第2話ネタバレ解説『スター・ウォーズ:アコライト』ジェダイ全盛の時代のサスペンス劇場 考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

第2話ネタバレ解説『スター・ウォーズ:アコライト』ジェダイ全盛の時代のサスペンス劇場 考察&感想

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『スター・ウォーズ:アコライト』第2話配信開始

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』は、「スター・ウォーズ」ドラマ最新作。実写作品としては初めて『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999) より前の時代を舞台とした作品だ。

ドラマ『アコライト』の舞台は、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999) の100年前に設定されている。帝国の成立、そしてジェダイ・オーダーの崩壊から遡ること100年前に起きた事件が、元ジェダイのオーシャとジェダイ・マスターのソル達と共に描かれていく。

今回は、第1話と同時配信された『アコライト』第2話をネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容は本編のネタバレを含むので、必ずディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第2話の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第2話「復讐/正義」ネタバレ解説

メイと子どもたち

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第2話の冒頭で登場するのはオレガという惑星。シリーズ初登場の場所だ。ここにある地元のジェダイ聖堂を狙っていたのは、前回マスター・インダーラを殺害したメイだった。メイは子どもを使って聖堂に侵入し、その子どもに報酬をあげているのだが、第1話の冒頭でも物乞いをしている子どもにジェダイの居場所を聞き、報酬を与えていた。第2話冒頭の子どもも裕福そうには見えず、ゴミから物を拾ってもいる。メイには、孤児や貧困層にいる子どもに対する思い入れがあるものと考えられる。

聖堂にいたのはマスター・トービンで、メイは前回と同じく、自分に攻撃してくるよう要求する。ジェダイ・マスターが自分から攻撃し、反撃されて殺された、というストーリーが必要なのかもしれない。ただ暗殺されるよりも、その方がジェダイの信頼を失墜させることができる。

ところが坐禅を組んだマスター・トービンは微動だにせず、メイが攻撃しても見えない壁に守られているかのように攻撃が止められてしまう。侵入がバレたメイは、なす術なく逃走するのだった。さすがはジェダイ全盛の時代、こんな地方にも強者がいるものだ。様々なジェダイ・マスターを見れるのも『アコライト』の魅力の一つである。

メイとオーシャのマスターたち

オーシャはジェキ・ロンと話している。ソルの新旧弟子同士だ。オーシャは船外修理を生業にしているという話をしているが、その仕事は本来アストロメク・ドロイドの仕事だ。それでも、オーシャは「友好的で柔軟」という強みを強調しており、テクノロジーに仕事を奪われない仕事人の生き様を見せている。

ヨード・ファンダーはオーシャを拘束するようソルに提案するが、ソルはこれを拒否。6年間訓練を受けていないオーシャにマスターのインダーラは殺せないという意見は説得力がある。それでもヨードは双子の共犯説を主張。これに対してソルは、ヨードが恐怖に負けそうになっていると指摘するのだった。ソルさん、非常に聡明なマスターである。

ソルの報告を聞いたヴァーネストラ・ロウは、意外にも双子説を支持する。というのも、オーシャの身柄を確保している中でメイによるオレガの聖堂襲撃未遂が起きたからだ。オレガという場所の名前を聞いたソルは微妙な表情を浮かべている。メイが意図を持って場所を選んでいること、ソルがそれに気づいていることが示唆されている。

ヴァーネストラはソルにオーシャらと共にオレガへ行くよう指示。『アコライト』でも、事件を追って銀河を巡るという「スター・ウォーズ」シリーズのフォーマットが踏襲されているようだ。

メイはカイミールという共謀者と合流。調達屋でもあるようだ。メイはトービンを殺すため、“ブンタ”という毒で武器を作るよう依頼。メイは、残りの標的はトービン以外に2人おり、どちらかを丸腰で殺せばマスターは満足すると話している。やはりメイのマスターは、前回のインダーラ殺しでメイが武器を使ったことを良く思っていなかったようだ。確かに冒頭でメイはトービンに対して素手で挑み、攻撃できないと分かった上で武器を取り出していた。

