髑髏島の王・コングvs偉大なる海の神・タイタンX
怪獣の王・ゴジラに匹敵する大怪獣・タイタンXを巡る戦いと冒険を描いてきた『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2。その物語が第10話「帰る場所」で最終回を迎える。
タイタンXを本来の生息地に戻すべきか、それとも怪獣同士で戦わせるのか。意見はそれぞれ分かれ、MONARCHとエイペックス社、そしてイザベル・シモンズ一派の三つ巴の争いが繰り広げられた。
しかし、すべては人間というちっぽけな存在の話。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」は怪獣による衝撃のラストを見せつけてくる。
本記事は視聴者の想像を超えてきた『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」について解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容は『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」ネタバレ解説&考察
失われた時間と失いたくない未来
これまでケイコ・ミウラは、ビル・ランダが息子であるヒロシを捨て、研究に取り憑かれて死んでいったと思っていた。しかし、真実は異なる。ビルは失踪したケイコを世界軸〈アクシス・ムンディ〉から連れ帰り、家族の再会を夢見ていたのだ。
1962年に砂時計〈アワーグラス〉作戦に参加したリー・ショウ少佐は、ビルからケイコのことを託されていた。そして、偶然にも彼は裂け目による時間の歪みで未来の自分――リー・ショウ大佐と交信。そこでケイコ存命を知るものの、時間軸を守るために単独で帰還する道を選んだ。
現在のリーが過去のリーにケイコを置いて世界軸から脱出するように命じたことを知ったケイコは当然激昂する。それもそのはず、彼女は世界軸に落ちたことでヒロシと過ごす貴重な時間を失い、そして母親生存の可能性に囚われたヒロシは最終的に命を落とすことになった。
しかし、それでも現在のリーは過去を変えるべきではなかったと考えている。なぜならばケイトとケンタロウに出会ったからだ。ヒロシは母親と父親を失った後、娘と息子を持ち、2人はリーと共に冒険し、2人は孫とも言える存在になった。だが、時間軸を変えてしまえば2人の存在は消えてしまうかもしれない。
この判断はリーにとっても重たいものだった。真実を知れば最愛の女性から軽蔑されることはわかっている。そして、リーは単独で世界軸から帰還後、2015年まで老人ホームという名のMONARCHの収容所に囚われることになる。それでもリーは愛するケイトとケンタロウを失うぐらいなら泥にまみれ、罪深い行為に手を染めることを選んだ。
愛する息子との時間が失われたケイコと、愛する家族との未来を失わせたくなかったリー。2人ともこれが家族愛からくるものだとわかっている。だからこそ、胸が苦しくなる。この家族愛が『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」最大のテーマだと言えるだろう。
イザベル・シモンズ一派の実態
これまで、MONARCH関係者はイザベル・シモンズの計画がすべてエイペックス社の差し金だと睨んでいた。しかし、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」では、それが違っていたことが証明される。
イザベルはエイペックス社のCEOのウォルター・シモンズに今回の計画が知られたら揉み消されると危惧している。イザベルは完全な第三勢力であり、イザベル・シモンズ一派は彼女の計画に賛同した科学者たちが集まった組織だったのだ。
彼女の部下たちはティムとメイ、そしてMONARCHの隊員2名に軽々と制圧されるほどで、イザベルも簡単にパニックを起こすなど組織としては甘いところがあるイザベル・シモンズ一派。
あくまでも、科学者や学生の集まりの延長線上の存在でしかないのだ。現時点では、父親をよみがえらせることに執着しているケンタロウが一番“覚悟”が決まった人物だと言えるだろう。
コングvsタイタンX
卵を奪われた上、メイのシナプス・リンクを改造したものにより興奮状態に陥ったタイタンX。そして、自らの縄張りである髑髏島を侵されたことに激昂するコング。二大怪獣の衝突は避けられるはずもなく、巨大怪獣同士の殴り合いが始まった。
映画並みのスケールで描かれるコングとタイタンXの戦いは、まさしく神話そのものだ。イーウィス族の守護神であるコングとサンダ・ソレダドで偉大なる海の神・コカイとして崇められるタイタンX。その拳は山をも砕き、触手の一振りで大地が抉れる。
人間によって起こされた怪獣同士、いや神々の戦い。その幕引きは人間の計画など凌駕していた。タイタンXは母性本能でシナプス・リンクを打ち破ると卵を奪取し、裂け目へと帰ろうとする。そして、コングはタイタンXが我が子を守ろうとしていただけだと知ると見逃すのだった。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン最終回2第10話「帰る場所」ではリーも、ケイコも、ケイトも、ケンタロウも、怪獣すらも家族愛をもとに動いている。しかし、その方向性が違う故に、親が守った髑髏島の守護神の務めを果たそうとするコングと、母親としての務めを果たそうとするタイタンXのように衝突する。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」ラストネタバレ解説&考察
