ネタバレ解説&感想『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』S2第7話 怪獣総進撃と時間軸を考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&感想『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』S2第7話 怪獣総進撃と時間軸を考察

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過去と現代、2つの時代の融合

ヒロシの死から生まれたケンタロウの不安から生まれたゴジラ東京上陸の悪夢。そして、現代のリー・ショウ大佐と過去のリー・ショウ少佐の通話という衝撃的な展開からはじまる『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」は、時間軸という世界の根底を揺るがす領域に入っていく。

壮年のリーを演じるのはカート・ラッセルで、若い頃のリーを演じるのは彼の息子であるワイアット・ラッセルであるため、待望の親子共演とも言える演出に期待を隠せない。そして、モンスターヴァースに新たに持ち込まれたタイムトラベルにも注目が集まっている。

本記事では『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」の解説と考察、感想を述べていこう。なお、以下の内容には『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」のネタバレが含まれるため、本編視聴後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」の内容に関するネタバレを含みます。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」ネタバレ解説&考察

1962年と2017年の融合

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第6話「レクイエム」は明確に1958年と2017年が別の軸で語られており、解説する上でも分けて表記していた。だが、それは『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」で1962年の砂時計〈アワーグラス〉作戦と2017年の出会いを描く伏線だったのだ。

若き日のリーは15日以上も、世界軸〈アクシス・ムンディ〉を彷徨っていた。極限状態の彼の通信機が拾った電波こそが、壮年のリーと鈴木博士の会話だった。音声だけだが、この場面が『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』でのラッセル親子初共演となる。

鈴木博士の助言で壮年のリーは、若き日の自分が聞きたかった言葉を返す。しかし、若き日のリーがビル・ランダの手助けを求めると、どうしても口籠ってしまう。それもそのはず、砂時計作戦から11年後の1973年にビルは髑髏島に赴き、マザーロングレッグスという怪獣に襲われ死亡したとされているからだ。

怪獣総進撃

壮年のリーは過去の経験を頼りに、若き日の自分を使ってタイタンXに発信機を着けさせる作戦を立てる。砂時計作戦の際のリーは世界軸にいたときゴジラを見なかったらしく、ゴジラを見つけられないのならば、かわりにタイタンXの動きを追えるようにしておこうという腹積もりだ。

しかし、それはもう一つの可能性も示唆していた。それはG-Dayなどゴジラが本格的に活動する前の世界の危険性――東宝風に表現するならば怪獣総進撃が引き起こされる可能性だ。1962年の時点では、まだ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン1で猛威を振るったイオン・ドラゴンはゴジラに倒されていない。ゴジラによる秩序がもたらせる前の世界が広がっているのだ。

それに加えて、砂時計作戦を壊滅に追いやった巨大なムカデの怪獣・エンドペードもいる。エンドペードの幼体は人間大のエンドスウォーマーで、1959年にカザフスタンの原子力発電所跡地に群れとなって出現し、ケイコ・ミウラを世界軸に引き摺り込んだ怪獣だ。

あのときは裂け目が開いて卵もろともすべて世界軸に落ちたが、もし地上に残っていれば巨大なエンドペードが出現していた可能性があると考えると恐ろしい。世界軸の存在は東宝の「ゴジラ」シリーズにおける怪獣島に近いと考えられる。

世界軸には髑髏島のように、あらゆる種類の怪獣が棲息しているのだ。また、『帰ってきたウルトラマン』(1971-1972)のグドンとツインテールのように、イオン・ドラゴンとエンドペードの間に食物連鎖の関係があるのも興味深い。

1959年と2017年の融合

タイタンXが発していた怪獣の歌を解析するケイトとケイコ。その歌の意味についてケイトは、自分の喪失感がタイタンXの怪獣の歌声を迷いやパニックと解釈している理由なのではないかと疑いはじめていた。それでもケイコは自分の孫を信じる。