ちなみにこのシーンでカイミールは「寝ている坊主よりウーキーの方が手強い」と、標的のジェダイマスターの一人がウーキー族であることを示唆している。さらにカイミールは、ジェダイ・オーダーもトービンも平穏を得た気になっているだけで、それは偽りだとヒントを与えつつ、毒を作ってくれる。アルコール依存症っぽいが、なかなかやり手ではあるようだ。

こうして第2話はオーシャとメイのストーリーが交互に挿入されていくことになる。メイはマスターを満足させるために、オーシャは自分を追ってきたマスターに付き合ってクエストに乗り出すのだ。

アコライト サスペンス劇場

その頃オーシャはコープセクで入れたというタトゥーについてソルから聞かれていた。コープセクというのはコーポレート・セクターの略で、企業が縄張りとする宙域だ。「気に入らないよね?」と聞かれたソルは「私が気にいるかどうかはどうでもいい」と、正しい答えを返してみせる。よくできたお師匠さんだ。

ソルは、メイが生き延びていたことについて、二人とも助けたかったと想いを吐露すると、過去には折り合いをつけたこと、オーシャに喪失を受け入れるよう教えたがオーシャにはそれができなかったことが示唆される。それでも、ソルは教え方が悪かったと自分の非を受け入れる。こんなジェダイマスターはそうそういない……。

ソル達はオレガに着くが、メイはすでにトービンの元に舞い戻っていた。メイはトービンが“バラシュの誓い”を立てたことを指摘する。バラシュの誓いは、コミック『スター・ウォーズ:シスの暗黒卿 帝国の爪牙』(2017, 日本語版は2019) で言及されたもので、一切のジェダイ・オーダーの活動から身を引き、フォース以外の全てから距離を置く苦行のことだ。コミックの「ハイ・リパブリック」シリーズでも描写されている。

メイはトービンに、「ジェダイ評議会に罪を話すか、自分から罪の赦しを得るか」の二択を迫り、毒を足元に置く。トービンは目をひらき、浮かせていた身体を着地させると、「正義だと思っていた」と懺悔して毒を飲むのだった。もしや“ブレンドクの火災”での悲劇にジェダイが関わっていたのだろうか。

自分の名を呼ぶ声を聞いて単独行動に出たオーシャは、ソル達よりも早くトービンの遺体に行き着いてしまう。やたらとややこしいことになるものだ。もちろん後から一行から疑われるのだが、意外にもヨードがオーシャを見張っており、無実を証言してくれた。トービンが自ら毒を飲んだこと、この毒がブンタと呼ばれるオーシャとメイの故郷で採れるものであることが発覚し、アコライト サスペンス劇場は進行していく。

ジェダイ全盛の戦い方

ブンタの特性から毒は近くで作られたはずだと考え、薬局へ。店主が別の人物(カイミール)になっていることを聖堂の者から聞き、オーシャがメイのフリをしてカイミールに接触するというジェキのプランが採用される。

ソルの直属のパダワンであるジェキと、その中間にいるナイトのヨードによるポイント争いも見どころだ。ソル・ジェキ・ヨードの三世代の関係は、ヨードが精神的に幼いことと、ヨードと同世代のオーシャというアウトサイダーの存在によって、クワイ=ガン・オビ=ワン・アナキンの関係よりもダイナミックになっている。

カイミールはメイを装ったオーシャに、毒を渡したこと、毒を使わずに殺したとすれば「彼が大喜びするぞ」という言葉をかけてしまう。この会話はソル達に盗聴および録音されており、毒とメイのマスターの存在に関する証拠を掴まれてしまうことに。

カイミールはジェダイ達に取り囲まれるのだが、この場面、ジェダイ全盛の感じがよく出ている。ジェダイ側の人手が余っているくらいの数的優位が演出されており、ジェダイという組織自体が正面から倒せる相手ではないという時代背景が示されている。

