第11話ネタバレ感想&解説『ガンダム ジークアクス』〇〇〇、再び【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】 | VG+ (バゴプラ)

第11話ネタバレ感想&解説『ガンダム ジークアクス』〇〇〇、再び【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】

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『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』放送中

「ガンダム」シリーズ最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』が2025年4月9日よりテレビ放送およびオンライン配信を開始した。シリーズ構成・榎戸洋司、監督・鶴巻和哉を中心に製作された本作は、1月に公開された劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』が興行収入30億円超のヒットを記録したことでも話題を呼んだ。

今回は、早くも話題を呼ぶアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』(以下、「ガンダム・ジークアクス」)の第11話について、ネタバレありで解説し、感想を記していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ず本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の内容に関するネタバレを含みます。

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ガンダム・ジークアクス)』第11話ネタバレ解説

ジークアクスvsジフレド

ジフレドに乗りイオマグヌッソの次射を撃とうとするニャアンは、マチュの乗るジークアクスと対峙する。パイロットが誰かを確かめぬまま、ニャアンはいきなりジークアクスに向けてビームライフルを発射する。

だが、戦いの中で互いに相手がマチュでありニャアンであることを知る二人。そこで更に戦闘がヒートアップする訳ではなく、マチュとニャアンの戦いはひとまず軽い鍔迫り合い程度で終わった。

マチュに何故ジオンのパイロットになったのかと詰問されたニャアンは「分かんないよ」と答えていたが、それはマチュも同じことだろう。何故マチュがジークアクスに乗っているのかがここに至っても未だ不明だ。

ジフレドを出す意味

わざわざ「2号機」としてジフレドを出したのは何故なのだろうか。これまでのガンダムシリーズに倣えば2号機はライバル役になることが多いが、マチュとニャアンは期待したような全面衝突とはならなかった。

ストーリー的にはむしろ衝突する理由がないので当然の流れだが、わざわざジフレドを出したのであれば正面から戦って欲しかったというのが正直な感想だ。

その為には、やはりマチュとニャアンが偶然の出会いからクランバトルを通じて信頼関係を育み、しかしジオンや戦争に対する価値観の違いからジオン軍に渡ったニャアンと戦場で再会するなどの展開を見せて欲しかった。

だが、肝心のマチュとニャアンの関係自体がそこまで深く描かれなかったので、ライバルとして戦う動機に欠け、結果としてジフレドの見せ場も潰れてしまったのではないだろうか。

キシリアは再会したシャアに向けて、既にジークアクスの2号機とそのパイロットも確保しているのでお前は用済みだと言い放ったが、そもそもジフレドを開発する必要が何故あったのだろうか。

マチュ自身が何が何でもジークアクスに乗るのだという強い意志や目的意識を見せて追手のジオン軍をジークアクスで撃破するような「主役機」としての活躍を見せた訳でもないので、キシリアがその気になれば素人の乗るジークアクスなどいつでも奪還できたのではないだろうか。

そもそも主役機としての「1号機」が充分に活躍すればこそ、「それだけ強い機体の2号機が出る」ということに衝撃が生まれる。ジークアクスが活躍していない以上、ジフレドを出す意味が感じられないという感想だ。

ハマーンのオマージュとしてのキシリア

キシリアとシャアが再会したのはイオマグヌッソ内の劇場だが、このシーンは正史『機動戦士ガンダム』の続編である『機動戦士Zガンダム』においてクワトロ(シャア)、シロッコ、ハマーンがコロニーレーザー内の劇場で生身で対峙したシーンのオマージュだろう。

シャアに対して再び自分の元へと戻ってくるように口説く「強い女」と言えば、やはり同じくZガンダム登場のハマーン・カーンを思い浮かべる。

ハマーンは一年戦争後のシャアのかつての恋人という設定だ。クワトロ・バジーナを名乗る以前、シャアはジオン軍残党組織であるアクシズへと一時身を寄せていた。

「ガンダム・ジークアクス」において、キシリアは正史においてアムロとシャアの最終決戦を描いた映画作品「逆襲のシャア」におけるシャアのように、ニュータイプを含む人類全体の平和の為に地球人類を粛清しようとする。

だが、シャアはむしろアムロのようにニュータイプの特性を「優しさ」と解し、そんなキシリアと対峙する。ここでシャアがキシリアと対決するのは、既に父を殺されたことに対するザビ家への復讐の為ではないだろう。