そして、ケイコはビルの遺した“レガシー”の中に、「日本で複数の女性が妖怪に井戸で取り憑かれた」という記録があったことを語る。その写真の女性たちはアイヌ民族のような服を着ており、彼女たちの証言によると妖怪の声は重く振動するようだったとのこと。ビルは彼女たちを一種の巫女だと考えていた。

九頭龍

ケイコとケイトは車でビルが遺した記録の村に行く。車で行けるということは北海道ではなく、東北のあたりだろうか。その村にある墓碑は女性が叫ぶ顔やつられた人間、触手を持った女性が彫られており、どう見ても日本のものではない。これは『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2で語られていたクトゥルフ神話の世界観に近い。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」において、タイタンXはサンタ・ソレダド以外にも日本の村落とも関わっており、クトゥルフ神話の世界観をモンスターヴァースで拡張していると考察できる。日本風に言えば、九頭龍がタイタンXなのだ。

九頭龍伝承は様々なバージョンが存在し、仏教によって善神になったもの、ヤマトタケルによって倒されたもの、人身御供を求めるものなど多種多様だが、どれも水神である。また、モンスターヴァースでは怪獣をタイタンとし、それを倒したギリシャ神話のオリュンポスの神々は惑星規模の気候変動を指しているとされる。

そのため、海遊ルートに日本も含んでいたタイタンXを消失させた何かを、人々は仏教やヤマトタケルと同一視したのではないだろうか。仏教や日本神道成立以前の信仰がタイタンXへの信仰であり、その源こそ、巫女たちが浸かった井戸だったと考えられる。

怪獣の通訳

ティムはメイを半分誘拐同然に連れてきて、彼女を責め立てる。その気持ちもわからなくはない。ティムはメイに協力を依頼し、彼女にエイペックス社の内情を探るように頼んでいた。しかし、メイはブレンダの作戦に賛同し、怪獣をコントロールしようとしたエイペックス社に協力した。

その結果、タイタンXは暴走してヒロシは死亡。さらに責任者であるはずのウォルター・シモンズはのらりくらりと責任を回避し、今回の一件は部下の勝手な行動として片づけられた。ティムからすれば、信じていたメイに裏切られたことよりも、自分がメイを信じたために友人であるヒロシを死に追いやったという怒りがあるのだろう。

メイもそこには思うところはあり、彼女は残されたタイタンXの肉片の調査に協力する。彼女の開発したシナプス・リンクだが、本来の使用目的は怪獣のコントロールではなく、怪獣の言語を翻訳することにあったと解説した。つまり怪獣翻訳機だ。

「ゴジラ」シリーズでは、怪獣と人類の間に立って通訳する存在――怪獣たちがいる。それはモスラと小美人だ。モスラは『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)でキングギドラから地球を守るため、ゴジラとラドンに共同戦線を持ち掛けることがあった。その際、モスラの巫女とも言うべき小美人を介して、人類と怪獣の通訳している。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」では、ケイコとケイトが調査している妖怪の声を聞いた女性たちという一種の巫女が登場する。そのため、タイタンXとの本来の通訳がケイトのような女性たちであり、それを人工的に再現しようとしたのがメイのシナプス・リンクだったと考察できる。

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ケンタロウとイザベル

ヒロシの死後、荒れる一方のケンタロウはゴジラ東京上陸の悪夢を見るほど、不安に駆られていた。そこで酒場で出会ったイザベル・シモンズを頼り、タイのプーケットに飛ぶ。そこにはエイペックス社CEOのウォルター・シモンズが放棄した自然保護プログラムがあり、イザベルはそれを管理していたのだ。

イザベルはウォルターの実子ではなく、養子であったが、不妊治療の甲斐あって妹のマイアが誕生。イザベルはシモンズ家にとって鼻つまみ者になったことを明かす。彼女が自らケンタロウに接触したのは、彼とケイトの関係が自分に似ていると思ったからであり、エイペックス社を恨む自分の作戦に協力してくれると見込んでのことだった。

