロローサへの道を意味しているのかもしれない。
タイムリミットは3時間
核ミサイル搭載の20隻からなる艦隊が迫る一方、タイタンXはゴジラが放射熱線を吐くときと似たシグナルを出しながらも動かない。人類が熱核兵器で死の灰を降らせるのが先か、タイタンXが行動を起こすのが先か。バリス長官はケイコたちの説得を受け、艦隊が到着する3時間後までに、ケイトがタイタンXと対話して海遊ルートに戻す“賭け”に乗る。
その頃、メイはMONARCHの資産管理部に拘束しているブレンダ・ホランドの尋問を試みる。彼女はイザベル・シモンズがこのタイミングでケンタロウと接触したのには、裏で糸を引く存在――おそらくエイペックス社の巨大な陰謀があると考えていたのだ。
核ミサイル発射が刻一刻と迫る中、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン第8話「それぞれの道」では、皆で原爆の再来を防ぐために動く。そして、リーが動かしている怪獣電話に呼応するように、怪獣の王・ゴジラもまた、南太平洋海底の某所で目覚め、オーストラリアへと泳ぎ出すのだった。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」ラストネタバレ解説&考察
エイペックス社の真の計画
MONARCHの資産管理部――実質的には情報部門の隔離施設の一種に拘束されているブレンダ・ホランド。メイはホランドが提示した天下りの条件としてシナプス・リンクでタイタンXをコントロールできなかったことを、すべて彼女のスタンドプレーとして罪を被ることではないかと睨んでいたのだ。
当初こそホランドはスタンドプレーだったと言い張っていったが、イザベル・シモンズが今回の計画に関わっていると知ると目つきが変わる。ケンタロウはイザベルもエイペックス社を恨み、養父であるウォルター・シモンズの資産を奪ってG-Dayの無い世界をつくることだと解説している。
しかし、それには大きな嘘が隠されていた。オーストラリアに上陸したタイタンXの目的は人類への攻撃でも、縄張りを広げることでもない。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン第8話「それぞれの道」でのタイタンXの行動目的とは、眷属スカラベに卵鞘をつくらせ、そこで産卵することだった。
そして、エイペックス社はケンタロウから随時情報を得ており、タイタンXが産卵に成功したことを知ると、その卵を奪取するためにジェイソン・トリソップ率いる部隊を派遣したのだった。トリソップはホランドの直属の部下だった男だ。つまり、怪獣を利用した計画のためにタイタンXと交信を試みていたのは最初からイザベルだったと考察できる。
ゴジラvsタイタンX
リーの怪獣電話によるものか、それとも海遊ルートを外れて自身の縄張りでタイタンXが産卵し始めたことに感づいたのか。どちらにせよ『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』以前のゴジラは怪獣の王だからこそ、自分の縄張りにもう一体支配者が現れることを許さない。
自身の縄張りを侵されたと怒りに燃えるゴジラと、卵を奪われて怒りに燃えるタイタンX同士が激しく衝突し、二大怪獣がオーストラリアで戦う。その迫力ある映像は映画並みで、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」の最大の山場だ。
ゴジラの身体に触手を巻き付かせるタイタンXと、足元に人間がいても容赦なく放射熱線を吐くゴジラ。怪獣プロレスという言葉があるが、この戦いは着ぐるみでは不可能なシルエットをしているタイタンXの良さを活かしたものだ。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」ネタバレ感想
モンスターヴァース版『モスラ対ゴジラ』か?
砂丘に現われた巨大怪獣の卵、卵を奪う巨大企業、卵から生まれる怪獣に引き寄せられるように現れたゴジラ、そして怪獣と対話できる女性――「ゴジラ」シリーズファンなら、この展開に見覚えがあることだろう。この流れは「ゴジラ」シリーズの中でも傑作と呼ばれる『モスラ対ゴジラ』に酷似している。
おそらく、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」では「モンスターヴァース版での『モスラ対ゴジラ』をする」オマージュがあったと考察できる。そう考えるとゴジラを触手で拘束するのもモスラが繭糸でゴジラを絡めて動きを封じるのに似ている。
また、『モスラ対ゴジラ』は名怪獣であるモスラ(成虫・幼虫)とゴジラの戦いだけではなく、その裏で蠢く世相批判も魅力的な作品だ。そこではモスラの卵を使って利益を上げようとする興行会社を中心とした観光開発ブームや新聞の第三権力化が描かれている。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2では、それがテック長者による行政への介入という形で描かれている。『モスラ対ゴジラ』におけるハッピー興行社の熊山社長や、興行界を裏で操る実業家の虎畑次郎の立ち位置として、エイペックス社CEOのウォルター・シモンズとその娘であるイザベル・シモンズが登場したと考察できる。
ケイコ・ミウラの居場所とは
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」で注目されたのが、ケイコ・ミウラの居場所だ。彼女は1959年にカザフスタンの原子力発電所跡地で失踪し、そして2017年に地上世界に帰ってきたという浦島太郎のような人物だ。
ケイコは1950年代の頃からアメリカで日系女性が活躍する場所がなく、自分の経験も知識も発揮できないことに歯がゆさを感じていた。そこに急激な時代の変化が加わったことで、彼女の「私はどこにいればいいの」という台詞に繋がったと考察できる。
多くの人々がケイコを再び失うことを過度に恐れた結果、ケイコは時間からも、愛した人々からも、すべてから置いてかれてしまった存在になってしまった。だが、彼女の持つ知識と経験はタイタンXの問題を解決するための重要なレガシーだ。
しかし、ケイコ・ミウラはMONARCHの創設メンバーの一人であり、我々が知る限り最も優秀な科学者の一人だと言えるだろう。彼女ならば、自分で居場所を切り拓き、核使用を止められなかったMONARCHを再建できるかもしれない。
最終章に向けて、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2が『モスラ対ゴジラ』という往年の名作怪獣映画の壮大なオマージュと現代的な解釈であることが明らかになった第8話「それぞれの道」。残り2話というところで、モンスターヴァースが出す『モスラ対ゴジラ』の答えとは何か。注目していきたい。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第8話「それぞれの道」は2026年4月17日(金)よりApple TV+より配信開始
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話のネタバレ解説&感想はこちらから。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第2話のネタバレ解説&感想はこちらから。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話のネタバレ解説&感想はこちらから。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第4話のネタバレ解説&感想はこちらから。
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『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第6話のネタバレ解説&感想はこちらから。
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モンスター・ヴァースの年表はこちらから。