尋問されるカイミールは、過去にハットに銃を売っていたが、今はメイらの超達屋をやっていると話す。オーシャと同じく特定の雇い主を持たない個人事業主ということだろう。カイミールはマスターのことはよく知らないとした上で、メイが4人のジェダイを狙っていると話す。ソルとオーシャはこの言葉で何かを察したようだ。一行はメイが店に戻ってくる夜を待つことにする。

誰を信じるか

待ち伏せをするヨードは「罠だったらどうする?」と、やはり恐怖心の強さを見せている。ソルがメイと対峙しようとする一方、オーシャはメイが家族を殺したとして自分が対峙すると主張している。復讐心を燃やすオーシャを嗜めるソルを、オーシャは「あなたはマスターじゃない」と突き放す。

かつての師弟が過去の亡霊を追うという設定は、『アソーカ』と重なる部分もあるが、二人の関係はなんだかアソーカ達よりも厄介な感じがある。その根っこには“復讐”というキーワードがあることは間違いないだろう。

正義を求めるというオーシャにソルは「それは復讐だ」と指摘するが、そのソルもメイを救えなかった過去の自分へのリベンジを誓っているように見える。するとオーシャは、メイが標的としてる4人のジェダイとは、16年前にメイの故郷であるブレンドクにいた4人だと話す。その4人とは、すでに殺されたインダーラとトービンに加え、ケルナッカというジェダイとソルだという。

次はソルが殺されると話すオーシャに対し、ソルは「メイを信じろ」「でなければ私を信じろ」と語りかける。これは第1話のラストでオーシャがソルに「私を信じて」と語りかけたことを踏襲しており、ソルはオーシャに「君を信じる」と声をかけていた。サスペンス展開が続く『アコライト』では、誰が誰を信じられるかということが物語のポイントになりそうだ。

マスターの正体は…

戻ってきたメイとソルが対峙。ソルの初めてのアクションシーンが描かれる。ソルは相当な腕の持ち主でメイは敵わず、ソルは誰がマスターなのかと問いただす。答えないメイに対してソルはフォースの力でメイの心を読む。しかし、メイのマスターはメイにさえその正体を明かしておらず、ソルは正体を掴むことはできなかった。

正体を隠しているということは、ダース・シディアス=パルパティーンのように味方の中にシス卿が紛れ込んでいる可能性はある。パルパティーンはジェダイではなかったが、弟子のドゥークーやアナキンはジェダイとして訓練を受けることで力をつけることができた。一方、メイはジェダイではないため、その戦闘スキルはマスターから教わったものと考えられる。つまり、マスターは強力なフォースと戦闘スキルを持っている人物ということになり、現役のジェダイマスターである可能性が浮上する。

それはさておき、メイの心を読んだソルは、メイが妹のオーシャのことを今も思っていることも読み取る。しかし、メイはオーシャが既に死んだと考えていた。オーシャもメイも互いが死んだと思っていたのだ。オーシャは生きていると告げたソルのことを信じないメイに対し、ヨードが「本当だ」と証言。オーシャの無実を証言したシーンに続き、ヨード、証言者としては非常に有能だ。

メイは投稿を要請されるが、フォースで砂埃を巻き上げて逃走。第1話に続いてとっても忍者っぽい戦い方だ。メイを追うオーシャはスピーダーで逃げようとするメイと出くわし、『アコライト』では初めて二人が出会うことに。オーシャはメイにブラスターを向けるが、これは殺傷力のないスタンブラスターだ。それもおそらく、オーシャには微妙な感情があり、わざと外したものと思われる(外れすぎなので)。

マスター・ヴァーネストラはソルを一旦コルサントへと呼び戻す。ソルはメイが行く宛は分かっていると話しているが、これは標的の4人のジェダイのうち、生き残っているのが自分以外にケルナッカしかいないからだ。しかし、ヴァーネストラは犯人がよそ者であることから戦略を練らなければならないとして撤収を指示。議論の重要性を強調している。ちょっと怪しくない?