彼女は自分たちの手で世界を変えようとケンタロウに提案する。イザベルはMONARCHも、エイペックス社も、人類を怪獣から守れないと語る。そして、その危機を回避するためにウォルター・シモンズの資産を奪うように利用し、信じられない計画を考え付いたというのだ。

ここで興味深いのがイザベルの考え方だ。これまでモンスターヴァースでは怪獣とは大自然そのものであり、共に生きることが人類の生存の唯一の手段であるとしてきた。それはMONARCHも、エイペックス社も同じで、MONARCHの芹沢猪四郎博士は従属に近い関係で、ウォルター・シモンズは怪獣を支配することで共存を試みたのである。

しかし、イザベルは違う。彼女は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)の公聴会の前に現われたデモ隊と同じで、怪獣を始末することで、人類の安全を確保しようとしている。ウォルター・シモンズでさえ、諦めた怪獣の抹殺を実現しようとしているのだ。

しかし、それは正しい選択肢なのだろうか。ゴジラたち怪獣は大自然の守護者でもある。そのような自然を葬り去り、人工物中心の世界にすることは人類の滅亡に加担することではないだろうか。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」ラストネタバレ解説&考察

リー大佐とリー少佐

若き日の自分と対話を重ねる内、壮年のリーは独身を貫いていたが我が子のように愛した子どもたちがいたこと、そしてケイコを深く愛していたことを再認識していく。しかし、それは若き日のリーも同様で、彼は未来の自分と話していると知ると、ケイコと結ばれる世界線を築けるのではないかと考えるようになった。

1959年に失踪したケイコを見つけた1962年のリーは彼女を助けようとするが、2017年のリーは時間軸を変えることでケイコの未来が変わる危険性を教える。そして、彼にとって息子のような存在であるヒロシの未来が変わり、彼の子どもたちであるケイトとケンタロウが誕生しなくなる危険性を教えるのだった。

最愛の女性・ケイコの未来、最愛の我が子・ヒロシの未来。それを天秤にかけたとき、若き日のリーはケイコを救わないという判断を下した。2017年のリーは近い将来と語るが、実際に彼がケイコを救ったのは58年後である。

リーは58年間、ケイトとケンタロウがやってきて、ケイコを救える未来が到来することを信じ続けていたのだ。そして現代のリーは過去の自分から未来を託されると、死を覚悟して任務に挑む。

祖母・ケイコと孫・ケイト

時を同じくして、ケイトは1959年にケイコがカザフスタンでしたのと同じように井戸に自ら入ることを提案する。それをケイコは止めようとするが、ケイトは彼女がカザフスタンでしたことは間違いではなかったと言い、井戸へと入っていく。

井戸の底は海へと繋がっており、怪獣の歌声を増幅させる自然が生んだ怪獣電話のようなものになっていた。このような存在はサンダ・ソレダドにもあり、タイタンXの世界各地の海遊ルートには怪獣の歌声を増幅し、タイタンXと繋がることができたと考えられる。

イーウィス族もそうだが、モンスターヴァースにおける怪獣との通訳――巫女のような人類が、怪獣ごとに存在していたと考察できる。だが、怪獣の歌声を聴くのはそう簡単なことではない。そのため、怪獣の歌声を増幅する何かが必要であり、それが世界各地に宗教の聖地として遺っていたのだと考察できる。これも一種のレガシーだ。

G-Dayの存在しない世界線

リーたちはゴジラという怪獣の王によってタイタンXの脅威を排除し、人類の平和を得ようと考えていた。一方、ケイトたちはタイタンXを本来の生息地にもどすことで大自然のバランスを戻そうとしていた。しかし、イザベルの考えはその発想をすべて凌駕する。