タイタンX帰還作戦
卵を取り戻したタイタンXだったが、神経をかき乱されたせいで帰るべき裂け目の場所がわからない。リーたちはヘリで誘導しようとするも、怪獣の歌声を流すアンプが壊れてしまう。巨大怪獣を相手にするのだから、その歌声を大きく、制御するアンプへの負荷も大きい。これが解決したのが『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)に登場したオルカだろう。
タイタンXをどのように誘導するのか。その答えはビルの口癖のように神話や伝承――つまりはレガシーの中にある。タイタンXとつながる巫女が導けばいいのだ。現代におけるタイタンXの巫女がケイトであり、両者の間には不思議なつながりがある。
ケイトが祈り応じるように、タイタンXは穏やかな表情で裂け目へと降りていく。別れを惜しむように触手を伸ばして、ケイトの手に触れるタイタンXの姿は荒れ狂う怪獣というよりも穏やかな海の女神のようだ。
過去との別れ
穏やかな表情で帰っていった海の女神・タイタンXは特別なものを残してくれた。それは裂け目の副産物というよりも、神々が人間に施す恩返しのようでもあった。裂け目は過去を映し出し、ケイコと過去のリーを引き合わせたのだ。
このシーンはワイアット・ラッセルとカート・ラッセルの貴重な親子共演であると同時に、これまで過去に囚われてきた人々が区切りをつける場面でもある。ケイコは過去のリーに別れを告げ、リーもまた過去の自分に未来を託す。そうして、2人はビルの遺したレガシーをもとに新たな一歩を踏み出すのだった。
それから6週間後、ヒロシはMONARCHに貢献した一人として慰霊碑に名前が刻まれていた。過去と決別したケイコとケイトに対して、過去に執着するケンタロウとイザベルが新たな敵対勢力として野放しになっている。バリス長官はケンタロウの計画を防ぐためには家族が必要だとし、ケイコとケントを正式なMONARCHのメンバーにするのだった。
『空の大怪獣 ラドン』(1956)に基づく
東宝三大怪獣の復活
再びMONARCHの追跡を逃れたリーはケンタロウとイザベルを追い、タイへと飛んだ。地元の顔役・エイウット曰く、2人は目的のためならば世界が滅んでも良いという勢いだという。そして、リーは2人を追って地元住民が近づかない火山へと向かっていった。
タイのジャングルの火山に居を構えるのは東宝三大怪獣の1体である空の大怪獣ラドンであった。噴火するマグマの中から翼を広げ、咆哮を上げるラドン。そして最後のエンドロールで流れる「“ラドン”に基づく」の文字。これは世界中の怪獣ファンが待ち望んでいたものだろう。
ラドンは東宝三大怪獣の1体でありながら、初登場作品である『空の大怪獣 ラドン』以来、タイトルに名前が載ったことがない。その上、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では偽の王・ギドラに従い、ギドラが破れるとゴジラにひれ伏すというポジションだった。
不遇とも言えるラドンが『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」で、再び日の目を浴びる。しかも、今度はハリウッドのドラマシリーズだ。この展開には皆、鳥肌が立ったことだろう。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』とラドン
東宝は怪獣たちを俳優のように扱っており、簡単に出演させることでキャラクターのイメージが毀損しないように細心の注意を払っている。そのため、映画も含め、モンスターヴァース全体で、東宝の怪獣が出演するのには高いハードルがあった。
しかし、思い返せば『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』には常に『空の大怪獣 ラドン』の影響があったと考察できる。まず、シーズン1で登場した怪獣のイオン・ドラゴンの存在だ。ビルが怪獣を研究するようになったきっかけのイオン・ドラゴンは駆逐艦を持って飛び去ったとされる。
そして『空の大怪獣 ラドン』のキャッチコピーは「空飛ぶ戦艦か! 火口より生れ地球を蹂躙する紅蓮の怪鳥ラドン!」だ。また、映画の前半は阿蘇山炭鉱で人を襲い、最後はラドンの餌となったメガヌロンの恐怖が描かれるが、これも『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』で怪獣は大きいから恐ろしいわけではないとエンドスワーマーを登場させたのを思わせる。
このように、ラドンは大きな影響を与えていた怪獣だったと考察できる。そのラドンが『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」で、とうとう画面に姿を現したのだ。
ラドンは2体いる?