ラストで登場したのは?

メイと合流したカイミールは、標的のジェダイであるケルナッカがいる惑星コーファーへ。コーファーの森ではウーキーのジェダイが墜落船を拠点にして暮らしていた。ここで『アコライト』第2話は終了。ウーキーのジェダイは、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020)、『スター・ウォーズ バッド・バッチ』(2021-2024) に登場したグンジーが有名だが、グンジーはパダワンであり、実写でのウーキーのジェダイマスターの登場はこれが初めてとなる。

ウーキーのジェダイマスター、ケルナッカを演じたのはヨーナス・スオタモ。『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』(2015) からチューバッカを演じている。同作ではピーター・メイヒューのスタントダブルを担当したが、続く『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017) ではピーター・メイヒューの後任としてチューバッカ役を演じている。チューバッカを演じてきたヨーナス・スオタモが演じるケルナッカは、一体どんな活躍を見せてくれるのだろうか。

ドラマ『アコライト』第2話ネタバレ考察&感想

ミステリ要素を考察

ドラマ『アコライト』第2話では、前話と比べるとメイの方にもスポットライトが当たる機会が多かったように思える。『アコライト』は実写シリーズで初めてシスに焦点を当てた作品になるという触れ込みがあったが、それは、メイがオーシャと対となる主人公だということなのかもしれない。

第2話ではメイとオーシャが出会うことになった。ブレンドクの火災をめぐっては、説明されていないことも多いが、状況を整理しておこう。オーシャはメイが原因で家族が死んだと思っており、メイに復讐心を抱いているっぽい。メイはオーシャが死んだと思っており、その時ブレンドクにいたソルを含む4人のジェダイマスターに復讐心を抱いているっぽい。そして、メイはオーシャのことを今でも想っている。

つまり、メイの気持ちはオーシャに対して一方通行ということなのだが、鍵となるのはメイが4人のジェダイマスターを標的にしている理由だろう。第2話で死んだマスター・トービンは罪の意識を抱いており、メイを待っていたと発言して自ら命を絶った。また、第1話で殺されたマスター・インダーラはかつてオーシャをジェダイから追い出そうとしていた。つまり、かつてブレンドクで起きたことの真相は、ジェダイの看板に泥を塗るような出来事だったのではないだろうか。

だとすると、メイによる復讐と、ジェダイ・オーダーの汚点の隠蔽は利害が一致する行動でもある。仮にメイがマスターから言われてこの4人を狙っているとすれば、やはりマスターはジェダイの内部事情を知っている人間の可能性もある。4人を消してしまえば隠蔽に成功してジェダイ・オーダーが守られることになるが、その人物の狙いはオーダーを守るというより、当時指揮をしていた自分の立場を守るというようなものなのかもしれない。

と、いう風にミステリー要素の考察をグルグルと考えてしまうところが、『アコライト』がドラマとして優れている点だ。復讐と隠蔽、贖罪というテーマをベースに置きながら、いつも通り師弟の物語もやってくれている。なんとも贅沢な「スター・ウォーズ」ドラマが『アコライト』なのだ。

筆者は第1話と第2話の配信ですっかり心を掴まれてしまったが、皆さんはいかがだっただろうか。やっぱり「スター・ウォーズ」ドラマはクオリティが高い! 全8話で構成されるドラマ『アコライト』、第3話の配信も楽しみに待とう。

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』は2024年6月5日(水) より、ディズニープラスで独占配信。初回は第1話と第2話が同時配信されている。

『スター・ウォーズ:アコライト』(Disney+)

『アコライト』時系列の解説とパルパティーン登場の可能性についての考察はこちらの記事で。

『アコライト』第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

第3話のネタバレ解説&考察はこちらから。

 

『アコライト』のマスター・ソルについての紹介はこちらの記事で。

アニメ『バッド・バッチ』シーズン3フィナーレのネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『アソーカ』シーズン1最終回のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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