イザベルの作戦――それは世界軸における時間の歪みを利用し、G-Dayの存在しない世界を生み出すという「タイムラインを書き換えてしまおう」というものだった。ケンタロウもその作戦に誘われるが、まだ答えは出していない。しかし、ゴジラ東京上陸の悪夢を見るほど悩んでいる彼なら、乗りかねない状況だ。

その上、リーが過去の自分を利用して休眠状態のタイタンXに発信機をつけることで、2017年の世界に変化が生じてMONARCHがタイタンXの存在をキャッチするという事態が発生している。つまり過去の改変で未来を書き換えることが可能なのは証明済みなのだ

彼女はこれを利用し、ゴジラの出現そのものを無かったことにしてしまおうという作戦を立てていた。しかし、時間とは簡単に書き換えることが可能なものだろうか。『ゴジラvsキングギドラ』(1991)では未来人がゴジラの存在を消すため、過去に戻り、ビキニ環礁の核実験でゴジラに変異するはずだったゴジラザウルスを別の場所に移動させた。

 

だが、未来人の目的はゴジラ抹殺ではなく、ゴジラに変わるコントロール可能な怪獣を生み出すことであり、キングギドラが誕生してゴジラの代わりに怪獣災害を引き起こした。これはタイムパラドックスなどの時間の修正力の一種だと考察でき、そもそも怪獣災害が起きなければ過去へ移動する理由が発生しないため、かならず怪獣は誕生するのではないだろうか。

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つまり、イザベルがG-Dayを回避する時間軸を生み出したとしても、彼女が時間軸を操るきっかけになったG-Dayに近い怪獣災害は必ず起こる可能性があるのだ。もしかするとゴジラがG-Dayを起こさない代わりにタイタンXがその役割を務め、モンスターヴァースは映画本編の世界と『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」以降の世界の2つの世界線が誕生することになるかもしれない。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」ネタバレ感想

点と点がつながり線――ひもになる

これまでは2010年代と1950年代という2つの物語が同時に進んでいたが、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」では、その物語が文字通り融合しはじめた。そして、これまで点でしかなかったモンスターヴァースの事件が一つの線――ある種のひもとしてつながりはじめたのである。

そして、タイタンXを前にバラバラになった家族は再び集まる。リーたちはゴジラによるタイタンX討伐、ケイトたちはタイタンXをいるべき場所に戻す、そしてケンタロウたちはG-Dayそのものを消す。それぞれタイタンXをどのようにすべきなのかという考え方は違う。しかし、彼らが集まったとき、物語は終局へと動き出す。

アンバー・ミッドサンダー演じるイザベル

タイムラインそのものを書き換え、G-Dayのない世界線を生み出そうとするイザベル・シモンズ。これまでのモンスターヴァースには存在しなかった大胆な発想で物語を動かす彼女だが、演じているアンバー・ミッドサンダーにも注目だ。

アンバー・ミッドサンダーは『プレデター:ザ・プレイ』で主人公のナルを演じて注目を集め、彼女自身ハンクパパ・ ラコタ族、シセトン・ ダコタ族、サヒヤイェスカビ・アッシニボイン族の血を引いている。また、母方の祖母はタイ系中国人であり、それもイザベルがタイのプーケットに本拠地を置いている設定に繋がっていると思われる。

ウォルター・シモンズの娘でありながら、養子として彼の資産を狙い、それによる世界そのものを変えるという理想家にして野心家という設定はアンバー・ミッドサンダーの演技力が光るポイントだろう。ドラマにして豪華キャストが揃っていく『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2。今後の登場キャストにも注目だ。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第7話「ひも理論」は2026年4月10日(金)よりApple TV+にて配信開始

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』配信ページ

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第1話のネタバレ解説&感想はこちらから。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第2話のネタバレ解説&感想はこちらから。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第3話のネタバレ解説&感想はこちらから。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第4話のネタバレ解説&感想はこちらから。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第5話のネタバレ解説&感想はこちらから。

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『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』シーズン2第9話のネタバレ解説&感想はこちらから。

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モンスター・ヴァースの年表はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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