ここで注目すべきはリーが出会ったラドンの生息地だ。ケンタロウとイザベルを追ってタイに行き、そこでリーはラドンと出会ったわけだが、これまで語られてきたモンスターヴァースの歴史ではラドンは1991年にメキシコのイスラ・デ・マーラ火山で発見され、休眠状態のところをMONARCHが管理していた。
そして、2019年の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でギドラの呼び声に応じて目覚めたはずなので、2017年にラドンがタイで活動期だと、映画で語られていた歴史とずれが生じるのである。
これにはいくつかの説があり、一つはタイのラドンはメキシコのラドンと別個体という説である。メキシコのイスラ・デ・マーラ火山のラドンは両親となる個体がそこを巣とし、雛の時代からメキシコで活動していたため、ラドンは複数体いる可能性があり、そのうち一体がタイにいたという考察である。
『空の大怪獣 ラドン』でもラドンは2体登場するので、複数体いてもおかしくないだろう。他にも複数体が確認されている怪獣として、モスラがいる。モスラは精神を共有しているという設定がモンスターヴァースではあるものの、ラドンと同じく繁殖方法が明言されている怪獣だ。東宝怪獣で繁殖方法が明らかにされているラドンなら、タイで繁殖していた設定でもイメージを毀損することはない。
もう一つは、このラドンは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のラドンと同一個体で、ケンタロウとイザベルによる時間軸を動かす何かによって過去のメキシコのイスラ・デ・マーラ火山に移動したという考察だ。没案とされているが、モンスターヴァースのラドンがいる前哨基地56内部にはマヤ風の神殿があり、ラドンが神として君臨していた時代を匂わせている。
どちらにしても、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン1はゴジラ、シーズン2はコングが活躍し、次のシリーズでは空の大怪獣ラドンが物語の中心になるということだ。久しぶりのラドンの活躍から目が離せない。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」ネタバレ感想
家族のいる場所が帰る場所
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」はシーズンを通して描かれた家族愛の集大成だった。怪獣も人間も、家族愛で動き、家族愛故に苦しみ、家族愛がそれを癒した。
そして、タイトルにもなった「帰る場所」とはタイタンXが戻る裂け目という意味と同時に、家族がいれば、そこが帰る場所になるということを意味していたと考えられる。ケイトとケイコは家族のいる場所へと帰り、平穏を得た。
しかし、その一方で父親の喪失を受け入れられないケンタロウは、過去の父親がいるかもしれない世界軸を帰る場所だと考えている。だが、時間軸を書き換える行為はリーからすれば危険極まりない行為だ。帰る場所を探す物語が、シーズン3の鍵となりそうだ。
人間のヴィランたちの台頭?
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」ではイザベル・シモンズたちがエイペックス社の資産や技術を使い、第三勢力として活動している様子が描かれた。更にケンタロウとイザベルの行動についてタイの顔役・エイウットから「世界を滅ぼす」「神になったつもりか」といった旨の発言を受けていた。
そのため、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン3では怪獣と敵対するのではなく、人間のヴィランたちによる世界の危機が描かれる可能性が高いと考察できる。2017年の時点で、モンスターヴァースでは複数の人間たちのヴィランが活動している。
それが『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でギドラを復活させたアラン・ジョナ率いる環境テロリストたち、そして『ゴジラvsコング』(2021)でメカゴジラを生み出したウォルター・シモンズ率いるエイペックス社だ。そこにイザベラ・シモンズ一派が加わり、今後は人間たちの怪獣を巡る戦いが激化すると考察できる。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン3はどうなる?
現時点では『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン3が制作されるかどうかは正式発表されていない。その一方で、シリーズそのものは展開されていくようで、若き日のリー・ショウが主人公のスピンオフが計画されている。
スピンオフ作品は冷戦下を舞台にリー・ショウがソ連の新兵器としての怪獣復活を食い止める物語になるとのことだ。スピンオフ作品でどのような怪獣が登場するのかはわからないが、これまでの『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』ではリーは怪獣に関して他にも何か知っているように描かれており、もしかするとラドンがスピンオフ作品で描かれる予定のソ連の新兵器なのかもしれない。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン3と若き日のリー・ショウによるスピンオフ作品の展開、そしてラドンの登場。更には2027年には『ゴジラxコング:スーパーノヴァ』が公開されるなど、ますます目が離せなくなったモンスターヴァース。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン3の制作に期待したい。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2最終回第10話「帰る場所」は2026年5月1日(金)よりApple TV+にて配信開始
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