ハマーンの人物造形自体がそもそもキシリアからインスパイアされたものだったかも知れないが、「ガンダム・ジークアクス」においてはキシリアが直接「シャアを口説く」などハマーンから逆輸入される形でキシリアのキャラが作られている

赤いガンダムに再び乗り込んだシャア

シロウズという偽名を捨てたシャアはゼクノヴァによりもたらされた愛機である「赤いガンダム」に再び乗り込む。目的はシャロンの薔薇のコクピットに眠る少女=ララァを排除することにより「ガンダム・ジークアクス」の世界線を守ることにあるらしい。

だが、マチュはそれを防ごうとして赤いガンダムと激突する。目的はララァを守ることのようだが、それも「シュウジがララァを守りたいから」であり、やはり主人公としての主体性が感じられないとの感想を抱いた。

そもそもララァが存在するが故にゼクノヴァが引き起こされてしまうのだとして、ゼクノヴァの具体的な害というものが描かれていないが故にそれを何故止める必要があるのかがいまいちピンと来ない。

これは前ガンダムTVアニメシリーズ作品である「水星の魔女」のクワイエットゼロや、スタジオカラーの代表作である「エヴァンゲリオン」の人類補完計画とも共通しているが、危機を抽象的に描いてしまったが為に具体的な緊迫感が生まれていないと感じる。

ゼクノヴァと通してお馴染みの「白い機体」が現れたが、最終決戦の相手は果たしてこの機体なのだろうか? 未だ姿を見せていないシュウジこそ、この機体のパイロットなのだろうか。

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ガンダム・ジークアクス)』第11話ネタバレ感想

オマージュの効果

それでは、改めてこれまでの「ガンダム・ジークアクス」の展開を振り返りつつ感想を述べていきたい。今回もここぞとばかりにオマージュが散りばめられていたが、果たしてその効果によって作品が面白くなっていたかどうかを考えてみたい。

個人的には、やはり主人公であるマチュとニャアンおよびシュウジの関係性が薄く、その割に最終回直前になっていきなり活躍させられても燃えるというよりは戸惑いの方が大きいという感想だ。

これまで言葉だけだったジークアクスに搭載された「オメガ・サイコミュ」は、それを封じるデバイスを物理的に破壊することで作動するものだったらしい。シャリア・ブルから貰った銃で装置を破壊しオメガ・サイコミュを起動させたマチュはその力でシャロンの薔薇に干渉することができるようになった。

しかし、クランバトル含めてこれまで一切主役機らしいカタルシスのあるバトルを描かれてこなかったジークアクスがここでいきなり主役機然とした特殊能力を発動させても、それは物語の都合でしかないと感じられむしろ白けてしまう。

しかもそれがマチュ自身の努力や才能によって「システムを起動する方法」を見付けるということでもなく、ただ言われるがままに与えられた銃で装置を破壊するというだけの描写では、どこにも主人公らしさが感じられないただの操り人形に見えてしまわないだろうか。

ただでさえこのように「主人公」としてのマチュの描かれ方の薄さが気になっているのに、そこに往年のガンダムファンに向けた目配せとしての「オマージュ」を大量に投入されても正直なところ自己満足にしか見えないという感想を抱いた。

オマージュが有効であるのは、本筋としての物語の独自性が保たれた上で、展開上必然的に「どちらにしても相手を撃たなければならない時、その撃ち方は過去作をオマージュした方が盛り上がる」というような場合に限られるのではないだろうか。

唐突なサイコ・ガンダムの登場および退場含め、「ガンダム・ジークアクス」という作品においてはむしろオマージュこそが目的になっていて、手段として有効に用いられているとは感じられない為に素直に盛り上がることができないという感想だ。

ともあれ残り最終回の12話を残すのみとなった「ガンダム・ジークアクス」。果たして白い機体のパイロットは誰なのか。最後にマチュは誰とどのように戦うのかに注目して観ていきたい。

アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』は毎週火曜24時29分から日テレ系30局ネットで放送中。

アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』公式サイト

BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ) 機動戦士Gundam GQuuuuuuX HG GQuuuuuuX(読み:ジークアクス) 1/144スケール 色分け済みプラモデルは発売中。

赤いガンダムのAMASHII NATIONS METAL ROBOT魂 塗装済み可動フィギュアは6月30日発売で予約受付中。

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普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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