『Ultraman: Rising』監督、続編制作に意欲 日本へのリスペクトあふれる作品に | VG+ (バゴプラ)

『Ultraman: Rising』監督、続編制作に意欲 日本へのリスペクトあふれる作品に

Netflix

『Ultraman: Rising』が早くも続編制作決定?

Netflix版「Ultraman」三部作制作決定か

2024年6月14日(金)にNetflixにて配信が決定しているアニメーション映画『Ultraman: Rising』。原典である『ウルトラマン』(1966-1967)へのリスペクトとして最初の怪獣に宇宙怪獣ベムラーを起用するなど、イースター・エッグが大量に含まれた『Ultraman: Rising』だが、配信を前にして既に続編制作に制作陣が意欲的なことを米ComicBook.comが報じた。

『Ultraman: Rising』はジョン・アオシマとシャノン・ティンドルが共同監督を務め、シャノン・ティンドルはマーク・ヘイムズと共に脚本も執筆している。『Ultraman: Rising』を細部まで知り尽くしているシャノン・ティンドルは、米ComicBook.comのインタビューで以下のように語った。

これだけは言えます。あと2作のアイデアがあります。その2作で何をしたいかは具体的に決まっています。私が言えるのは、ウルトラマンの感情や心のファン、ウルトラマンのことを全く知らない人たちが、もしそのような映画を作ることになったら驚くでしょうし、筋金入りのファンも楽しめるだろうということです。というのも、この映画で掘り下げなかったことが1つあります。(中略)だから、それは好きなように推察してもらうことにしましょう。

シャノン・ティンドル共同監督の脳内では、『Ultraman: Rising』は続編を通り越して、『Ultraman: Rising』三部作の構想が練られているようだ。辛口で知られるアメリカの映画評価サイトのRotten Tomatoesでは、2024年6月10日時点で8人の評論家によって評価度数100%のフレッシュでデビューという記録を叩き出している。

辛口映画評論サイトのRotten Tomatoesで100%を獲得し、先行上映で観客の評価が高かったことから『Ultraman: Rising』の続編制作の可能性は高い。三部作構成となれば、怪獣やキャラクターなど、更なるイースター・エッグにも期待できる。

『Ultraman: Rising』のイースター・エッグと日本へのリスペクト

松本零士とクレクレタコラ

シャノン・ティンドル共同監督は米Cartoon Brewのインタビューで、キャラクターデザインから細部に至るまでイースター・エッグと日本映画や特撮作品のリスペクトに満ちていることを明かした。例えば、ウルトラマンの細身のデザインなど登場人物のスタイリッシュな容姿は松本零士作品から影響を受けているという。

それに対してぽっちゃりとした体形の赤ちゃん怪獣エミは、東宝が制作した特撮番組『クレクレタコラ』(1973-1974)をモデルにしているとのことだ。『クレクレタコラ』は週に6話放送されていた低予算の5分間の子供向け番組で、奇抜なアイデアと子供向けの作品にしてはブラックなユーモアを描いたことでヒットした作品となった。

赤ちゃん怪獣エミの母親であるジャイガントロンには、「ゴジラ」シリーズのキングギドラの影響があるとシャノン・ティンドルは解説している。「ゴジラ」シリーズも含め、数多ある特撮作品の中で、赤ちゃん怪獣エミのデザインのモデルに『クレクレタコラ』を選ぶことからもシャノン・ティンドル共同監督の日本のサブカルチャーや特撮作品へのリスペクトが感じられる。

三船敏郎と志村喬からの影響

また、主人公サトウ・ケンのキャラクターデザインには『銀嶺の果て』(1947)の三船敏郎演じる江島の影響があるともシャノン・ティンドル共同監督の口から語られている。特に髪型が『銀嶺の果て』の三船敏郎を意識したそうだ。また、サトウ・ケンの性格は黒澤明監督の名作『七人の侍』(1954)の島田勘兵衛をモチーフとしているとのことだ。

『七人の侍』の島田勘兵衛は経験豊富な武士だが、敗戦続きで浪人となっている。普段は温厚で冷静沈着だが、若い頃の一国一城の主になるという夢破れ、憂いを見せることもある。それはサトウ・ケンも予告編で見せており、ウルトラマンとして戦いながらも自分の力の無さを感じている描写がある。

『七人の侍』には三船敏郎演じる侍になりたい菊千代が登場している。サトウ・ケンの容姿のモデルが三船敏郎であることから『Ultraman: Rising』ではウルトラマンとして活躍することに憧れていたサトウ・ケンがウルトラマン業に疲弊する様子が描かれる可能性も考察できる。また、島田勘兵衛を演じる志村喬は「ゴジラ」シリーズで山根博士を演じ、『モスラ』(1961)や『妖星ゴラス』(1962)、『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965)など東宝の特撮映画の常連俳優でもある。

他にも怪獣防衛隊(KDF)の衣装のデザインは科学特捜隊(SSSP)の衣装がモデルになっている。また、登場怪獣に透明怪獣ネロンガを選んだのも『ウルトラマン』に登場した最初の地球産の怪獣であり、知名度が高いことも理由の一つにあげられている。他にも八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)への思い入れや、背景の街並みに円谷プロが運営している怪獣酒場が登場するなど、日本のサブカルチャーや特撮作品へのリスペクトがある『Ultraman: Rising』。続編が制作されるのかどうか、そして続編ではどのようなオマージュがあるのか要チェックだ。

『Ultraman: Rising』は2024年6月14日(金)よりNetflixにて独占配信開始。

『Ultraman: Rising』配信ページ

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Source
ComicBook.com/Rotten Tomatoes/Cartoon Brew

『Ultraman: Rising』のティザーPVの解説と考察はこちらから。

『Ultraman: Rising』の予告編の解説と考察はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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